ピアノ簡単な曲|初心者にもおすすめな曲の特徴と練習のコツも紹介

「ピアノを弾いてみたい」――そう思ったあなたが、いま楽器に触れてみようとしている。

その第一歩に選ぶ「簡単な曲」は、決して“退屈な曲”ではありません。それは、音楽の世界に足を踏み入れるための、美しくも奥深い入口です。

たとえば「きらきら星」。単純なメロディの中に、指を動かす感覚、リズムを刻む快感、音が響く喜び――ピアノのすべてのエッセンスが詰まっています。

スポーツでいえば準備運動、美術でいえば最初の一本線。

この「簡単」が、やがてショパンやビートルズを奏でる“地図”になります。

そして何より、最初に出会う1曲は、「あなたの音楽の原点」になるのです。

弾けたときの達成感、音を出すドキドキ、そのすべてが、ピアノを弾く理由になっていく。

ピアノで一度は聴いたことがある!思っているよりも意外と簡単な曲

ピアノって憧れるけれど、「なんだか難しそう」「子どもの頃から習ってないと無理そう」……そんなふうに思っていませんか?


でも実は、よく耳にするあのメロディも、最初の数音だけでも弾けるだけで気分は上がるし、「自分にもできた!」という感覚が味わえる楽器なんです。


この記事では、「ピアノって思ったより近い存在かも」と思えるような、初心者向けの“気づき”と“きっかけ”をご紹介します。

ピアノ初心者にとって、まずは「知っているけど弾いたことはない」名曲にチャレンジするのが上達への近道です。

ここでご紹介するのは、誰もが一度は耳にしたことのある定番曲ながら、実は思っているよりずっとシンプルに弾けるアレンジばかり。

白鍵中心の素直なリズムと繰り返しパターンを活かして、無理なく指の動きや鍵盤の感触に慣れていきましょう。

最初は片手ずつ、慣れてきたら両手で音を重ねる楽しさを味わいながら、ピアノの魅力を存分に感じてみてください。

1.『きらきら星』変奏曲(モーツァルト)

『きらきら星』変奏曲(モーツァルト)

・特徴:片手でも弾ける、指の動きが少ない
・弾きやすさ:★★★☆☆
・ポイント:白鍵中心、リズムも素直。主題部分は童謡レベルで安心感あり。

モーツァルトが手がけた『きらきら星変奏曲』は、実は童謡としても親しまれている「きらきら星」のメロディを元に作られています。

原曲の主題部分は、白鍵中心のシンプルな旋律で、ピアノ初心者でもすぐに「耳で覚えた音」が指の動きにつながりやすいのが特徴です。

まずこの曲が弾きやすい理由の一つは、メロディがすでに頭に入っていること。

聞いたことのある音の並びは、初見でも安心感があり、譜読みが完璧でなくても「なんとなく弾けてしまう」感覚を味わえます。

また、主題部分は8小節ほどの短いフレーズで構成されており、右手だけで練習しても十分に「1曲弾けた!」という達成感を味わえます。

リズムも素直で、跳躍や臨時記号といった複雑な要素が少なく、指を大きく動かす必要がないため、手の大きさや筋力に自信がない初心者にもやさしい構成です。

さらに、繰り返しフレーズが多いので、「覚えるのが早い=成功体験が早い」のも大きな魅力。

「最初の1曲」に迷ったら、親しみやすく、手軽に“完成した気持ち”が得られるこの曲はまさにぴったり。

ピアノって楽しいかも!という気づきが、自然と次の曲への意欲につながるでしょう。

2.『千本桜』

『千本桜』

・特徴:右手にインパクトがあり、最初は右手だけの片手練習でも達成感を感じられる
・弾きやすさ:★★★☆☆
・ポイント:意外と簡単なパターンの繰り返しで構成されている

「千本桜」といえば、ボカロ発の和ロック調メロディで、スピード感とエネルギーに満ちた人気曲。

「さすがにこれは無理…」と感じてしまう人も多いかもしれません。

ですが、実際にイントロやサビだけに絞ってみると、意外と簡単なパターンの繰り返しで構成されており、初心者でもアレンジ次第で“かっこよく仕上げられる曲”です。

イントロの右手メロディは音の動きが階段状になっていて、鍵盤を滑らせるように弾くだけでOK。

ソラ
リズムも細かく感じますが、ゆっくり練習すればすぐに慣れ、ある程度テンポに乗せて弾くと「あれ?自分、ちょっと上手くない?」と思えるほど“それっぽく”聞こえるのが魅力です。

さらに、左手を省略してもメロディだけで十分インパクトがあるので、片手練習からスタートしても安心。

実際にネット上には、初心者向けの簡略譜やワンフレーズ練習動画も多数あるため、「最初から1曲まるごと」は無理でも、イントロ→サビというふうに段階的に練習していくスタイルがとても効果的です。

完成したときの達成感が大きく、友人や家族に披露したときのリアクションも期待できる「映える曲」。ピアノの魅力を再確認できる、やりがいのある初心者向け挑戦曲といえます。

3.『カノン』(パッヘルベル)

『カノン』(パッハルベル)

・特徴:同じ和音進行の繰り返し
・弾きやすさ:★★★★☆
・ポイント:左手はパターン化していて覚えやすい。右手のメロディを乗せるのも意外とできる。

「結婚式でよく聞く曲」として有名な『パッヘルベルのカノン』。

その美しい響きから「難しそう」と思われがちですが、実はこの曲、全体を通して“同じコード進行の繰り返し”で成り立っているため、初心者にとっては驚くほど習得しやすい1曲です。

特に左手は、「ド→ラ→ファ→ソ→ド→ファ→ソ→ラ」という8つの音をパターンで弾き続けるだけ。

これさえ覚えてしまえば、あとは右手のメロディを少しずつ重ねていくだけで「ちゃんとカノンっぽくなる」構造になっています。

カイ
つまり、“覚える量は少ないのに完成度は高く見える”という、初心者にとって理想的な曲。

さらにこの曲のメロディは、細かい音が多いように見えても、実は1つのモチーフを分解・装飾しながら少しずつ展開しているだけなので、パターンに慣れるほどに手の動きが自然と身につきます。

テンポを落として練習しても十分美しく響き、「ゆっくりでも素敵に聞こえる」のがこの曲の大きな魅力。

1曲通して仕上げたときの満足感も高く、「弾けた自分」に自信が持てるようになる作品。

まさに、初心者が“音楽を演奏する喜び”を感じるのにうってつけの1曲です。

4.『レット・イット・ビー』(ビートルズ)

『レット・イット・ビー』(ビートルズ)

・特徴:コード進行が王道で自然
・弾きやすさ:★★★☆☆
・ポイント:ポップスの中でも手の動きがコンパクト。歌と一緒に弾くと楽しい。

――名曲なのにこんなにシンプル?心に沁みるコード進行で“ピアノっていいな”を実感

『Let It Be』は、ビートルズの中でも特に親しまれているバラードで、誰もが一度は耳にしたことのある名曲です。

印象的なピアノのイントロから始まり、歌詞とメロディがじんわりと心に沁みるこの曲は、実は初心者にとって理想的な練習曲でもあります。

この曲が弾きやすい最大の理由は、コード進行がシンプルかつ繰り返しが多いこと。

イントロ〜サビにかけては「C→G→Am→F」といった基本的なコードの組み合わせで進んでいきます。

これらはピアノ初心者が最初に覚える定番コードで、手の形を少しずつ覚えれば簡単に再現できます。

また、テンポがゆっくりで、歌詞とメロディの間に「間(ま)」があるため、急かされるような演奏にはならず、余裕をもって指の動きを確認しながら進められるのも安心ポイントです。

さらに、コード弾きだけでも十分“それっぽく”聴こえるため、まずは左手だけでコードを鳴らしてみる、右手でメロディをなぞってみるといった練習から始められます。

初心者向けのアレンジ譜やYouTube動画も豊富で、「歌いながら弾く」体験もしやすい曲です。

ピアノの練習に“感情”を乗せる楽しさを味わえるこの曲は、「ピアノって楽しい」「音楽って人の心に寄り添うものなんだ」と実感させてくれます。

名曲だからこそ、弾けたときの感動はひとしお。『Let It Be』は、音楽の魅力をストレートに感じられる、まさに初心者にとっての“人生初めての名曲”にふさわしい一曲です。

ピアノを弾く前に知っておきたいポイント

「よし、ピアノ始めよう」と思ったときに、“ただ鍵盤を押すだけ”ではなく、最初にちょっとしたコツや心構えを知っておくことで、ぐっと弾きやすくなり、ケガや疲れを防ぐこともできます。

ピアノを弾き始める前に、いきなり難しい曲や長時間の練習に挑むのではなく、まずは基本の「土台」をしっかり押さえることが大切です。

正しい姿勢や指の動かし方、そして楽譜へのアプローチを身につけることで、無理なくスムーズに上達への道筋が見えてきます。

以下の3つのポイントは、初心者が練習を続けやすく、身体や心に余計な負担をかけずに演奏を楽しむ“安心設計”とも言える大切な要素です。

1. 姿勢がすべての土台

背筋をまっすぐ伸ばし、肘と鍵盤の高さを揃えることで、腕全体の重みが均等に伝わり、無理なく力を鍵盤へ届けられます。

さらに、手首を「水に浮かぶ葉っぱ」のように柔らかく保つことで、長時間の練習でも手首や肩への負担が軽減。

疲労やケガを防ぎつつ、無駄な力みを取り除くことで、より正確で滑らかなタッチが身につきます。

これらは、後々複雑なテクニックを学ぶ際にも大きなアドバンテージとなるでしょう。

  • 背筋を伸ばし、肘が鍵盤と同じ高さになるようにイスの位置を調整。

  • 手首は上下に固めず「水に浮かぶ葉っぱ」のように自然に。

2. 簡単な曲=ゆっくり・片手でも“成立する曲”

  • 両手で弾く必要がない、片手だけでも音楽として成立する曲を選ぶ。

  • メロディが耳なじみのある曲だと、指の動きより音を覚える力が助けてくれます。

3. 楽譜は「完璧に読めなくてもOK」

  • 音符の高さは少しずつ覚えればいい。

  • 大事なのは“1小節ずつでも前進する”気持ち!

🌱 毎日の基本トレーニング(10〜15分)

1. 指を独立させる基礎練習

  • 【ハノン No.1~5(片手でもOK)】

    • 目的:指の独立、指先の支えを強化

    • コツ:打鍵の瞬間に**「指の腹」ではなく「指の先」で押す」ことを意識。

  • 【練習時間】片手ずつ各3分程度

2. 指先と腕をつなぐ「脱力ストレッチ」

  • キーボードに手を置いたまま、腕の重みだけで鍵盤を沈める練習

  • 目的:肩の力を抜いて、重力を利用した自然な打鍵を体に覚えさせる

  • 【練習時間】左右で1〜2分程度

3. リズム・テンポの基礎

  • 【片手練習+メトロノーム】

    • 弾く指に意識を集中し、「正しいタイミングで鍵盤を叩く」感覚を磨く

  • 【例】C-D-E-F-Gの音を、1拍ずつ/2拍ずつなどパターンを変えて

  • 【練習時間】5分程度


💪 難しい曲に進むための“応用”トレーニング

1. 跳躍対応力トレーニング

  • 【オクターブのドを交互に弾く(両手で)】

    • 腕の移動を「腕全体」でスムーズに動かす

    • 腕を「ふわっ」と浮かせる→「ストン」と置くイメージ

  • 目的:肘〜肩の連動、跳躍の正確さ

2. トリル・装飾音のスピード強化

  • 【2と3の指でトリル(ゆっくりから加速)】

    • 力まないことが第一。最初はテンポ60くらいから。

  • 目的:小指~人差し指のバネ感覚

3. スタミナ強化:長時間弾いても疲れないために

  • 【5分通して同じパターンを繰り返す練習】

    • 例:「きらきら星」の左手伴奏だけ5分間継続

    • 目的:フォームを保ちつつ疲れにくい腕の使い方を身体に染み込ませる


🧠 補足:体の使い方の“意識ポイント”

部位 正しい使い方・意識
指先 弓なりにして、指の腹でなく「先」で弾く
手首 固定しすぎず、打鍵後に自然に上下するように
力を抜き、腕の重みで弾くイメージ
肩甲骨ごと「ストン」と落とし、力まない
姿勢 背筋は軽く伸ばし、腰から上を支える。猫背NG