ジャズピアノの有名な曲についてもっと知りたい方へ|定番の曲〜隠れた名曲までおすすめの曲を紹介

“ジャズピアノ”と聞いて多くの人が思い浮かべるのは、カフェや店頭で流れるおしゃれな音楽かもしれません。

しかし、それらのほとんどは聞き流しを目的とした、いわゆるジャズアレンジのBGM

本物のジャズピアノは即興性や独自のグルーヴ感、演奏者の人間性が映し出される生きた音楽の世界であり、一生かけて噛み締められるほどの奥深い魅力があります。

「ジャズピアノにちょっと興味はあるけど敷居が高い…」
「初心者は何から聴けばいいの?」

そういったかたにぜひ聴いていただきたい、時代を超えて愛されるジャズピアノの名曲をご紹介します。

心を揺さぶる一曲や、聴けば聴くほど癖になるアルバムを見つけて、あなたもジャズ沼に浸ってみませんか。

有名なジャズピアノ名曲5選

ジャズはレコードが主流だった1950〜1970年代に大流行しましたが、現代でも幅広く愛される音楽です。ジャズやジャズアレンジの音楽は駅構内やラーメン屋でもBGMとして耳にすることも多く、少し意識してみるとジャズを感じない日はないほどです。

そんなジャズに興味を持たれたかた向けに、まず聴きやすくておすすめなのがジャズピアノ。ここでは定番のピアノトリオや管楽器を含めた編成など、ジャズの黄金時代の「ジャズピアノの名曲」5選をご紹介します。

マルキ
レコードのジャケットで選ぶことも楽しいよね

ジャズの黄金時代から現在まで愛される名曲は、初心者が楽しめるだけでなく、聴くたびに新しい発見があるはずです。

最近はレコードショップも多いですよね。

いきなりレコードを購入とはいかなくても、お店で気軽に聴いてみることもお勧めです。

マルキ
雰囲気だけでも味わってみてはいかがですか?

Waltz for Debby(ワルツ・フォー・デビィ)

ビル・エヴァンスが幼い姪デビィに捧げたこの楽曲は、彼の最も愛される作品の一つです。愛情と温かみを感じさせる旋律は、リリカルで優雅なエヴァンスのピアノスタイルを象徴しています。

アルバム『Waltz for Debby』は1961年に録音され、スコット・ラファロ(b)とのトリオ演奏が多くのジャズファンにとって永遠の名盤です。悲しいことに、これがラファロの死の数日前の録音となり、演奏には特別な緊張感と美しさが宿っています。

ピアノで演奏する際には、柔らかなタッチとダイナミクスを意識しつつ、3拍子から4拍子の切り替えがポイント。

マルキ
リラックスした午後や家族との時間に、穏やかな雰囲気を添えてくれる一曲だワン。

おすすめの演奏者・アルバム

  • ビル・エヴァンス『Waltz for Debby』

Softly, as in a Morning Sunrise(朝日の如くさわやかに)

シグムンド・ロンバーグ作曲で、元々1928年のミュージカル『The New Moon』の中で使われた楽曲。その後、スウィングからラテンまで幅広いスタイルでアレンジされ、様々なジャンルのミュージシャンに愛されています。

実際に聴いてみると「朝日の如くさわやかに」という邦題から想像しがたい、夜明け前の静寂や緊張感を描いたような楽曲です。

マルキ
ピアノトリオによる演奏では、リズムの変化やテンポ感が際立っていて、特に名盤のイントロがどのアレンジも素敵なので、覚えてセッションで演奏を楽しみたい!

おすすめの演奏者・アルバム

  • ソニー・クラーク『Sonny Clark Trio』
  • ウィントン・ケリー『Kelly Blue』

  • モダン・ジャズ・カルテット『The Last Concert』

Caravan(キャラバン)

デューク・エリントンとフアン・ティゾールが作曲したこの楽曲は、1936年に誕生しました。エリントン楽団の中で最初にトロンボーン奏者だったティゾールが持ち込んだ中東風のメロディを元に構成されています。ラテンリズムとエキゾチックな響きが特徴で、ジャズ界でも独特のポジションを占める名曲です。

ビックバンドの総帥でもあるデューク・エリントンはあらゆる音楽に精通し、時にはデューク(公爵)と呼ばれ、時には退屈な超大作と批判を浴びました。「音楽は2種類しかない、良いか悪いかだ」という彼の有名な言葉は、すべての音楽に可能性を見出す光であり、練習に挫けたときには心の支えとなります。

ピアノで演奏する際には、力強いリズムを支えながら、即興部分で個性を表現することが求められます。

マルキ
集中力を高めたい時やエキゾチックなムードを楽しみたいときに聴きたいワン!

おすすめの演奏者・アルバム

  • デューク・エリントン『Money Jungle』
  • アート・テイタム『Art Tatum Solo Masterpieces』

Maiden Voyage(処女航海)

ハービー・ハンコックが1965年に作曲したこの楽曲は、アルバム『Maiden Voyage』のタイトル曲として知られ、海を航海する情景を描いたという作品です。アルバム全体はモードジャズの代表作として評価され、ジョージ・コールマン(As)やフレディ・ハバード(Tp)といった名手たちが参加しています。

ピアニストにとっては、移り変わるコードに素早く対応するバップスタイルとは異なり、1つのコードに対する多様なアプローチやクールな表現が求められる挑戦的な楽曲です。

マルキ
気分を変えたい夜や、静かに読書を楽しむ時間に聴きたい!

おすすめの演奏者・アルバム

  • ハービー・ハンコック『Maiden Voyage』

Autumn Leaves(枯葉)

ジョセフ・コスマ作曲、ジャック・プレヴェール作詞したこの曲は、フランスのシャンソンからスタートし、後にジャズスタンダードとしての地位を確立しました。切ない秋の情景を描いた歌詞が元々の魅力ですが、インストゥルメンタルでは、その哀愁漂うメロディが際立ちます。

マイルス・デイビス(Tp)やキャノンボール・アダレイ(As)といった巨匠たちの演奏によっても有名で、1958年に録音されたアルバム『Somethin’ Else』は必聴です。2023年にユニクロから発売されたブルーノートのUTデザインのひとつとしても採用されたこのアルバムジャケット。ジャズファンの間で話題になり、夏のジャズライブではおじさんとTシャツがかぶるということもよくありました。

Autumn Leavesは主にツーファイブワンのコード進行から成るため、ピアノだけでなくジャズ初心者が取り組みやすくセッションでも頻出。しかし追求するとプロにとっても奥深く、侮れない曲といえます。

マルキ
秋の午後や物思いにふけりたいときに、森を思い出すワン!

おすすめの演奏者・アルバム

  • キャノンボール・アダレイ『Somethin’ Else』
  • ビル・エヴァンス『Portrait in Jazz』

🔰初心者でも聴いたことがあるかも?ジャズピアノ名曲

ジャズピアノ、と聞いても普段音楽に馴染みがない方にとっては、「普通のピアノと何が違うの?」とピンとこないかもしれません。しかし、CMやドラマ、街中の演奏などで実はジャズアレンジされた楽曲を耳にしていることも多いのです。例えば「ルパン三世のテーマ曲」はその代表例で、軽快でおしゃれなジャズの要素を取り入れており、普段ジャズに触れない人でも親しみやすく感じられる名曲です。

そして、椎名林檎、Official髭男dism、藤井風、Vaundyといったアーティストたちの楽曲にも、ジャズっぽさが取り入れられていることが多く、聴く人におしゃれで魅力的な印象を与えています。

こうした音楽は、伝統的な「これぞジャズ」と呼ばれる黄金時代の名盤たちとは少し異なりますが、ジャズの要素を取り入れることでおしゃれで親しみやすい雰囲気を生み出しています。ここでは、ジャズアレンジをきっかけに興味を持った方が、さらに本格的なジャズピアノの世界に親しみを感じられるような名曲を3曲厳選してご紹介します。

Moanin’(モーニン)

ボビー・ティモンズが作曲し、アート・ブレイキー & ジャズ・メッセンジャーズの演奏で広く知られるブルースジャズの名曲。タイトルには「嘆き」という意味がありますが、実際の曲は力強く生命感に溢れており、むしろ希望や情熱を感じさせる楽曲です。

ゴスペル風のイントロは、ティモンズが教会音楽から得たインスピレーションを元に生み出され、ジャズにソウルフルな新しい風を吹き込みました。

ピアノで演奏する際には、イントロのフレーズを澱みなく表現し、左手のリズムでしっかりと土台を作るのがポイント。また即興部分ではblue noteを取り入れ、ジャズ・メッセンジャーズのようなスモーキーな雰囲気を醸し出すのもかっこいいでしょう。

セッションでもよく演奏され、観客を引き込むエネルギーがあります。まさにジャズの魅力を存分に体感できる一曲です。

マルキ
ちょっとメリハリをつけたい午後や、エネルギーを高めたい時はこの曲だね!

おすすめの演奏者・アルバム

  • アート・ブレイキー & ジャズ・メッセンジャーズ『Moanin’』
  • オスカー・ピーターソン『The Paris Concert』

Spain(スペイン)

チック・コリアが作曲したこの楽曲は、1972年のアルバム『Light as a Feather』に収録されている代表作。ラテンジャズのエッセンスが凝縮されたジャズフュージョンの代表作です。吹奏楽やオーケストラ、エレクトーンやマリンバ奏者など幅広く愛されています。

冒頭のイントロでは、スペインのクラシック作曲家ロドリーゴの「アランフエス協奏曲」からインスパイアされた美しいフレーズが響きます。その後、一転してアップテンポのアフロ・キューバンリズムが加わり、ピアノが主導する躍動感あふれる展開が続きます。

ピアニストにとってはリズムの切り替え部分がポイントとなり、ライブでは観客の手拍子が演奏と一体化することも日常茶飯事な人気曲。

マルキ
晴れた日の午後や、気分を高めたいときにぜひ聴いてほしい一曲だね!

おすすめの演奏者・アルバム

  • チック・コリア『Light as a Feather』
  • Chick Corea Trio『Trilogy』

Take Five(テイク・ファイブ)

ポール・デスモンドが作曲し、デイヴ・ブルーベック・カルテットの演奏で一躍有名となったジャズの金字塔的な楽曲。

タイトルが示す通り、5拍子という当時としては革新的なリズムが特徴。

デスモンドのサックスとブルーベックのピアノが織りなす軽快で知的な音楽は、ジャズ初心者にも親しみやすいものとなっています。

この曲は、アルバム『Time Out』に収録され、実験的な要素を取り入れつつも大衆性を失わないという、当時のジャズ界において画期的な一例となりました。

ピアニストにとっては、5拍子の独特で軽快なリズム感を保つことがポイント。シンプルなコードの繰り返しですが、ドラムソロなどでアウトしないよう気をつけましょう。

マルキ
クールな午後や、ユニークなリズムを楽しみたいひとときにおすすめの一曲だワン!

おすすめの演奏者・アルバム

  • デイヴ・ブルーベック・カルテット『Time Out』
  • ジョージ・シアリング『Mambo Diablo』

ゆったりしたいときに聴きたいジャズピアノの名曲3選

普段の生活に疲れ少しゆっくりしたい時や、心が疲れた時に音楽を聴いて落ち着きたい、気持ちを変えたいと時はありませんか?

ジャズピアノ独特の雰囲気には、大きな抱擁感があり、”そっと寄り添ってくれる”こともジャズピアノの良さ。

そっと心を包み込んでくれ、どんな時にも聴きやすい旋律の3曲をご紹介します。

Round Midnight

「Round Midnight」はミステリアスでエモーショナルな名曲。1940年代にセロニアス・モンクが作曲し、今ではジャズスタンダードとして数え切れないほどのアーティストに愛されています。この曲の旋律は、深夜の孤独感や静けさ、そして微かな哀愁を見事に表現しており、まるで夜の都会に漂っているかのようです。

セロニアス・モンクの演奏は、独特なリズムのズレや「音を外したのでは?」と一瞬感じさせるような和音の配置が特徴的です。その意外性や危うさが、聴く人の心を揺さぶり、新しい音楽体験をもたらします。「シンプルに見せて複雑に語る」とも形容されるそのスタイルは、計算し尽くされた即興性こそが真骨頂。大胆さと繊細さが同居する彼の音楽には、何度聴いても新たな発見があります。

物思いにふける静かな夜や、ジャズバーなどでお酒のお供にもぴったりな曲です。

おすすめの演奏者・アルバム

  • セロニアス・モンク『Thelonious Himself』
  • マイルス・デイビス『Round About Midnight』

The Days of Wine and Roses

1962年の映画『酒とバラの日々』のテーマ曲として生まれたこの楽曲は、作曲家ヘンリー・マンシーニの傑作のひとつ。映画自体はアルコール依存症とそこからの再生をテーマにした重厚な物語で、楽曲には「失われた美しい日々」への切ない郷愁が込められています。タイトルの「酒とバラ」という言葉は、かつての喜びと現在の儚さを象徴しているといえます。

美しいメロディと哀愁を帯びたハーモニーが特徴で、ピアニストにとってはその抒情性を引き出すことが求められます。特にピアノソロでは、メロディラインを丁寧に奏で、繊細な装飾を加えることで情感が際立ちます。特にオスカー・ピーターソンのアルバム『We Get Requests』を聴けば、名曲だと確信されることでしょう。

また映画のストーリーを知ることで、この曲に込められた想いがより深く心に響き、噛み締めることができます。憂鬱な朝や感傷的なひとときにおすすめの一曲です。

おすすめの演奏者・アルバム

  • オスカー・ピーターソン『We Get Requests』
  • ビル・エヴァンス『The Tony Bennett/Bill Evans Album』

In a Sentimental Mood

『In a Sentimental Mood』は、まさにその場の「センチメンタル」な雰囲気を音楽で表現した一曲。一説によれば、ノースカロライナ州ダーハムでのセッションにて二人の女性が喧嘩になった際に、エリントンが即興でこのメロディを奏で場を和ませたことが始まりだと言われています。ただし、作曲者については諸説あり、エリントンのバンドメンバーであるオットー・ハードウィックがメロディを作ったとも伝えられています。

特にエリントンとジョン・コルトレーン(As)による録音は、ジャズ史に残る名演として知られています。またMilt Jacksonのヴィブラフォンが入ったソニー・ロリンズとモダン・ジャズ・カルテットによる演奏も、何度も聴きたくなる魅力があります。

ピアノで演奏する際には抑揚とダイナミクスを意識し、曲の感情的な流れを大切にすることがポイントです。静かな夜やリラックスしたいときに、心に染み入る一曲としておすすめです。

おすすめの演奏者・アルバム

  • デューク・エリントン & ジョン・コルトレーン『Duke Ellington & John Coltrane』
  • ソニー・ロリンズ『Sonny Rollins & The Modern Jazz Quartet』

ノリノリになれる⬆︎かっこ良いジャズの名曲

ジャズピアノは演奏者のアレンジによって心包み込むような印象や、つい軽やかなステップを踏みたくなるようなノリノリになれるような印象の曲もあります。

こういったジャズピアノにも、シチュエーション毎で聴きたくなる名曲が存在します。

ここからは編集者が気分を上げたいときによく聴く、ノリノリになれるジャズピアノの曲を3曲ご紹介します。

Cleopatra’s Dream(クレオパトラの夢)

バド・パウエルが作曲したこの曲は、エジプトの女王クレオパトラをイメージしたと言われています。ビバップの全盛期に生まれたこの楽曲は、エネルギッシュなリズムと一度聴いたら忘れられないテーマが特徴。

ピアノでのソロ演奏やトリオでのアレンジが映える楽曲で、バド・パウエル自身の独特なタッチと鋭い感性が光ります。まるで言葉を紡ぐようにメロディを展開し、その音はクリアで力強い一方、繊細なニュアンスも的確に表現してしまうのです。

薬物依存や精神的な苦難を抱えながらも創り上げたこの楽曲には、彼の生き様が刻まれています。特にジャズ喫茶のような良質なスピーカー環境で聴くと、ピアノの音以外の「唸り」までもしっかりと感じ取ることができます

マイナー調でありながらも華やかでリズミカルな雰囲気が特徴のため、活気づけたいシーンにぴったりです。

収録アルバム

  • バド・パウエル『The Amazing Bud Powell』

Hey Now

レッド・ガーランドの「Hey Now」は、1957年に録音された人気アルバム『Groovy』の一曲です。この楽曲は、ガーランドの得意とするブルージーなフレーズとスウィング感が際立ち、ピアノ・トリオの魅力が凝縮されています。

特に、ガーランドの転がるようなタッチのピアノソロは、ポール・チェンバースのベースとアート・テイラーのドラムスに支えられ、聴く者を心地よいリズムの波に誘います。耳にも心地よく癖になるかっこよさです。

ジャズピアノは一度初めてみたもののその難易度に挫折する人も少なくありません。そんな人にもジャズに好奇心を持ち”自由気ままに楽しむ”という本質を思い出させてくれる一曲です。

収録アルバム

  • レッド・ガーランド『Groovy』

Nica’s Dream

ホレス・シルヴァーが作曲したこの曲は、ジャズのパトロンとして知られるニカ・ド・ケーニヒスウォーター(Pannonica de Koenigswarter)に捧げられたもの。彼女は多くのジャズミュージシャンを支援し、温かく迎え入れる存在でした。「Nica’s Dream」はそんなニカへの感謝と敬意が込められた作品で、ラテンジャズのリズムとエキゾチックなメロディが特徴です。

ピアノで演奏する際には、左手でリズムをしっかり刻みつつ、右手で情熱的なフレーズを奏でることが求められます。それぞれの即興部分の後にあるユニゾン部分と力強いドラムが一体化する箇所は、次のアドリブ奏者との入れ替わりでもあり、何かが始まる…というワクワク感を楽しめます。

収録アルバム

  • ホレス・シルヴァー『Horace-Scope』

編集者がおすすめしたい隠れたジャズピアノの名曲

ジャズ喫茶巡りとジャズの勉強を始めて約3年の編集者が、個人的にぜひ聴いてほしい隠れたジャズピアノの名曲をご紹介します。

まだまだ勉強中ではありますが、そんな中でも衝撃を受けた一曲や、今でも忘れられないメロディがあります。

初心者の方もぜひあなたのプレイリストに加え、ジャズの奥深い世界を楽しんでみてください。

The House Of Blue Lights

昼下がりのジャズ喫茶でカレーを食べているときに、衝撃を受けたのがこの曲でした。「The House of Blue Lights」はエディ・コスタがピアノトリオで残した唯一のアルバムです。31歳の若さで交通事故により亡くなった彼は、ヴィブラフォン奏者でもあり、ユニークなジャズピアニストでもありました。

1959年に録音されたこのアルバムはブルージーでスウィンギーな雰囲気と、エディ・コスタ特有のパーカッシブなタッチが融合した魅力的。低音域の力強さと右手の軽やかなフレーズが、まるで音楽の中で物語を紡いでいるような印象を持ちます。自由と即興性に満ち、聴くたびに新たな発見があります。

夜のオフィス街や、雑多な街並みの中でこの曲を聴くと、力強く無敵になったような感覚に。ジャズ喫茶の高品質はスピーカー環境で聴けば、音楽に宿った彼の魂そのものを感じ取ることができるでしょう。

初めてジャズを聴く方にも、ぜひ体験していただきたい一曲です。エディ・コスタの魅力に取り憑かれ、あなたにとって忘れられない音楽体験となるでしょう。

収録アルバム

  • エディ・コスタ 『The House Of Blue Lights』

Relaxin’ at Camarillo

チャーリー・パーカーが薬物依存の療養中に作曲したとされる「Relaxin’ at Camarillo」は、タイトルにある「カマリロ」という地名が療養施設の名前に由来しています。チャーリー・パーカー本人の演奏はもちろん、「C」がたくさん集まったようなジャケットデザインで知られるトミー・フラガナンのアルバム『Overseas』での演奏が有名です。

哀愁とリラックス感が同居したメロディは、彼の内面的な葛藤と穏やかな心情を感じさせます。パーカーの人生は、その音楽と同様に激しく波乱に満ちていました。

幼少期から貧困や人種差別に苦しみ、若い頃から薬物依存に陥る。健康を害し、1955年にわずか34歳で亡くなります。しかし、彼の音楽はその短い人生にもかかわらず、ジャズの歴史において永遠に語り継がれるものとなりました。

ジャズを語る上でチャーリー・パーカーの存在は無視できません。「Ornithology」などが代表曲ですが、まずはこの曲からでも聴いてみてください。

収録アルバム

  • トミー・フラガナン『Overseas』

Dat Dere

同じ曲を一日中聴いてしまうほど癖になった経験、ありませんか。ボビー・ティモンズが作曲した「Dat Dere」はアート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズのアルバム『The Big Beat』に収録され大ヒットしたソウルジャズの名曲。ティモンズ特有のゴスペルやブルースのエッセンスが色濃く反映されたキャッチーなメロディが魅力的です。

楽曲のタイトル「Dat Dere」は、英語のスラングで「That There(あれ、それ)」を意味します。オスカー・ブラウン・ジュニアが後にこの楽曲に歌詞をつけ、歌のバージョンも多くのリスナーに親しまれました。

その歌詞は子供の視点から家族への「あれなに?これなに?」といった問いかけを描いたもので、家庭的な雰囲気を引き立てていますが、実際のティモンズの作曲意図はわかっていません。

ジャズ・メッセンジャーズの録音でもリズムセクションとの一体感が際立ち、聴き手を飽きさせないスウィング感に、一度聴いたらあなたもハマるかもしれません。

収録アルバム

  • ボビー・ティモンズ 『This Here Is Bobby Timmons』
  • アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ 『The Big Beat』

まとめ

ジャズピアノに興味があるけれど、何から聴けばいいのかわからない初心者の方に向けて、この記事では親しみやすく奥深い名曲をいくつかご紹介しました。「Waltz for Debby」や「Moanin’」など、リリカルでエネルギッシュな作品からスタートすると、ジャズの魅力をより深く感じられるでしょう。

  • 「Waltz for Debby」:愛情あふれる旋律が心に響く一曲
  • 「Softly, as in a Morning Sunrise」:緊張感と親しみやすさが絶妙に融合
  • 「Moanin’」:ゴスペルやブルースの要素を取り入れたソウルフルな楽曲

ジャズピアノの楽しみ方として、まずは気になる曲を単体で聴き、その後アルバム全体に広げてみましょう。聴き流すだけでなく、背景や演奏者の想いを知ることでより深く楽しむことができます。

さらに、ジャズ喫茶などの良い音響環境で聴くと、演奏者の息遣いや音楽の細部にまで触れられる特別な体験が得られるはずです。

ぜひこの記事を参考に、あなたもジャズピアノの魅力的な世界への第一歩を踏み出してみてください。