華麗なる大円舞曲の難易度は、全音ピアノピースでD(中級上)、ヘンレ社の9段階評価で6です。楽譜の音は中級で読めますが、約5分の長さと同音連打があるので、体感は上級の入口に近い曲です。進度の目安は、ツェルニー30番を終えて40番に入る頃、ショパンのワルツを1曲仕上げたあとです。
ショパンのワルツで一番有名な曲といえば、華麗なる大円舞曲ではないでしょうか。ファンファーレのような序奏を聴くと、いつか舞台で弾いてみたいと憧れます。ところが「子犬のワルツと同じヘンレ6だから」と軽い気持ちで楽譜を開くと、ページ数の多さに驚くはずです。
- 華麗なる大円舞曲の難易度は、ショパンのワルツの中でどのくらい?
- ピアノを始めて何年目で弾ける? 今の自分で届く?
- 同音連打や左手の跳躍、終盤の連続和音は、どう練習すればいい?
この記事は、華麗なる大円舞曲(ワルツ第1番 Op.18)を弾いてみたい中級の方に向けて書いています。全音・ヘンレ・PTNAの評価に加え、ピアノ講師や経験者が公開している体感も集めて、難易度を1曲に絞って整理しました。ワルツ全曲の難易度順一覧、進度チェック、難所マップ、指づかいの比較図、テンポ段階表、12週間の練習計画まで載せています。ワルツ全体の鑑賞や各曲の特徴はショパンのワルツの解説、ショパン全体の難易度はショパン難易度一覧をご覧ください。
※本記事は一部PRを含みます
華麗なる大円舞曲の難易度は中級上|指標ごとの評価を比較

華麗なる大円舞曲の難易度を一言で表すと、指標は中級上、体感は長さの分だけ上級寄りです。まず、よく使われる3つの指標と演奏時間を並べます。
| 指標 | 評価 | 読み方 |
|---|---|---|
| 全音ピアノピース | D(中級上) | A〜Fの6段階の4番目 |
| ヘンレ社 | 6(medium) | 9段階の中級の上限。7から上級 |
| PTNAピアノステップ | 発展3〜展開1 | 全23ステップのうち上から3〜6番目 |
| 演奏時間 | 約5分(4分30秒〜5分50秒) | 暗譜と体力の負担が大きい |
「子犬のワルツと同じヘンレ6」の落とし穴
ヘンレの評価では、華麗なる大円舞曲も子犬のワルツも同じ6です。しかし、全音の等級は子犬のワルツがCで、華麗なる大円舞曲がDです。編集部が大きな差だと考えるのは長さです。子犬のワルツは2分前後で終わりますが、華麗なる大円舞曲は約5分かかります。序奏のあとに5つのワルツがつながり、最後にコーダが付く構成なので、弾き続けるための集中力と体力が問われます。
なぜ「華麗なる」のに中級で弾けるのか
華麗なる大円舞曲は派手に聞こえますが、極端に速く細かい動きや、手を大きく広げ続ける和音が延々と続く曲ではありません。知恵袋でも「オクターブが届けば、大きな困難にぶつかることはあまりない」という趣旨の回答が支持されています。右手の8分音符を軽く弾けると、速く難しく聞こえます。努力に対して聴き映えが大きいことが、発表会の定番になっている理由です。
ピアノ講師や経験者の体感ではどのくらい?
指標の数字だけでは、弾いたときの手ごたえは分かりません。そこで、華麗なる大円舞曲を実際に弾いた人や、難易度順に曲を並べている解説を集めて比べました。
| 出どころ | 華麗なる大円舞曲の位置づけ |
|---|---|
| ピアノ解説サイトの執筆者 | 譜読みは難しくないが、とにかく長い。基礎がないと腕が疲れてばてる。中級上は妥当 |
| 同じ解説サイトの別の執筆者 | 上級レベルの難所は見当たらないが、楽譜どおりに弾くには骨が折れる箇所が多い |
| ピアノ講師のブログ | 発表会で弾いた曲を易しい順に並べると、ワルツ第7番の次で、軍隊ポロネーズの手前 |
| 発表会の選曲サイト | 中上級の定番10曲の中で、いちばん難しい位置。ツェルニー40番やソナタアルバムの学習者を想定 |
| ショパンの難易度ランキング | 初心者〜中級向け10曲の10番目。10曲の中では最も難しい |
| 知恵袋の回答 | ショパンのワルツでは2番目くらいに難しく、全体では中級中〜中級上 |
書き手が違っても、結論はほぼ同じです。「一つひとつの技術は中級。ただし、長さと連打で消耗する」という見方で一致しています。編集部も、華麗なる大円舞曲は中級の出口で、上級の入口に立つ1曲だと考えます。
ショパンのワルツ全曲の難易度順一覧|華麗なる大円舞曲の位置

ショパンのワルツ全19曲をヘンレ社の評価で並べると、華麗なる大円舞曲は上から2番目のグループに入ります。ヘンレ7は第5番 Op.42の1曲だけなので、ワルツの中ではかなり上位です。
| ヘンレ | 曲 | 補足 |
|---|---|---|
| 7 | 第5番 Op.42 | ワルツで最も難しい |
| 6 | 第1番 Op.18「華麗なる大円舞曲」 | この記事の曲 |
| 6 | 第2番 Op.34-1/第4番 Op.34-3 | 華やかな後期の入口 |
| 6 | 第6番 Op.64-1「子犬」/第7番 Op.64-2/第8番 Op.64-3 | Op.64の3曲 |
| 6 | 第14番 ホ短調 KK IVa-15 | 遺作の人気曲 |
| 5 | 第3番 Op.34-2/第9番 Op.69-1「別れ」 | 哀愁のある名曲 |
| 5 | 第11番 Op.70-1/第12番 Op.70-2/第13番 Op.70-3 | Op.70の3曲 |
| 5 | 第15番 KK IVa-12/第16番 KK IVa-13/第18番 KK IVa-14 | 遺作 |
| 4 | 第10番 Op.69-2/第17番 KK IVb-10 | 取り組みやすい |
| 3 | 第19番 イ短調 KK IVb-11 | ワルツの最初の1曲に |
番号の振り方は楽譜によって違うので、遺作はKK番号も併記しています。
同じヘンレ6でも、体感の難しさには幅がある
ヘンレ6のワルツは7曲ありますが、弾いた人の体感は同じではありません。あるピアノ講師のブログでは、ワルツ第2番 Op.34-1について「第1番よりはるかに難しかった」と振り返っています。華麗なる大円舞曲と、よく比べられる曲との関係を整理しました。
| 比べる曲 | 華麗なる大円舞曲と比べると | 根拠 |
|---|---|---|
| 子犬のワルツ(第6番) | 少し易しい | 全音はC。演奏時間は2分前後 |
| ワルツ第7番 Op.64-2 | 近い、またはやや易しい | ピアノ講師の体感順で1つ手前 |
| 即興曲 Op.90-2(シューベルト) | 近い | 発表会の選曲サイトで同じ「中上級B」 |
| ワルツ第2番 Op.34-1 | 難しい | 同じヘンレ6だが、講師の体感は「はるかに難しい」 |
| 幻想即興曲 | 難しい | 講師の体感順で上。別のランキングでは上級者向け |
最初のワルツに選ばないほうがいい理由

華麗なる大円舞曲は有名ですが、ショパンの最初のワルツにはおすすめしません。編集部のおすすめは、第19番 イ短調から始めて、第10番、第9番「別れ」、第6番「子犬」と進む順番です。知恵袋にも「ショパンのワルツを何曲か弾いて、軽いタッチを身につけてから入ると楽」「子犬のワルツが弾けなければ、華麗なる大円舞曲は弾けない」という回答があります。子犬のワルツまで来ると、音の難しさの差は小さくなり、あとは長さへの挑戦になります。
華麗なる大円舞曲は何年目で弾ける?進度チェック
華麗なる大円舞曲を弾ける目安は、ピアノを続けて5〜7年、ツェルニー30番を終えて40番に入る頃です。ただし、実際に弾いた時期を調べると、人によって大きな幅がありました。
| 出どころ | 弾いた時期・弾ける時期 |
|---|---|
| 知恵袋のベストアンサー | ゆっくりでも一定のテンポで弾くなら、中学1年生前後でも十分 |
| 知恵袋の別の回答 | 小学3年生で弾く子もいれば中学生もいる。学年より練習量による |
| ピアノ解説サイトの執筆者 | 中学3年生のとき。ピアノ歴はおよそ10年 |
| ピアノ講師のブログ | 20代前半の発表会で、初めてのショパンとして演奏 |
小学3年生から20代まで幅があるので、年数だけで判断するのはおすすめしません。5〜7年という数字は編集部の目安で、週の練習量によって前後します。年数の代わりに、次のチェック表で今の進度を確かめてみてください。
| チェック項目 | できれば○ |
|---|---|
| ツェルニー30番を修了、または後半まで進んだ | |
| ショパンのワルツを1曲、最後まで弾いた | |
| 同じ音を3-2-1の指や交互の指で軽く連打できる | |
| 左手の「ブン・チャ・チャ」を鍵盤を見ずに弾ける | |
| オクターブ(ドから上のドまで)が無理なく届く | |
| 5分の曲を最後まで集中して弾いた経験がある |
○が5つ以上あれば挑戦しやすく、3つ以下なら、先に子犬のワルツや別れのワルツをおすすめします。もちろん、ゆっくりのテンポで楽しむなら、もっと早く始めても問題ありません。
仕上がるまでの期間の目安
華麗なる大円舞曲は、譜読みから通して弾けるまでで2〜3か月、発表会の水準まで仕上げるならさらに2〜3か月が編集部の目安です。長い曲なので、毎週1ブロックずつ進める計画を立てましょう。具体的な週ごとの進め方は、あとの「12週間で通すまでの練習計画」で紹介します。
全体の到達の位置を確かめる
ほかの有名曲との位置関係は、ピアノは何年で弾ける?到達目安一覧で確認できます。
華麗なる大円舞曲の難所マップ|同音連打・跳躍・連続和音

華麗なる大円舞曲の難所は、同音連打、左手の跳躍、終盤の連続和音の3つです。小節番号はピアノ解説サイトの記述をもとにしたもので、版によってずれる場合があります。お手元の楽譜で確かめてください。
| 場所の目安 | 難所 | 練習のポイント |
|---|---|---|
| 冒頭4小節 | 序奏のファンファーレ | 速くしすぎず、曲全体のテンポを決める |
| 第21小節付近 | 8分音符の同音連打 | 3-2-1か交互の指で、手首を使って軽く |
| 第70小節付近 | 新しい場面 | 2小節を1つのまとまりで感じる |
| 第119小節付近 con anima | 力強い旋律 | 休符を意識し、堂々と歌う |
| 第136小節付近 | 連続する装飾音 | 4分音符を主役に、装飾音は軽く |
| 第169小節付近 dolce | 複雑なレガート | 片手ずつ指づかいを決める |
| 第233〜263小節付近 | 和音とスフォルツァンド、クレッシェンド | ffの頂点へ向けて音量を計画する |
| 第287小節以降 | 終結部 | テンポを保って駆け抜ける |
難所1:同音連打の指づかい

同音連打は、華麗なる大円舞曲の最大の特徴です。同じ指で連打すると、手首が固まって音が重くなるので、指を替えながら弾きます。全音版など多くの楽譜には「3-2-1-3-2-1」の指が書かれています。一方、パデレフスキ版を使った解説では「3-2-3-2-3-2」や「3-1-3-1-3-1」のように、2本の指を交互に使う指づかいが紹介されています。
違いは、拍との関係です。3拍子の1小節には8分音符が6つ入り、拍は2つずつで数えます。3-2-1の指は3つで1まとまりになるので、弾き方によっては2拍子のように聞こえる場合があります。交互の指は、指のまとまりが拍と同じになるので、3拍子を保ちやすくなります。編集部としては、両方を試して、手の大きさと楽器に合う、一番軽く弾ける指を選ぶことをおすすめします。
3-2-1の指で弾くときのコツとして、解説では次の2点が挙げられています。
- 腕はなるべく動かさず、手首の動きで弾く
- 手を丸くして、指先で鍵盤を手前に引っかくように弾く
グランドピアノは鍵盤の戻りが速く、同音連打を弾きやすい構造です。電子ピアノやアップライトピアノは鍵盤の戻りが遅いことがあり、連打が難しく感じるかもしれません。家の楽器で弾きにくくても、指のせいとは限らないので安心してください。
難所2:左手の跳躍
ワルツの左手は、低いバス音から中音の和音へ跳びます。知恵袋でも、技術面の第一に「左手のベース音を絶対に外さないこと」が挙げられていました。跳躍の練習は、次の和音の上に手を先に運ぶことが基本です。音を鳴らさずに鍵盤に触れて位置を確かめ、それからゆっくり弾きましょう。
3拍子は1拍目に重心を置きます。1拍目のバス音は、指で叩くのではなく、肩から腕の重さを落とすつもりで弾くと、深く響いて外しにくくなります。2拍目と3拍目の和音は軽く、3拍目を少し短く切ると、ワルツらしい軽さが出ます。
難所3:終盤の連続和音
第233小節付近からは、1拍目にスフォルツァンド(その音を特に強く)が付いた和音が続きます。腕の力で押すと疲れて崩れるので、解説では、お腹から鋭く息を吐くイメージで弾く方法が紹介されています。届きにくい和音は、アルペジオ(和音の音を下から順にばらして弾く弾き方)にしてもよいとされています。
第247小節付近からは、ディミヌエンドとクレッシェンドを繰り返しながら、第263小節付近のフォルテッシモへ向かいます。フォルテッシモが華麗なる大円舞曲の頂点です。練習では、和音の一番上の音だけを先に片手で弾き、旋律を確認してから和音にすると、響きが整います。
場面ごとの表情の切り替えも難しさのひとつ
華麗なる大円舞曲は、場面が変わるたびに性格が変わります。con anima(生き生きと)の場面は堂々と歌い、続く装飾音の場面は軽やかに、dolce(やわらかく、甘く)の場面は愛らしく弾き分けます。装飾音は、あくまで4分音符を引き立てる飾りです。指が回っても、表情が1種類だと単調に聞こえるので、場面ごとに「どんな踊りか」を言葉でメモしておくと弾き分けやすくなります。
華麗なる大円舞曲の練習法|テンポ段階表とブロック練習

華麗なる大円舞曲の練習は、曲を場面ごとに分け、目標テンポの50%から段階的に上げるのが効率的です。曲は4小節の序奏から始まり、いくつものワルツの場面がつながり、コーダへ向かいます。
| 段階 | テンポの目安 | 目標 |
|---|---|---|
| 1 | 目標の50% | 片手ずつ、指づかいを固定する |
| 2 | 目標の65% | 両手で止まらず、場面ごとに弾く |
| 3 | 目標の80% | 場面をつなげ、強弱をつける |
| 4 | 目標の90% | 通し練習、録音で確認する |
| 5 | 目標の100% | 人の前で弾く |
場面ごとに「どの部分からでも弾ける」状態にする
長い曲は、途中で止まると最初に戻りたくなります。場面の頭に印をつけ、どこからでも弾き始められるようにしましょう。華麗なる大円舞曲は、それぞれの場面に繰り返しがあるので、1つの場面を覚えると弾ける小節が一気に増えます。暗譜のときにも、舞台で迷ったときにも役立ちます。
踊れるテンポと、1拍目の重心を忘れない
速さだけを追うと、ワルツではなく指の練習に聞こえてしまいます。華麗なる大円舞曲は、ショパンのワルツの中でも踊りの音楽としての性格が強い曲です。解説でも、踊ることを意識した速すぎないテンポと、一定のリズムを基本にすることが勧められています。1小節を1つの大きな拍のように感じられると、音楽の流れが一気に変わります。
知恵袋では、ショパンのワルツの難しさとして「テンポどおりきちんと弾くだけでは、ニュアンスが出にくい」ことが挙げられていました。基本のテンポが安定したら、名演奏の工夫を少しだけ取り入れてみましょう。たとえば、ラフマニノフが残した録音は、3拍目を短く切って軽さを出し、場面の変わり目でテンポを大きく変えていると解説されています。極端にまねる必要はありませんが、単調さに悩んだときのヒントになります。
弾けないときに戻る練習
テンポを上げられない部分は、付点リズムの練習や片手のゆっくり練習に戻りましょう。指が回らない原因の切り分けは大人の指トレーニングの記事も参考になります。
▶オンラインで演奏を見てもらう(オトノミチシルベの体験レッスン)
曲の背景を知ると演奏が変わる|華麗なる大円舞曲とは
華麗なる大円舞曲(かれいなるだいえんぶきょく)は、ショパンが最初に出版したワルツです。ピティナ・ピアノ曲事典によると、1833年7月10日付の清書自筆譜が残っており、1834年にパリ、ライプツィヒ、ロンドンで次々と出版されました。作曲の時期は、ウィーン滞在中の1831年とする解説もあります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式な曲名 | ワルツ第1番 変ホ長調 Op.18 |
| 出版 | 1834年 |
| 演奏時間 | 約5分 |
| 構成 | 4小節の序奏、5つの部分(7つの楽節)、コーダ |
| 清書自筆譜の献呈 | 弟子のローラ・ホルスフォード |
「大」を付けたのは出版社だった
興味深いのは「華麗なる大円舞曲」という題名です。ピティナ・ピアノ曲事典によると、自筆譜には「Grand(大)」の言葉がなく、出版社が書き加えたと考えられています。「大」を付けずに「華麗なるワルツ(Valse brillante)」と紹介されることがあるのは、ショパン自身の表記に合わせているためです。
ウィンナ・ワルツの影響が最も強い1曲
ショパンはパリへ移る前にウィーンに滞在し、流行していたウィンナ・ワルツを耳にしました。心から共感したわけではなかったものの、刺激は受けたとされています。華麗なる大円舞曲は、ウィンナ・ワルツの影響が最も強く感じられる作品のひとつです。出版された1834年には、パリのオペラ座の舞踏会にワルツが取り入れられ、ワルツの人気が急速に高まっていました。
冒頭4小節の序奏で同じ音が繰り返されるのは、踊りの始まりを告げる合図のようなものです。同音の反復と3拍子の中に2拍子の感覚を混ぜる書き方が、テンポを変えずに回転のスピードが上がっていくような効果を生んでいます。同音連打は、ただの難所ではなく、華麗なる大円舞曲の「回る感じ」を作っている主役だと考えると、練習の意味が変わってくるのではないでしょうか。
贈り物として、舞台の音楽として
ショパンは出版されたばかりの華麗なる大円舞曲を、のちに深く想いを寄せるマリア・ヴォドジンスカに贈っています。以後、ワルツを上流階級の令嬢や夫人に贈ることが、ショパンの習慣になりました。華麗なる大円舞曲は、バレエ「レ・シルフィード」の音楽にも使われています。踊りの音楽としての明るさと、サロンで聴く人を魅了するきらびやかさの両方を思い描くと、表現のイメージが湧いてきます。
楽譜の選び方|版による指づかいの違い
華麗なる大円舞曲の楽譜は、版によって指づかいが違うので、書いてある指番号をそのまま信じないことが大切です。解説サイトでは、先生に勧められたパデレフスキ版を使い、一部の指づかいを自分の手に合わせて変えた例が紹介されています。1拍目に力の入りやすい親指を使うように変えると、弾きやすくなり、1拍目の重心も作りやすくなったそうです。
| 確認すること | 理由 |
|---|---|
| 同音連打の指番号 | 3-2-1か交互の指かで弾きやすさが変わる |
| 難所の運指 | 手の大きさに合わせて変えてよい |
| 繰り返しの有無 | 発表会の時間に関わる |
| 小節番号の有無 | 場面ごとの練習に便利 |
華麗なる大円舞曲は、パデレフスキ版、エキエル版、ヘンレ版、コルトー版、ペータース版など、主要なワルツ集に第1番として収録されています。全音ピアノピースは1曲だけを手に入れやすく、ワルツ集は他の曲も一緒に学べます。今後ほかのワルツも弾くつもりなら、ワルツ集をおすすめします。
指づかいは最初の1週間で決める
指づかいは、最初の1週間で決めて書き込みましょう。毎回違う指で弾くと、指が動きを覚えられません。最初に遅いテンポで試し、一番楽な指を選んでください。
12週間で通すまでの練習計画

華麗なる大円舞曲を12週間で通すための計画を、編集部の目安として示します。1日30分程度の練習を想定しています。
| 週 | やること |
|---|---|
| 1〜2週 | 序奏とテーマの片手、指づかいを決める |
| 3〜4週 | 同音連打の部分を単独で練習する |
| 5〜6週 | 中間の場面を片手で読む |
| 7〜8週 | 場面ごとに両手で合わせる |
| 9〜10週 | 終盤の和音と、コーダへの流れ |
| 11〜12週 | 全体を遅いテンポで通す |
暗譜は場面の順番から
長い曲の暗譜は、音より先に「場面の順番」を覚えると楽です。発表会で華麗なる大円舞曲を弾いたピアノ講師も、曲が長くて暗譜が大変だったと振り返っています。「序奏、1つ目のテーマ、連打の場面」のように名前をつけて、紙に書いてみましょう。似た場面が何度も出てくるので、どこに飛ぶかを間違えないことが大切です。
発表会で華麗なる大円舞曲を弾くときのポイント
華麗なる大円舞曲は、発表会に向いた条件がそろった曲です。あるピアノ講師は、発表会の選曲の基準として「誰でも知っている」「華やかに聞こえる」「テンポが速い」の3つを挙げています。華麗なる大円舞曲は3つとも当てはまります。
一方で、約5分の長さは持ち時間を超えることがあるので、先生や主催者に確認しましょう。繰り返しを省くと、約4分30秒まで短くできます。ピティナ・ピアノ曲事典に載っている5つの演奏も、4分44秒から5分40秒まで幅があります。
本番でのテンポの決め方
本番は緊張でテンポが速くなりがちです。序奏を弾き始める前に、頭の中でテーマの速さを歌ってから始めましょう。序奏が速すぎると、同音連打の場面で苦しくなります。
体力の配分
華麗なる大円舞曲は、後半に向けて音量を上げていく曲なので、前半から全力で弾かないようにしましょう。基礎ができていないと腕が疲れてばててしまう、という指摘は複数の解説に共通しています。録音で全体の音量の設計を確かめましょう。
華麗なる大円舞曲のよくある質問
子犬のワルツより難しい?
どちらもヘンレ6ですが、全音はCとDで、長さの分だけ華麗なる大円舞曲のほうが難しいと考えられます。指の速さの面では、子犬のワルツも簡単ではありません。
幻想即興曲とどちらが難しい?
幻想即興曲のほうが難しいと考えられます。ピアノ講師が発表会で弾いた曲を易しい順に並べた一覧では、華麗なる大円舞曲より幻想即興曲のほうが後ろに置かれています。別の難易度ランキングでも、華麗なる大円舞曲は初心者〜中級向け、幻想即興曲は上級者向けに分類されています。
手が小さくても弾ける?
オクターブが届けば弾けます。ワルツ第1番は、大きな手を前提とした和音が延々と続く曲ではありません。届かない和音はアルペジオにしたり、音を省いたりして、先生に相談してみましょう。
電子ピアノでも練習できる?
練習はできますが、同音連打は鍵盤の戻りが遅い楽器では難しく感じられます。本番の楽器で試す機会を作ると安心です。
「華麗なる大円舞曲」の読み方は?
「かれいなるだいえんぶきょく」と読みます。円舞曲はワルツの日本語訳です。
まとめ|華麗なる大円舞曲の難易度を知って計画的に挑もう
最初の疑問に答えます。
- ワルツの中でどのくらい? ヘンレ6で、Op.42に次ぐグループです。全音はD(中級上)です。
- 何年目で弾ける? 5〜7年、ツェルニー30番を終えて40番に入る頃が目安です。年数よりチェック表で判断しましょう。
- 難所の練習は? 同音連打は指づかいを決めて固定し、跳躍は手を先に運び、連続和音は上の音から確認します。
華麗なる大円舞曲の難易度は、中級上の指標以上に、長さとの勝負で決まります。今の進度に自信がなければ、別れのワルツや子犬のワルツから入り、憧れの1曲に計画的に近づいてみてください。
▶ あわせて読みたい:子犬のワルツの難易度/ショパンの簡単な曲ランキング
参考にした情報
- ピティナ・ピアノ曲事典「ワルツ第1番 華麗なる大円舞曲」
- G. Henle社の難易度評価、全音ピアノピースの難易度表示
- Yahoo!知恵袋「華麗なる大円舞曲って難しい曲ですか?」
- しろくろ猫のおもむくまま(華麗なる大円舞曲の弾き方と難易度の解説2本)
- うきうきピアノ楽譜.com(ショパンのワルツの難易度・解説)
- はんなりピアノ♪(ピアノ講師が発表会で弾いた曲の記録)
- 鍵盤の旅人(発表会の中上級レベル定番曲10選)
- VR Piano(ショパンのピアノ曲の難易度ランキング)