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ベートーヴェンのピアノソナタ第17番「テンペスト」の難易度は、全音ピアノピースでE(上級)、ドイツのヘンレ社の9段階評価で8です。いっぽう、いちばん人気の第3楽章だけなら、ヤマハの大人向け名曲集で中上級。そして実際に弾いた人たちの声を集めると、「ピアノ歴10年前後の中学生が発表会で弾く曲」であり、「大人の再開組が数年で手が届く曲」でもあります。
途切れることなく流れ続ける第3楽章の旋律に心をつかまれ、「いつか自分の手で弾いてみたい」と思った方も多いのではないでしょうか。ただ、楽譜の難易度表記を眺めているだけでは、「それで、自分は何年目で弾けるの?」という本当に知りたいことには答えが出ません。
- 「テンペストの第3楽章は、ピアノ何年目くらいで弾けるの?」
- 「第1楽章・第2楽章と比べて、第3楽章はどれくらい難しい?」
- 「悲愴や月光、幻想即興曲と比べると、テンペストはどの位置にあるの?」
この記事は、悲愴や月光の一部の楽章を弾いたことがある方や、大人になってピアノを再開して「次はテンペストの第3楽章を」と考えている方に向けて書いています。出版社の難易度表記を確かめたうえで、Yahoo!知恵袋・ピアノ再開ブログ・海外のピアノフォーラムで実際に弾いた人が語っている声を集め、何年目で弾けるのかの目安、楽章別の難しさ、挑戦できるかを判断するチェック表、仕上げまでの練習ステップを順番にお答えします。
テンペストの難易度は?全音E・ヘンレ8、第3楽章は「中上級」

テンペストの難易度は、ソナタ全体で「上級」、第3楽章だけなら「中上級〜上級」が目安です。まずは3つの出版社の評価を並べて、テンペストの位置を確かめましょう。
全音ピアノピースでは「E(上級)」
全音楽譜出版社の全音ピアノピースでは、「ソナタ テンペスト」(No.184)は6段階のうちE(上級)です。同じEには、ベートーヴェンの「月光の曲」、ショパンの「幻想即興曲」「ノクターン第2番」、リストの「愛の夢 第3番」「ラ・カンパネラ」などが並びます。発表会で「大曲」として弾かれる曲と同じグループだと考えるとイメージしやすいでしょう。
ただし、同じEでも曲によって手ごたえはかなり違います。42歳でピアノを再開したあるブロガーの方は、自身が弾いた曲を10段階で採点し、テンペスト第1楽章を★6としたうえで「同じEのショパンのノクターン第1番・第2番(★5)より明らかに難しいが、革命のエチュード(★7)ほどではない」と書いています(出典:somalica.hatenadiary.com「42歳からのピアノ再開!」2024年1月)。Eの中では真ん中あたり、というのが実感に近い位置づけです。
ヘンレ社の9段階では「8」
原典版で知られるヘンレ社(G. Henle Verlag)は、ピアノ曲を1〜9の9段階で評価しています。1〜3がやさしい、4〜6が中級、7〜9が難しいという区分で、テンペストは8(難しい)。同じヘンレ社の評価で、悲愴と月光は7、熱情は9なので、テンペストは三大ソナタのちょうど間に位置します。
第3楽章はヤマハの大人向け名曲集で「中上級」
ヤマハミュージックメディアの『ピアノの先生が選んだ 大人が弾きたいクラシック名曲集』には、テンペストの第3楽章が原曲のまま収録されており、難易度は中上級です。同じ曲集では、月光ソナタ第1楽章や悲愴ソナタ第2楽章も中上級とされています。ソナタ全曲ではなく第3楽章だけを目標にするなら、手が届く範囲にあるということです。
| 物差し | テンペストの評価 | 対象 |
|---|---|---|
| 全音ピアノピース(No.184) | E(上級) | ソナタ全体 |
| ヘンレ社(HN 784) | 8/9段階(難しい) | ソナタ全体 |
| ヤマハ『大人が弾きたいクラシック名曲集』 | 中上級 | 第3楽章のみ |
出典:全音ピアノピース公式サイト「難易度から探す」、G. Henle Verlag商品ページ、ヤマハミュージックメディア商品ページ(2026年10月時点)
テンペスト第3楽章は何年目で弾ける?実際に弾いた人の声から

テンペスト第3楽章を弾けるようになる時期は、子どもの頃から習っている人なら10年前後、大人の再開組なら再開から2〜5年が、実際に弾いた人の声から見えてくる目安です。楽譜の難易度表記だけでは分からない「リアルな声」を、出典とともに整理しました。
「中3・ピアノ歴10年」で発表会に選ぶ曲
Yahoo!知恵袋には2023年6月、ピアノ歴約10年の中学3年生が「テンペストの第3楽章はどのくらいの難易度か。10年の経験で選ぶには甘すぎる曲なのか」と質問した投稿があります。質問者はその数日後、実際に発表会でこの曲を弾きました。
寄せられた回答で印象的なのは、「ベートーヴェンのソナタはたいてい中級中レベル以上で、第3楽章は中級中レベル。難しくはない」と前置きしたうえで、「音を並べるだけではとんでもなくつまらない曲になり、音楽として流れ始めると美しくなる」と述べたベストアンサーです。別の回答者は実際に弾いた経験から、「一箇所ずつはそこまで難しくないが、曲が長いので実力が足りないと途中で手が痛くなる」「中間部はメロディがなく、もやっとしていて覚えるのが大変だった」と書いています。
つまり、音を出すだけなら10年も要らないが、最後まで流れを保って「音楽」にするには10年分の積み重ねがちょうどいい、という温度感です。
大人の再開組は「再開から数年」で第1楽章にも挑戦している
先ほどの42歳から再開したブロガーの方は、20数年ぶりにピアノを再開し、2023年の発表会のあとにテンペスト第1楽章に取り組んでいます。再開後に弾いた曲として英雄ポロネーズやラ・カンパネラも並んでいるので、かなり熱心に練習されている方ではありますが、「大人の再開組には無理な曲」ではないことがよく分かる例です。
また、ピアノ解説サイト「Your Harmony」は、テンペスト全曲に到達するまでの期間を「全くの初心者なら5〜10年、ソナチネ修了レベルなら2〜5年、大人から始めた場合はそれに2〜3年を足す」と見積もっています(同サイト自身が「希望的観測が強め」と断っている目安です)。第3楽章だけに絞るなら、この見積もりの短いほうを目安にしてよいでしょう。
海外フォーラムでは「忍耐があれば弾ける、でも成熟が要る」
英語圏のピアノフォーラム「Piano Street」でも、テンペストの難易度はたびたび話題になっています。あるスレッドでは、第3楽章の1ページ目を弾き終えた投稿者が「難しいが、忍耐があれば弾ける。ただし簡単ではない」と書き、別の投稿者は「ベートーヴェンのソナタの中でも難しい部類で、相当な成熟と音楽的表現を要求される」と述べています。ベートーヴェン初期のソナタ第6番(作品10-2)と比べると、テンペストのほうが明らかに難しいという意見が多数でした。
「指が動けば弾ける」のではなく、「弾き続ける体力」と「音楽として流す耳」がそろって初めて仕上がる。日本でも海外でも、経験者の意見はこの一点で一致しています。
| 声の出どころ | 弾いた人のレベル | 言っていること |
|---|---|---|
| Yahoo!知恵袋(2023年) | 中学3年生・ピアノ歴約10年 | 発表会で第3楽章を演奏。回答は「中級中レベル、音楽にするのが本番」「長いので手が痛くなる」 |
| Yahoo!知恵袋(2020年) | ピアノ歴約10年 | テンペスト第3楽章→幻想即興曲の順で仕上げ、月光第3楽章へ。「冒頭は弾きやすいが3ページ目以降で崩れやすい」 |
| ピアノ再開ブログ(2024年) | 42歳で再開・再開後数年 | 第1楽章に挑戦。10段階で★6。「トレモロ以外に技術的な難所は少ない」 |
| Piano Street(海外フォーラム) | 学習者・経験者 | 「忍耐があれば弾けるが、成熟と表現力が要る」「作品10-2より明らかに難しい」 |
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テンペスト第3楽章の難易度|止まらない16分音符との持久戦

テンペスト第3楽章(Allegretto・ニ短調・8分の3拍子)の難しさは、同じ音型の16分音符が、ほとんど途切れずに最後まで続くことにあります。一つひとつの音型は手の形に沿っていて弾きにくくはないのですが、それを均一な粒と一定のテンポで数分間保ち続けるのが最大の課題です。「無窮動(むきゅうどう/ペルペトゥウム・モービレ=止まらずに動き続ける音楽)」と呼ばれるタイプの楽章だと知っておくと、練習の組み立て方が変わります。
▲ ベートーヴェン:ピアノソナタ第17番「テンペスト」第3楽章(演奏:Ashley Wass)
難所1:冒頭の音型を「均一に」回し続ける
テンペスト第3楽章は、分散和音(和音の音を1つずつ順番に弾く形)を使った短い音型から始まり、この音型が楽章全体を通して形を変えながら繰り返されます。テンポが「Allegretto(やや速く)」で、速すぎない指示であることも大切なポイントです。弟子のチェルニーは、ベートーヴェンがこの音型を「窓の外を馬が駆け抜けていく音」から思いついた、と伝えています。速く弾こうとするほど音の粒が乱れ、この「ひたひたと迫る馬の足音」のような雰囲気が失われてしまいます。
難所2:「3ページ目以降」で崩れる中間部
知恵袋で経験者が口をそろえて指摘していたのが、「冒頭は弾きやすいので多くの人が手を出すが、3ページ目以降で崩れる」という点です。中盤の展開部は冒頭の音型をもとに音楽がどんどん高まり、169〜173小節あたりで頂点を迎えますが、ここにははっきりしたメロディがなく、同じような音型の転調が続くため、譜読みしても頭に残りにくいのです。「中間部はもやっとしていて覚えるのが大変だった」という声は、まさにこの部分を指しています。
対策は、音量を上げながらもテンポと音の粒を崩さないことと、展開部だけを和声(コードの流れ)で覚えること。「ここはニ短調、次はイ短調……」と調の移り変わりを言葉にしておくと、暗譜が一気に安定します。
難所3:左右の手で音型を受け渡す部分と、腕の疲れ
テンペスト第3楽章では、右手と左手で音型を受け渡す場面が何度も出てきます。受け渡しの瞬間に音量やリズムがずれると、流れが途切れて聞こえます。両手で1本の線を描くイメージで、受け渡しの部分だけを取り出してゆっくり練習するのが効果的です。
そしてもう一つ、経験者が必ず挙げるのが「曲が長いので途中で手が痛くなる」という問題です。演奏時間は6〜7分ほど。力んで弾いていると、後半の381小節からのフォルティッシモ(とても強く)で下りてくる半音階に到達する前に、腕が限界を迎えます。痛みが出るのは「実力不足」ではなく「脱力の不足」のサインなので、手首をやわらかく保ち、腕の重さで音を出す練習に立ち返りましょう。
【一次情報を追加:執筆者がテンペスト第3楽章で特に苦労した部分(または生徒がつまずいた部分)と、その乗り越え方を1〜3文】
テンペスト第1楽章・第2楽章の難易度|全楽章を比べると
テンペストは3つの楽章でできており、全曲の演奏時間はおよそ25分です。第3楽章がいちばん人気ですが、表現の難しさでは第1楽章、静かな美しさを保つ難しさでは第2楽章にも、それぞれ別の壁があります。以下の楽章別の難易度は、出版社の評価と経験者の声をもとにした当サイトの目安です。
| 楽章 | テンポ・調 | 難しさの中心 | 難易度の目安 |
|---|---|---|---|
| 第1楽章 | Largo – Allegro/ニ短調 | 静と嵐の急な切り替え、左手トレモロ、レチタティーヴォの響き | 上級(E) |
| 第2楽章 | Adagio/変ロ長調 | ゆっくりした音楽の中で緊張感と多声部の弾き分けを保つ | 中上級(D〜E) |
| 第3楽章 | Allegretto/ニ短調・8分の3拍子 | 途切れない16分音符の持久力と均一な粒 | 中上級〜上級(D〜E) |
第1楽章:静けさと嵐がめまぐるしく入れ替わる
テンペスト第1楽章は、ゆっくりした分散和音(Largo)と、激しく駆け出す部分(Allegro)が何度も急に入れ替わるのが特徴です。テンポも性格も違う音楽を瞬時に切り替える必要があり、楽譜の音以上に「演じる力」が求められます。再現部の入り口では、ペダルを踏んだまま語りかけるようなレチタティーヴォ(オペラで登場人物が語るように歌う部分のこと)が現れ、ここをどう響かせるかが聴かせどころです。
▲ ベートーヴェン:ピアノソナタ第17番「テンペスト」第1楽章(演奏:Ashley Wass)
技術面でいちばんの難所は、転調して2回現れる左手・右手のトレモロ(2つの音を細かく交互に弾き続ける奏法)です。先ほどの再開ブログの方も、「1回目はフォルテで始まって途中からピアノになるので、音量を抑えないとうるさくなる」「2回目は指がつりそうになり、試行錯誤の末に指づかいを変えた」と書いたうえで、「逆に言えば、この2箇所さえ弾ければ、技術的に難しいところは少ない」と結論づけています。
第2楽章:静かな美しさを保つ難しさ
テンペスト第2楽章は変ロ長調のゆったりした楽章で、第1楽章のレチタティーヴォを思わせる響きから始まります。音符の速さは控えめですが、ゆっくりした音楽の中で緊張感を途切れさせないのは簡単ではありません。付点のリズム(長い音と短い音の組み合わせ)が遠くの太鼓のように鳴り続ける中で、メロディをなめらかにつなぐレガート、複数の声部の弾き分け、繊細なタッチが求められます。第3楽章で指が回るようになった人が、次に表現力を磨く楽章として取り組むのに向いています。
▲ ベートーヴェン:ピアノソナタ第17番「テンペスト」第2楽章(演奏:Ashley Wass)
おすすめは「第3楽章→第2楽章→第1楽章」の順
全楽章制覇を目指すなら、第3楽章で「弾き続ける体力」をつけ、第2楽章で「歌わせる耳」を育て、最後に第1楽章の「演じる力」に挑む順番がおすすめです。第1楽章から始めると、トレモロと場面転換の両方に同時にぶつかって挫折しやすいからです。発表会なら、第3楽章単独でも十分に1曲として成立します。
テンペストは悲愴・月光・幻想即興曲と比べてどれくらい難しい?

ベートーヴェンの有名ソナタの中で、テンペストは「月光と熱情の間」に位置します。そして第3楽章だけを取り出すなら、幻想即興曲や月光第3楽章より先に手をつけやすい曲です。出版社の評価と経験者の声を合わせて整理しました。
| 曲 | 全音 | ヘンレ | 最初に挑戦しやすい楽章 |
|---|---|---|---|
| 悲愴(作品13) | D(中級上) | 7 | 第2楽章 |
| 月光(作品27-2) | E(上級) | 7 | 第1楽章 |
| テンペスト(作品31-2) | E(上級) | 8 | 第3楽章 |
| 熱情(作品57) | F(上級上) | 9 | 第2楽章 |
月光第3楽章とテンペスト第3楽章はどっちが難しい?
どちらも速い終楽章ですが、月光第3楽章は激しい跳躍とスピード、テンペスト第3楽章は一定の流れを保つ持久力が課題で、難しさの種類が違います。テンポの指示もテンペストは「Allegretto(やや速く)」で、月光第3楽章の「Presto agitato(きわめて速く、激しく)」より落ち着いています。
▲ ベートーヴェン:ピアノソナタ第14番「月光」第3楽章(演奏:ダニエル・バレンボイム)
知恵袋には2020年、ピアノ歴約10年の方が「テンペスト第3楽章・幻想即興曲・月光第3楽章を難易度順に並べると?」と質問した投稿があり、回答はほぼ一致して「月光第3楽章がいちばん上」でした。月光第3楽章には9度(ドから1オクターブ上のレまで)をまたぐフレーズが多く、手の小さい人には物理的に厳しいのに対し、テンペスト第3楽章は手の大きさが問題になりにくいという指摘もありました。質問者ご本人も、テンペスト第3楽章→幻想即興曲の順に仕上げ、その後に月光第3楽章へ進んでいます。悲愴の楽章別の難易度はベートーヴェン「悲愴」の難易度|楽章別に解説、月光の弾き方は月光ソナタの難易度と弾き方で詳しく解説しています。
幻想即興曲とテンペスト第3楽章はどっちが先?
音を並べるところまでならテンペスト第3楽章のほうが早い、というのが経験者の一致した意見です。幻想即興曲は右手4つに対して左手3つを合わせる「4対3」のリズムができないと形にならず、そこで止まる人が多いからです。ただし、知恵袋のベストアンサーが「テンペストは楽譜どおりに弾けば一応最後まで弾けるが、それだけでは練習曲のようになってしまう」と釘を刺していたように、「弾けた」と言える完成度にするのは、テンペストのほうが難しい面もあります。「まず通せるようになる達成感」が欲しいならテンペスト第3楽章から、「華やかさ」を優先するなら幻想即興曲から、と目的で選ぶのがよいでしょう。
▲ ショパン:幻想即興曲 Op.66(演奏:アルトゥール・ルービンシュタイン)
挑戦前の進度チェック表|4つ以上当てはまれば第3楽章へ
テンペスト第3楽章に挑戦できる目安は、ソナタアルバム(モーツァルトやベートーヴェンの初期ソナタを集めた教本)の速い楽章を1曲以上仕上げ、ベートーヴェンの「悲愴第2楽章」や「月光第1楽章」クラスを弾いたことがある段階です。経験者の声にあった「冒頭だけ弾けて3ページ目で崩れる」を避けるために、着手前に次の6項目を確かめてみてください。
目安は「ソナタアルバム〜悲愴第3楽章」の後
テンペスト第3楽章は、指の動きそのものよりも、長い時間にわたって16分音符を均一に弾き続ける持久力が問われる曲です。ソナタアルバムでモーツァルトやベートーヴェンの速い楽章を弾き込んできた人なら、手の動きにはすぐなじめるはずです。逆に、まだソナチネの途中という段階なら、ソナチネの速い楽章で「同じテンポで弾き続ける」練習を積んでからのほうが、結果的に早く仕上がります。
▲ ベートーヴェン:ピアノソナタ第8番「悲愴」第3楽章
挑戦前の進度チェック表
次の6項目のうち、4つ以上当てはまれば第3楽章に挑戦してOKです。2〜3つなら時間をかけるつもりで、1つ以下なら月光第1楽章や悲愴第2楽章から始めるのがおすすめです。
| チェック項目 | テンペスト第3楽章のどこで必要? |
|---|---|
| ソナタアルバムの速い楽章を1曲以上仕上げたことがある | 楽章全体 |
| 16分音符を2分以上、粒をそろえて弾き続けられる | 途切れない音型の持続 |
| 右手と左手で音型をなめらかに受け渡せる | 両手の受け渡し部分 |
| フラット1つの短調(ニ短調)の譜読みに慣れている | 楽章全体 |
| 音量を上げてもテンポが走らない | 展開部のクライマックス(3ページ目以降) |
| 3拍子の曲で、1小節を大きく1拍に感じて弾ける | 8分の3拍子の流れ |
大人・再開組がテンペスト第3楽章を弾くなら|練習ステップ5

大人や再開組がテンペスト第3楽章を弾くなら、「速く弾く」より「同じテンポで長く弾く」ことを目標に練習を組み立てましょう。経験者が挙げていた「3ページ目で崩れる」「中間部が覚えられない」「手が痛くなる」の3つのつまずきを、先回りしてつぶす5ステップです。
ステップ1:冒頭の音型をゆっくり均一に(1〜2週間)
冒頭の音型を、メトロノームを使ってゆっくり弾きます。4つの音がすべて同じ大きさ・同じ長さで鳴っているかを、耳でよく確かめましょう。指定のAllegrettoは4分音符=100〜110前後が目安ですが、最初は半分のテンポで構いません。ここで「粒をそろえる耳」を作っておくと、後の全ステップが楽になります。
ステップ2:16小節ずつ区切って譜読み(3〜4週間)
テンペスト第3楽章は同じ音型が続くぶん、どこを弾いているのか迷子になりやすい曲です。楽譜に16小節ごとの区切り線を書き込み、区切りごとに仕上げていくと、全体の地図が頭に入ります。とくに「3ページ目以降」の展開部は、調の名前を書き込みながら進めてください。メロディのない部分こそ、和声で覚えるのがいちばんの近道です。
ステップ3:受け渡しの部分だけを取り出す(2週間)
右手と左手で音型を受け渡す部分だけを抜き出して、片手ずつ、次に両手でゆっくり練習します。つなぎ目で音量がそろうまで繰り返しましょう。録音して聴くと、自分では気づかない「つなぎ目のコブ」がはっきり分かります。
ステップ4:通す長さを少しずつ伸ばす(1〜2か月)
区切りが安定してきたら、2区切り、4区切りと通す長さを伸ばします。持久力は一度に伸ばそうとせず、毎日少しずつ。腕に疲れや痛みを感じたら、その日はそこで止めるのが、手を痛めないための大切なルールです。「途中で手が痛くなる」という経験者の声は、この段階を急いだ人のものだと考えてください。
ステップ5:録音して「テンポの走り」を確認(仕上げ)
通せるようになったら、必ず録音して聴き返します。テンペスト第3楽章でいちばん多い失敗は、盛り上がる展開部でテンポが前のめりになり、再現部に戻ったときに最初より速くなっていることです。冒頭と再現部(150小節あたり)のテンポが同じかどうかを、メトロノームで確かめましょう。ここまでできれば、知恵袋のベストアンサーが言う「音楽として流れ始めると美しくなる」段階に入っています。
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テンペストとは?シェイクスピアと難聴の苦悩
テンペスト(ピアノソナタ第17番 ニ短調 作品31-2)は、1801年から1802年にかけて作曲されたベートーヴェン30歳前後の作品です。「テンペスト(嵐)」という愛称には、よく知られたエピソードがあります。
「シェイクスピアの『テンペスト』を読め」
ベートーヴェンの秘書を務めたアントン・シンドラーは、このソナタと熱情ソナタの解釈についてベートーヴェンに尋ねたところ、「シェイクスピアの『テンペスト』を読みなさい」と答えたと伝えています。この話から「テンペスト」の愛称が生まれましたが、ベートーヴェン自身が題名として付けたわけではなく、生前にこの名前で呼ばれていたわけでもありません。シンドラーの証言には疑わしいものが多いことでも知られており、ベートーヴェンが言及したのは実は牧師C.C.シュトゥルムの著作だったのではないか、という説もあります。
ハイリゲンシュタットの遺書と同じ年
テンペストが書かれた1802年、ベートーヴェンは悪化する難聴に苦しみ、医師のすすめでウィーン郊外のハイリゲンシュタットに滞在しました。この年の10月には、絶望と、それでも芸術のために生きる決意をつづった「ハイリゲンシュタットの遺書」を書いています。テンペストの激しさや、第1楽章の語りかけるようなレチタティーヴォには、この時期のベートーヴェンの心の揺れが反映されていると考える研究者もいます。
曲の背景を知ったうえで第3楽章の止まらない流れを聴くと、ただ美しいだけではない、抗えない運命に押し流されていくような切実さが感じられるのではないでしょうか。
テンペストの難易度に関するよくある質問
Q. 手が小さくても弾けますか?
テンペスト第3楽章は分散和音の音型が中心で、大きな和音を一度につかむ場面は多くありません。手の大きさよりも、手首をやわらかく使って音型を回す技術のほうが大切です。知恵袋でも「月光第3楽章は9度が多く手が小さいと厳しいが、テンペスト第3楽章は手の大きさが問題になりにくい」という回答があり、手が小さい方にも挑戦しやすいベートーヴェンの楽章の一つといえます。
Q. 第3楽章だけ発表会で弾いてもいい?
テンペスト第3楽章は単独でもよく演奏される楽章です。ヤマハの大人向け曲集にも第3楽章だけが収録されているように、1曲として独立して弾いても成立する構成になっています。知恵袋の中学3年生の方も、第3楽章単独で発表会に出ています。
Q. 独学でも弾けますか?
音を並べるところまでは独学でも到達できます。ただし、経験者の声にあった「3ページ目以降の崩れ」「テンポの走り」「手の痛み」の3つは、自分では気づきにくいのが厄介なところです。定期的に録音して聴き返すか、節目だけでも先生に聴いてもらうと、遠回りを避けられます。大人の独学については大人のピアノ独学は何から始める?60日で1曲弾ける練習の順番も参考にしてください。
Q. テンペスト第3楽章と熱情ソナタ第3楽章、どちらを先に弾くべき?
迷わずテンペスト第3楽章が先です。全音ピアノピースではテンペストがE、熱情がF、ヘンレ社ではテンペストが8、熱情が9と、どちらの物差しでも熱情のほうが上に位置づけられています。どちらも休みなく音が流れ続ける終楽章ですが、熱情第3楽章はさらに速いテンポと最後のプレストが待っています。
Q. 楽譜はどれを選べばいい?
手軽に始めるなら全音ピアノピース(No.184)、第3楽章だけを目標にするならヤマハの『ピアノの先生が選んだ 大人が弾きたいクラシック名曲集』のような曲集、原典に忠実な版で学びたいならヘンレ社の原典版(HN 784)などが選択肢です。原典版は運指(指づかい)の指示が少なめなので、独学の方は運指付きの版から入るのが無難です。
まとめ|テンペストの難易度は「全曲は上級、第3楽章は中上級から」
この記事では、ベートーヴェン「テンペスト」の難易度と、第3楽章を何年目で弾けるのかの目安を、出版社の評価と実際に弾いた人の声から解説しました。
- 難易度:全音ピアノピースでE(上級)、ヘンレ社で8。第3楽章はヤマハの大人向け曲集で中上級
- 何年目で弾ける?:子どもから習っていれば10年前後で発表会の曲に。大人の再開組は再開から2〜5年が目安。「冒頭は弾けても3ページ目で崩れる」が最大の壁
- 楽章別:第3楽章は持久力、第1楽章はトレモロと場面転換、第2楽章は静かな緊張感。挑戦は第3→第2→第1の順
- 他の曲との比較:月光第3楽章・熱情より先、幻想即興曲とは難しさの種類が違う。手の小さい人にも向く
テンペスト第3楽章は、「速く弾く曲」ではなく「流れを止めない曲」です。一定のテンポで最後まで弾き続ける力さえ育てば、音符の難しさそのものは、あなたが思っているより高くありません。この記事のチェック表と5つの練習ステップを参考に、テンペストの難易度を「憧れ」から「次の目標」に変えてみてください。
▶ こちらの記事もあわせてどうぞ:ベートーヴェン「悲愴」の難易度|楽章別に解説/月光ソナタの難易度と弾き方