ショパン ノクターン ピアノ難易度を全曲解説|初心者が弾けるのはどれ?

ショパンのノクターンを弾いてみたい——そう思ったとき、こんな疑問が浮かんだことはありませんか?

「ノクターンって、初心者でも弾けるの?」 「2番ってやっぱり難しい?」 「全21曲、どれから始めればいいか分からない…」

この記事では、ノクターン全曲の難易度をざっくり整理しつつ、なかでも「ノクターン 第2番 Op.9-2」に絞って、弾きこなすためのコツを丁寧に解説します。

中級者が最初に挑戦するクラシック曲として人気の一曲ですが、実は「難しいけど、弾けないわけじゃない」という絶妙なラインにあります。

ぜひ最後まで読んで、次に練習したい一曲を見つけてみてください。


ショパン ノクターンとは|21曲に込められた「夜の詩」

ショパン ノクターンとは|21曲に込められた「夜の詩」

ノクターン(夜想曲)とは、文字どおり「夜」を題材にした性格的小品のことです。

ショパンはこのジャンルを愛し、生涯をかけて計21曲を残しました。最初の作品集が出版されたのは1832年。ショパンがまだ21歳の頃でした。

ソラ
「ノクターンってショパンが作ったジャンルなの?」
カイ
「実はノクターンはアイルランドのピアニスト、ジョン・フィールドが考案したんです。でもショパンがその様式を深化させ、後世に広めたと言っていいでしょう。」

ショパンのノクターンには、繊細な装飾音、右手が奏でる歌うような旋律、左手がつくる穏やかなアルペジオ伴奏という共通した特徴があります。形式的に難解なものは少なく、「感情をどう音に乗せるか」という表現力が問われる作品群です。

ピアノを習っている方ならば、一度は憧れたことがあるのではないでしょうか。クラシック音楽の中でも特別な存在感を放つノクターン。まずはその全体像を把握してから、自分に合った一曲を選ぶことが大切です。


ショパンのノクターン難易度一覧|全21曲を表で確認

ショパンのノクターン難易度一覧|全21曲を表で確認

ショパン ノクターンのピアノ難易度を一覧にまとめました。難易度の目安は国際的に広く使われているG.Henle社の評価(1〜9段階)を参考にしています。

曲名 作品番号 調性 難易度(Henle) レベル目安
第1番 Op.9-1 変ロ短調 6 中級
第2番 Op.9-2 変ホ長調 6 中級
第3番 Op.9-3 ロ長調 7 上級
第4番 Op.15-1 ヘ長調 6 中級
第5番 Op.15-2 嬰ヘ長調 6 中級
第6番 Op.15-3 ト短調 5 中級
第7番 Op.27-1 嬰ハ短調 6 中級
第8番 Op.27-2 変ニ長調 6 中級
第9番 Op.32-1 ロ長調 5 中級
第10番 Op.32-2 変イ長調 6 中級
第11番 Op.37-1 ト短調 5 中級
第12番 Op.37-2 ト長調 6 中級
第13番 Op.48-1 ハ短調 7 上級
第14番 Op.48-2 嬰ヘ短調 6 中級
第15番 Op.55-1 ヘ短調 6 中級
第16番 Op.55-2 変ホ長調 6 中級
第17番 Op.62-1 ロ長調 6 中級
第18番 Op.62-2 ホ長調 6 中級
第19番 Op.72-1 ホ短調 5 中級
第20番(遺作) 嬰ハ短調 5 中級
第21番(遺作) ハ短調 5 中級

ショパンのノクターンで上級はどれ?

全21曲のうち、「上級(Henle 7)」に分類されるのは第3番 Op.9-3と第13番 Op.48-1の2曲だけです。それ以外の19曲はすべて中級ランクに属しており、全体的に弾きやすい部類のクラシック作品と言えます。

ただし「中級」とはいっても、Henleの難易度5(第6番・第9番・第11番・第19番・第20番・第21番)が最も取り組みやすく、難易度6のグループは少々テクニックが必要になってきます。

初心者・入門者にはどれが向いている?

ピアノを始めて1〜2年程度の方が挑戦するなら、難易度5の曲が入り口として適しています。なかでも第20番(遺作)は、映画「戦場のピアニスト」の印象的なシーンで使われたことで一躍有名になりました。哀愁漂うシンプルな主旋律が魅力で、テクニック面での要求は比較的緩やかです。ただし、後半に現れる長い連符の処理は丁寧に練習する必要があります。


ショパンのノクターン2番_ピアノ難易度はどのくらい?

ショパンのノクターン2番_ピアノ難易度はどのくらい?

ショパン ノクターンの中でもっともよく知られているのが第2番 Op.9-2(変ホ長調)です。フィギュアスケートの演技BGMやドラマの挿入歌として耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。1830〜1831年に作曲され、ピアノ製造業者でショパンの友人でもあったカミーユ・プレイエルの妻マリーに捧げられた作品です。

ソラ
「ノクターン2番って、有名だし意外と簡単そうに聞こえるんだけど、実際どうなの?」

 

カイ
「Henleの難易度は6(中級)です。技術的にそれほど高い壁はないのですが、”聴いてもらえる演奏”にするには相当な表現力が必要で、『弾けるけど弾きこなすのが難しい』という曲でもあるんです。」

ショパンノクターン2番の演奏時間と曲の構成

演奏時間は約4〜5分。アンダンテのテンポで12/8拍子、ロンド風の形式をとっています。曲全体が柔らかな夜の光のように流れる構成で、急激なテンポ変化や難しい跳躍はほとんど出てきません。それが「易しそう」と感じさせる理由のひとつです。

しかし楽譜をよく見ると、旋律線には繊細な装飾音(トリルや細かな音型)が頻繁に現れます。これらを音楽的に自然に処理できるかどうかが、演奏のクオリティを大きく左右します。

ショパンノクターン2番の技術的な難しさ・装飾音とルバート

ノクターン9-2のピアノ難易度を語るうえで外せないのが、右手旋律に散りばめられた装飾音の扱いです。弾き始めのうちは装飾音を省いた形で練習し、旋律の流れを体に染み込ませることをおすすめします。その後少しずつ装飾を加えていくと、無理なく曲の全体像をつかめます。

また、ショパンの音楽に欠かせないルバート(テンポの自由な揺らし)も、この曲では重要な役割を担っています。メトロノームに合わせて弾くだけでは、どこか機械的な印象になってしまいます。「息をするように」テンポを揺らす感覚を大切にしましょう。


ノクターン 9-2 ピアノ難易度の攻略ポイント3つ

ノクターン 9-2 ピアノ難易度の攻略ポイント3つ

ショパンのノクターン第9番2番は、ピアノを弾く人なら一度は弾いてみたいと思う憧れの曲ではないでしょうか。

でも、いざ楽譜を開いてみると、こんな疑問が浮かんでくるかもしれません。

  • 左手のアルペジオと右手の旋律をどうやって同時にコントロールすればいいの?
  • 装飾音符がたくさんあって、どこから練習すればいいかわからない…
  • 強弱の表現がむずかしくて、なんとなく弾くだけになってしまっている

ここからは、ショパンのノクターン第9番2番を具体的にどう練習すればうまくなれるのか、攻略ポイントを3つに絞って解説します。「なんとなく弾ける」から「表現して弾ける」へのステップを、一緒に確認していきましょう。

左手アルペジオを「土台」として先に仕上げる

左手が奏でるアルペジオ(分散和音)は、この曲全体の土台です。右手の旋律がどれだけ美しく奏でられていても、左手が不安定では曲のムードが崩れてしまいます。

なぜ左手から仕上げる必要があるのか。

この曲の左手は単なる伴奏ではなく、波のようにゆったりと揺れるアルペジオそのものが、曲全体の「空気」をつくっています。

左手の動きに意識が向いている状態では、右手の旋律に集中する余裕が生まれません。

左手が「考えなくても動く」レベルになって初めて、右手で音楽を歌う余裕が生まれてくるのです。

練習を重ねていくと、ある変化を実感する瞬間があります。最初は次の和音を確認しながら弾いていたのが、左手が自然に動いていることに気づいたとき、自分の演奏を「聴く」余裕が生まれてきます。「こんなにきれいな旋律だったのか」と改めて感じられるのは、まさにそのタイミングです。左手を先に仕上げることの意味は、そこにあります。

調性が変ホ長調ということで、黒鍵が多めに登場します。弾き始めは少しぎこちなく感じるかもしれませんが、焦らず手首の脱力を意識しながら丁寧に進めていきましょう。

装飾音は「後乗せ」で練習する

初めから全ての装飾音を入れようとすると、旋律の流れが途切れがちになります。

まず装飾音を省いたシンプルな旋律だけを弾き、音楽の「呼吸」を感じること。その後、装飾音を少しずつ加えていく「後乗せ」方式が効果的です。

なぜこの順番が重要なのか。 装飾音の練習でつまずく多くの方は、旋律の骨格をまだ十分に歌えていない段階で装飾音を加えようとしています。

しかし装飾音はあくまで旋律を「彩る」ものです。骨格が曖昧なまま飾りをつけると、音楽がどこへ向かっているのかが曖昧になってしまいます。

シンプルな旋律だけを弾く練習を続けると、「ここで一息つく」「ここは前へ進む」という音楽の流れが自然に見えてきます。

装飾音を加えるのはその後。そうすることで、装飾音が「ただ音が増えた」のではなく、旋律をより艶やかに見せるための動きとして自然に馴染んできます。「邪魔にならずに溶け込んだ」と感じられたとき、演奏の完成度が一段と上がっていることに気づくはずです。

ショパン自身もレッスンの際、生徒に「まずシンプルに弾きなさい」と指導していたと伝えられています。装飾音はあくまで旋律を彩るものであって、旋律そのものを邪魔してはいけないのです。

強弱とタッチの「グラデーション」を磨く

ノクターン9-2の最大の魅力は、ダイナミクス(強弱)の幅広さにあります。ppからmfにかけての変化がとても豊かで、単純に「小さく」「大きく」弾くだけでは表現が一本調子になってしまいます。

ここで意識してほしいのは、「音量を変える」と「タッチを変える」は別のことだということです。 ppで弾こうとして鍵盤を軽く押さえるだけでは、音が薄くなるだけで響きが消えてしまいます。ppであっても音に「芯」が残っている状態が理想です。音量の調整だけでなく、指先から鍵盤へ伝わる重さや速度を少しずつ変えることで、表現に奥行きが生まれます。

「ppはほとんど空気のように」「mfは月明かりが増すように」というイメージで練習を重ねていくと、自分の音を「聴きながら」弾けるようになってくる感覚が出てきます。次の音をどんなタッチで打鍵するか、耳が先回りして判断し始めるのです。この「耳と指が連動している感覚」が生まれたとき、演奏は確実に一段階深みを増しています。

ショパンの音楽は、この微妙なタッチの差が演奏の深みを決定づけます。「音量を変える」ではなく、「空気の密度を変える」イメージで鍵盤と向き合ってみてください。


難易度別おすすめノクターン|あなたのレベルに合った一曲を

ここでは、ピアノのレベル別に「最初に弾くべきノクターン」をご提案します。全21曲から選ぶのは迷ってしまうかもしれませんが、以下を参考にすると選びやすくなるはずです。

中級前半〜中級の方:難易度5のグループから始めよう

Henle難易度5の曲は技術的な要求が比較的穏やかで、音楽的な楽しさを最優先に味わえます。特におすすめは以下の3曲です。

  • 第20番(遺作):映画「戦場のピアニスト」で有名。哀愁漂うシンプルな主旋律が美しく、達成感を得やすい一曲。
  • 第21番(遺作):遺作シリーズのもう一曲。静けさの中に品格があり、やや落ち着いたテンポで丁寧に弾きたい作品。
  • 第19番 Op.72-1:穏やかでメランコリックな雰囲気。ショパンの遺作として出版された比較的シンプルな曲構成が特徴です。

中級〜中級上位の方:難易度6のグループへ挑戦

Henle難易度6になると、装飾音の処理や表現の幅が求められてきます。ノクターン2番(Op.9-2)はこのグループに属し、中級ピアニストの目標曲として最適です。

同じグループでは、第1番 Op.9-1(変ロ短調)も挑戦しやすい曲として知られています。第2番と対になる作品で、どこか孤独で内省的な雰囲気をもっています。

中上級・上級の方:難易度7の2曲に挑む

技術と表現力がそろってきたら、第3番 Op.9-3第13番 Op.48-1という2つの「上級ノクターン」にチャレンジしてみてください。

第3番は、典型的なサロン音楽として優雅な主部と劇的に変貌する中間部の対比が見どころです。第13番(ハ短調)はノクターンの中でも特別に壮大な一曲で、物静かな提示部と嵐のような中間部が圧巻。ノクターンのイメージを大きく超えた表現力が求められます。


ショパン ノクターンが「難しい」本当の理由

技術的な難易度だけを見れば「中級程度」のショパン ノクターンが、なぜベテランのピアニストでさえ深く向き合い続ける曲なのでしょうか。その理由は、テクニックの向こう側にある「歌い方」の深さにあります。

旋律の「歌い方」は技術では測れない

ショパンは生前、弟子たちに「ピアノで歌いなさい」と口癖のように言っていたと伝えられています。声楽的なラインをピアノという楽器で表現するためには、鍵盤のタッチを細かくコントロールする技術が必要です。しかし、もっと大切なのは「どんな声で歌うか」というイマジネーションです。

ノクターンを聴くとき、多くの人が「夜の静けさ」「甘くせつない感情」「月明かりの下の孤独」といった情景を心に浮かべます。演奏者はその情景を音として再現しなければなりません。楽譜に書かれた記号だけでは表せない部分が、ノクターンには山ほどあります。

「ショパン弾き」と呼ばれるほどの微妙なニュアンス

ショパンの演奏スタイルには「ショパン弾き」と呼ばれる独特のアプローチがあります。ルバート(テンポの揺らし)、ペダルの豊富な使用、左手の安定と右手の自由な歌い回し、これらを自然に組み合わせることが求められます。

ポーランド出身のピアニスト、マルタ・アルゲリッチのノクターン演奏は、そのダイナミクスのコントラストとテンポの大胆な揺らしで定評があります。一方、アルトゥール・ルービンシュタインの晩年の録音は、落ち着いた品格の中に深い感情が宿っており、長年にわたって標準的な解釈として親しまれてきました。

▶ 練習の合間に、複数の演奏家によるノクターン2番を聴き比べてみましょう。同じ楽譜から生まれた音楽が、これほど違う表情を持つという発見が、自分の演奏のヒントになるはずです。


ノクターン第20番(遺作)との難易度比較

ノクターン2番と並んで人気が高いのが**第20番(遺作)**です。この2曲はよく比較されますが、難易度の面でも、音楽的な性格の面でも、対照的な魅力を持っています。

技術面での比較

比較項目 第2番 Op.9-2 第20番(遺作)
Henle難易度 6(中級) 5(中級)
テンポ感 ゆったり(アンダンテ) やや遅め(レント)
装飾音 多い 少ない
技術的難所 装飾音・ルバート 後半の長い連符
演奏時間 4〜5分 3〜4分

第20番は装飾音が少なく、シンプルな旋律線が特徴です。そのぶん、旋律の「抑揚」や「間合い」をしっかり表現する必要があり、表現力という意味ではけして易しくはありません。ただし技術的なハードルは2番より低いため、ショパン初挑戦の方には第20番から始めることをおすすめします。

映画・メディアでの露出度

第20番は2002年公開の映画「戦場のピアニスト」でピアノ独奏の場面に使われたことで、クラシック音楽ファン以外にも広く知られるようになりました。劇中でピアニスト、ウワディスワフ・シュピルマン(演:エイドリアン・ブロディ)が演奏するシーンは、映画史に残る名場面のひとつです。

一方、第2番はドラマや広告など、日常的なメディアにより頻繁に登場します。「どこかで聴いたことがある」曲の筆頭として、多くの人の心に親しんでいます。


まとめ:ショパン ノクターンのピアノ難易度まとめ

この記事で解説してきた内容を、最初に提示した疑問に沿ってまとめます。

  • ノクターンは初心者でも弾けるの? → 全21曲のほとんどが中級ランク(Henle 5〜6)で、入門者には難易度5の第20番(遺作)や第21番(遺作)が最初の挑戦として適しています。完全な初心者にはやや難しいですが、少しピアノ経験がある方であれば十分挑戦できます。
  • ノクターン2番の難易度は? → Henle難易度6の中級曲です。技術的に越えられない壁ではありませんが、装飾音の処理、ルバート、タッチのグラデーションなど、表現力の面で奥が深い一曲です。
  • どの曲から挑戦すればいい? → 中級前半の方は第20番(遺作)、中級の方はノクターン2番(Op.9-2)、上位中級・上級の方は第3番(Op.9-3)または第13番(Op.48-1)がおすすめです。

ショパン ノクターンは、楽譜のうえでは「中級」と表記されていても、音楽的な深さは底なしです。技術の向こう側に広がる「歌い方」の世界を、ぜひ自分の演奏で探求してみてください。

ノクターン2番に挑戦したい方は、まず複数の演奏家の録音を聴き比べることから始めてみましょう。ショパンの世界への扉が、きっと開くはずです。