ベートーヴェン ソナタ難易度一覧【全32曲】簡単な順と楽章別の目安

ベートーヴェンのソナタの難易度を調べると、あるサイトでは「月光は上級」、別のサイトでは「悲愴は中級の上」、楽譜売り場の表示ではまた違う記号――と答えがバラバラで、結局どれから弾けばいいのか分からなくなった経験はありませんか?ベートーヴェンのピアノソナタは全32曲。しかも1曲の中に楽章が2〜4つあり、楽章ごとに難しさがまったく違います。「全曲を通して弾けるか」で判断すると、ほとんどの曲が手の届かない上級曲に見えてしまうのです。

この記事では、楽譜出版社ヘンレ版(G. Henle Verlag)の9段階の難易度と、ピティナ・ピアノステップの楽章別レベルを土台に全32曲を1枚の表にまとめました。さらに今回のリライトでは、国内のピアノブログ2誌の10段階評価・28段階の独自スケール・ピアノ情報サイトの5段階評価を10点満点にそろえて重ね、「基準によって評価が割れる曲」と「どの基準でも一致する曲」を可視化しています。音楽之友社の「ベートーヴェン好きな曲ランキング」の得票も重ねて、憧れと現実の距離も図にしました。

  • ベートーヴェンのソナタ全32曲は、簡単な順に並べるとどうなる?基準によって順番は変わる?
  • 月光・悲愴・熱情は、楽章ごとに見るとどこが弾けてどこが無理?
  • 大人からベートーヴェンに挑むなら、どの順番で、どの楽譜で進めるのが現実的?

対象は、ソナチネアルバムを終えた前後からベートーヴェンに憧れている大人の学習者です。先に全体の表と図を眺めてから、気になる見出しだけ読んでも分かるように書いています。

目次

ベートーヴェン ソナタ難易度一覧表|全32曲をヘンレ版レベル順に並べる

ベートーヴェンのピアノソナタ全32曲をヘンレ版レベル3・6・7・8・9の階段状に並べた図。レベル4と5の曲は存在しない

ベートーヴェンのソナタの難易度は、ヘンレ版のレベル表記で見ると最も易しい第19番・第20番がレベル3、最も難しい熱情・ワルトシュタイン・ハンマークラヴィーアなどがレベル9です。ヘンレ版は1〜9の9段階で、1〜3が初級、4〜6が中級、7〜9が上級という区分です(ヘンレ社公式サイト「難易度」ページ、確認日 2026年10月)。同じページでは、レベル3の例としてop.49の2曲、レベル7の例として第7番op.10-3、レベル8の例として第26番「告別」op.81aが名指しされています。32曲のうち初級は2曲、中級は4曲、残る26曲は上級に入ります。「ベートーヴェンは難しい」という印象は、数字で見ても正しいわけです。

全32曲の難易度表(番号・通称・ヘンレ版レベル・編集部総合スコア・楽章単位の目安)

以下の表は、ヘンレ版のソナタ全集(第1巻・第2巻)の商品ページに掲載されたレベルを曲番号順に並べたものです。「編集部総合」は、ヘンレ版に加えて後述する4つの基準(28段階スケール・ピアノブログ2誌の10段階・PianoQuestの技術★)を10点満点に換算して平均した、この記事独自のスコアです。右の2列は編集部の整理で、ピティナ・ピアノステップの課題曲レベル(23段階。導入3・基礎5・応用7・発展5・展開3)と、ヘンレ版が「曲の単位は楽章ごと」と定義している点を参考に判断しました。

番号 作品番号・通称 ヘンレ版 編集部総合
(10点満点)
取り組みやすい楽章 楽章単位の目安(編集部)
第1番 op.2-1 ヘ短調 6 5.2 第1楽章 ソナタアルバム1を終えた頃
第2番 op.2-2 イ長調 7 5.9 第3楽章 ソナタ数曲の経験後
第3番 op.2-3 ハ長調 7 6.7 第3楽章 ソナタ数曲の経験後
第4番 op.7 変ホ長調 8 6.2 第3楽章 上級の入口
第5番 op.10-1 ハ短調 7 4.5 第2楽章 ソナタアルバム1〜2
第6番 op.10-2 ヘ長調 7 4.0 第2楽章 ソナタアルバム1〜2
第7番 op.10-3 ニ長調 7 5.6 第3楽章 ソナタ数曲の経験後
第8番 op.13「悲愴」 7 5.5 第2楽章 ソナチネ修了前後(発展4〜)
第9番 op.14-1 ホ長調 6 3.9 第2楽章 ソナチネ修了前後(発展1〜)
第10番 op.14-2 ト長調 6 3.9 第2楽章 ソナチネ修了前後
第11番 op.22 変ロ長調 7 5.9 第3楽章 ソナタ数曲の経験後
第12番 op.26「葬送」 7 6.2 第3楽章(葬送行進曲) ソナタアルバム1
第13番 op.27-1「幻想曲風」 8 6.8 第1楽章 ソナタアルバム1
第14番 op.27-2「月光」 7 7.7 第1楽章 ソナチネ修了前後(発展1〜)
第15番 op.28「田園」 7 6.1 第2楽章 ソナタアルバム1
第16番 op.31-1 ト長調 8 6.3 第3楽章 上級の入口
第17番 op.31-2「テンペスト」 8 7.4 第2楽章 ソナタアルバム2
第18番 op.31-3「狩」 7 6.1 第3楽章(メヌエット) ソナタアルバム1
第19番 op.49-1 ト短調 3 1.9 第1楽章 ソナチネアルバム1(応用6〜)
第20番 op.49-2 ト長調 3 1.4 第2楽章 ソナチネアルバム1(応用5〜)
第21番 op.53「ワルトシュタイン」 9 9.1 第2楽章(序奏) 上級
第22番 op.54 ヘ長調 7 6.1 第1楽章 ソナタ数曲の経験後
第23番 op.57「熱情」 9 9.1 第2楽章 上級(展開2〜)
第24番 op.78「テレーゼ」 7 6.4 第1楽章 ソナタ数曲の経験後
第25番 op.79「かっこう」 6 3.1 第2楽章 ソナチネアルバム1〜2(応用5〜)
第26番 op.81a「告別」 7〜8 7.4 第2楽章 上級の入口
第27番 op.90 ホ短調 7 6.4 第2楽章 ソナタ数曲の経験後
第28番 op.101 イ長調 9 8.6 第1楽章 上級
第29番 op.106「ハンマークラヴィーア」 9 10.0 第2楽章 最上級(展開2〜)
第30番 op.109 ホ長調 8 8.2 第1楽章 上級
第31番 op.110 変イ長調 8 8.2 第2楽章 上級
第32番 op.111 ハ短調 9 8.9 (単独向きの楽章なし) 最上級

※ヘンレ版レベルの出典:G. Henle Verlag「Piano Sonatas Volume I / II」商品ページ(確認日 2026年10月)。第26番「告別」は全集ページでは7、同社の難易度解説ページではレベル8の例として掲載されているため「7〜8」としました。ピティナのステップレベルは「ピティナ・ピアノ曲事典」各曲ページの記載です。編集部総合スコアの算出方法は次の見出しで説明します。

「簡単な順」に並べ替えると見えるベートーヴェン ソナタの階段

ベートーヴェンのソナタを簡単な順に並べると、第20番→第19番→第25番・第9番・第10番・第1番→悲愴・月光・田園などのレベル7→テンペスト・第4番などのレベル8→ワルトシュタイン・熱情・ハンマークラヴィーアなどのレベル9という5段の階段になります。ここで注目してほしいのは、ヘンレ版のレベル4と5にあたるベートーヴェンのソナタが1曲もないことです。初級のop.49を終えたら、次はいきなり中級の上限であるレベル6に跳びます。ショパンのノクターンop.27がレベル6の例ですから、「ノクターンが弾けるかどうか」が、ベートーヴェンの2曲目に進めるかどうかの目安になります。

編集部総合スコアで並べ替えても、上から3曲(第20番1.4・第19番1.9・第25番3.1)と下から3曲(ハンマークラヴィーア10.0・ワルトシュタイン9.1・熱情9.1)は揺るぎません。順番が動くのは真ん中、つまりレベル7の14曲の中です。第5番と第6番は5つの基準の平均で4点台まで下がり、月光は7.7まで上がります。「月光が悲愴より2点以上難しい」というのが、複数の基準を重ねたときの平均的な見方です。

全音ピアノピースの難易度と食い違う理由

全音ピアノピースの難易度記号(A〜F)とヘンレ版のレベルは、同じ曲でも印象が食い違うことがあります。たとえば悲愴はヘンレ版7で、全音ではD(中級上)。月光は同じヘンレ版7なのに全音ではE(上級)に置かれ、DとEに分かれます。全音は「曲全体を仕上げる難しさ」を1文字で示すのに対し、ヘンレ版は楽章ごとに評価する考え方だからです。月光は第3楽章だけが別次元の速さなので、全曲で評価するとEに跳ね上がります。全曲を弾くなら全音、楽章単位で選ぶならヘンレとピティナを見るのが実用的です。

ソラ
月光が上級って聞いて諦めてたけど、第1楽章だけなら「ソナチネ修了前後」なの?
カイ
そう。ピティナのステップでも月光第1楽章は発展1から課題曲になっていて、第3楽章は発展4以上。同じ曲の中にレベル差が4段階もあるんだ。

5つの難易度基準を重ねると見える「評価が割れる曲」と「一致する曲」

ベートーヴェンのピアノソナタ主要17曲について、ヘンレ版・28段階・ブログ2誌の10段階・PianoQuestの5つの難易度基準を10点満点に換算して並べたヒートマップ

ベートーヴェンのソナタの難易度は、どの基準で見るかによって順位が入れ替わります。編集部は今回、公開されている5つの難易度基準を集め、すべて10点満点に換算して1枚の表に重ねました。結論から言うと、op.49の2曲とハンマークラヴィーア・熱情・ワルトシュタインは5つの基準すべてで評価が一致し、月光・悲愴・告別・第5番は基準によって3点以上評価が割れます。評価が割れる曲こそ、「自分の得意・不得意で難易度が変わる曲」だと考えてください。

比較した5つの基準と10点換算のルール

今回重ねた5つの基準は次の通りです。それぞれ評価の単位も目的も違うため、「正しい基準はどれか」ではなく「どこで意見が割れるか」を見るための換算です。

基準 出どころ 元の尺度 評価の特徴
ヘンレ版 G. Henle Verlag(楽譜出版社) 1〜9 楽章単位で「演奏できる状態に準備する難しさ」を評価。構成の複雑さや初見の読みにくさも加味
28段階スケール ピアノ学習者の個人ブログ(pia77) 12〜28(32曲の範囲) 作曲家を横断する独自の28段階。第20番が12、ハンマークラヴィーアが28
10段階A ピアノ講師のブログ(mezzoforte-piano) 1〜10 全楽章の平均で判定。「月光は第1楽章ゑ省略してもよいが第3楽章は必須」など楽章の扱いに言及
10段階B ピアノ学習者のブログ(shirokuroneko) ★1〜10 ヘンレ版を使う学習者が「テクニックだけでなく表現の難しさ」も含めて判定
PianoQuest ピアノ情報サイト 技術★2〜5 技術面と音楽面を分けて評価。本記事では技術★のみ採用

換算式は、ヘンレ版が(レベル−1)÷8、28段階が(数値−12)÷16、PianoQuestが(★−2)÷3をそれぞれ1〜10に線形変換し、10段階の2誌はそのまま使っています。「編集部総合」はこの5つの単純平均です。元の評価者は演奏レベルも目的も異なる個人ですから、小数点以下の差に意味はありません。見てほしいのは「列をまたいで濃さが揃っているか、バラついているか」です。

5つの基準が一致する曲|op.49・ハンマークラヴィーア・熱情・ワルトシュタイン

第20番op.49-2は、ヘンレ版3・28段階12・10段階A1・10段階B1・PianoQuest★2と、どの基準でも最下位です。第19番op.49-1がそれに続きます。「ベートーヴェンの最初の1曲はop.49」という結論は、誰が評価しても揺らぎません。反対側の最上位も同じで、ハンマークラヴィーアはすべての基準で満点、ワルトシュタインと熱情は換算後の平均が9.1でぴったり並びました。ヘンレ版で同じレベル9の第28番op.101と第32番op.111が8点台にとどまるのは、10段階Aの著者がop.101とop.111を「若い頃は理解しにくかったが今は惹かれる」という後期特有の難しさで語っているように、指の難しさと頭の難しさが別物だからです。

評価が割れる曲|月光・悲愴・告別・第5番は「誰にとって難しいか」で変わる

月光は、ヘンレ版の換算で8、10段階Aでは5、PianoQuestの技術★では10と、同じ曲なのに5点の幅があります。全楽章の平均で見る10段階Aは第1・第2楽章の易しさに引っ張られて低く、技術面だけを見るPianoQuestは第3楽章のPrestoで満点になるためです。月光の難易度を聞かれたら、「どの楽章の話か」を先に確認しないと答えが決まらない、という事実がそのまま数字に出ています。

悲愴は逆で、10段階Aが4、10段階Bが5と「中級」寄りなのに対し、ヘンレ版換算は8です。第2・第3楽章は中級者でも譜読みしやすい一方、第1楽章の左手トレモロは体力を要する、という「楽章の落差」が評価を割っています。告別op.81aは、ヘンレ版の難易度解説ページでレベル8の例に挙げられ、10段階Bでは★9と「熱情と同じ段」に置かれていながら、PianoQuestの技術★は3です。第1楽章冒頭の「告別(Lebewohl)」の動機を全曲にわたって聴かせる構成の難しさが、技術の数字には表れないためでしょう。第5番op.10-1は、ヘンレ版では7(上級)なのに10段階Aでは2(初級寄り)。実際に第5番でつまずいた学習者の例を、次の見出しの後で紹介します。

ソラ
結局、どの基準を信じればいいの?サイトによって言うことが違いすぎる…
カイ
「評価が一致する曲」は数字を信じていい。「割れる曲」は、自分の苦手が速さなのか和音なのか持久力なのかで決まる。次の見出しの4分類で、自分の壁を先に知っておくのがコツだよ。

難しさの種類で見るベートーヴェン ソナタ|速さ・和音・持久力・表現のマトリクス

ベートーヴェンのピアノソナタ代表10曲を速さ・和音と跳躍・持久力・表現と構成の4種類の難しさで◎○△比較したマトリクス図

ベートーヴェンのソナタの難易度は、数字が同じでも「難しさの種類」が違います。ヘンレ版で同じレベル7の悲愴と月光と田園は、つまずくポイントがまったく別です。編集部は難しさを「速さ」「和音・跳躍」「持久力」「表現・構成」の4種類に分けて考えることをおすすめします。自分の苦手な種類が少ない曲を選べば、同じレベル表記でも仕上がる確率が上がるからです。

4種類の難しさとは何か

  • 速さ:16分音符の速いパッセージ(音の連なり)や連打。例:月光第3楽章、ワルトシュタイン第1楽章。
  • 和音・跳躍:オクターブ(8度)や厚い和音、手の移動。手の大きさが影響します。例:悲愴第1楽章の左手トレモロ。
  • 持久力:8〜10分前後の楽章を崩さず弾き切る体力。例:熱情第1楽章、田園第1楽章。
  • 表現・構成:音は少ないのに、歌わせ方や形式の理解がないと聴かせられない難しさ。例:悲愴第2楽章、告別、後期の変奏曲。

前の見出しで「評価が割れる」とした4曲を当てはめると、月光は速さ、悲愴は和音・跳躍、告別は表現・構成、第5番は速さ(第1楽章の冒頭から続く分散和音の上昇)が壁です。4種類のうち1つだけが突出している曲は、その1つが得意な人にとって数字より易しく、苦手な人には数字より難しくなります。

代表的な10曲を4種類で比較したマトリクス

◎=その曲の最大の壁、○=かなり問われる、△=比較的負担が軽い、として編集部が整理しました。ピティナ・ピアノ曲事典に掲載された演奏時間も併記しています。

曲 速さ 和音・跳躍 持久力 表現・構成 最難楽章の演奏時間
第20番 op.49-2 △ △ △ ○ 第1楽章 約4分半
第25番 op.79 ○ △ △ △ 第1楽章 約4分
第9番 op.14-1 ○ △ △ ○ 第1楽章 約6分半
第8番 悲愴 ○ ◎ ○ ○ 第1楽章 約8分半
第14番 月光 ◎ ○ ○ ○ 第3楽章 約7分半
第15番 田園 ○ △ ○ ◎ 第1楽章 約10分
第17番 テンペスト ◎ ○ ○ ◎ 第1楽章 約8分
第21番 ワルトシュタイン ◎ ◎ ◎ ○ 第3楽章 約10分
第23番 熱情 ◎ ◎ ◎ ○ 第1楽章 約9分
第29番 ハンマークラヴィーア ◎ ◎ ◎ ◎ 第3楽章 約16分

この表の使い方は簡単です。自分が過去につまずいた曲を思い出し、「速かったから」なのか「和音が届かなかったから」なのか「途中で疲れたから」なのかを4種類に当てはめてみてください。その列に◎がない曲が、あなたにとっての「数字より易しいベートーヴェン」です。手が小さい人には田園、速いパッセージが苦手な人には悲愴第2楽章や田園第2楽章が、表の見た目より近くにあります。

人気×難易度で見るベートーヴェン ソナタ|「憧れの曲」はどこまで手が届くか

音楽之友社のベートーヴェン好きな曲ランキングの得票ポイントを縦軸、ヘンレ版レベルを横軸にして、悲愴・月光・熱情などピアノソナタ9曲を配置した散布図

ベートーヴェンのソナタを「弾きたい」と思うきっかけは、たいてい聴いて好きになった曲です。そこで、音楽之友社がベートーヴェン生誕250年を記念して実施した「ベートーヴェン好きな曲ランキング」(全国の読者投票)から、ピアノソナタがどの順位に入ったかを拾い、ヘンレ版レベルと並べました。結論は、人気の上位2曲である悲愴(総合3位・524ポイント)と月光(8位・383ポイント)は、ともにヘンレ版7で、楽章単位ならソナチネ修了前後から手が届く位置にあるということです。憧れと現実の距離は、思っているほど遠くありません。

音楽之友社「好きな曲ランキング」に入ったピアノソナタ9曲

同ランキングは交響曲や協奏曲を含む全作品が対象で、1位は交響曲第9番「合唱つき」(1102ポイント)、2位は交響曲第7番(639ポイント)でした。3位に入ったのがピアノソナタ第8番「悲愴」(524ポイント)で、「初回で恋に落ちた」「母のレッスン部屋から聞こえてきて憧れた」「特に第二楽章が大好き」といった理由が寄せられています。ピアノソナタだけを抜き出すと順位は次の通りです。

総合順位 曲 得票ポイント ヘンレ版 楽章単位の入口
3位 第8番「悲愴」 524 7 第2楽章(発展4〜)
8位 第14番「月光」 383 7 第1楽章(発展1〜)
9位 第23番「熱情」 283 9 (全楽章が展開2〜3)
11位 第31番 op.110 223 8 第2楽章
14位 第32番 op.111 189 9 (単独向きの楽章なし)
16位 第30番 op.109 153 8 第1楽章
18位 第21番「ワルトシュタイン」 146 9 第2楽章(序奏)
19位 第29番「ハンマークラヴィーア」 142 9 第2楽章
21位 第17番「テンペスト」 140 8 第2楽章

※出典:音楽之友社「ベートーヴェン好きな曲ランキング」結果発表ページ(生誕250年記念企画)。ポイントは同ページ掲載の数値です。

人気と難易度のギャップが大きい曲・小さい曲

図を見ると、ランキング上位の悲愴と月光がレベル7の左側に、残り7曲がレベル8〜9の右側にきれいに分かれます。悲愴と月光の人気が高いのは、聴いて親しみやすいだけでなく、発表会や家庭で「実際に弾かれる機会」が多いからでもあるでしょう。「母のレッスン部屋から聞こえてきて憧れた」という投票コメントは、まさにそれを物語っています。一方で、後期の第30・31・32番がワルトシュタインやテンペストより上位に入っているのは注目に値します。弾く難しさは最上級でも、聴き手には深く愛されている曲です。弾くのは先でも、聴く順番として後期ソナタを早めに取り入れておくと、ベートーヴェンの全体像がつかめます。

ワルトシュタインとテンペストは、ピアノ学習者の間では三大ソナタに次ぐ定番なのに、一般の投票では140〜146ポイントと控えめでした。「弾きたい曲」と「聴きたい曲」は必ずしも一致しない、ということです。発表会で弾くなら悲愴や月光の楽章単位が聴き手にも伝わりやすく、自分の挑戦として選ぶならテンペストやワルトシュタイン、という使い分けも考えられます。

入門に向くベートーヴェン ソナタ|第19番・第20番 op.49とレベル6の4曲

ベートーヴェンのソナタで入門に向くのは、第19番op.49-1と第20番op.49-2の2曲です。ヘンレ版の難易度解説ページでは、レベル3(初級の上限)の例としてこの2曲が名指しされています。どちらも楽章は2つだけで、演奏時間は全曲でも8分前後(ピティナ・ピアノ曲事典)。ソナチネアルバムに収録されているほど身近な曲です。5つの基準すべてで最下位だったことも、前の見出しで確認した通りです。

第20番 op.49-2|ピティナ応用5から弾けるベートーヴェン最初の1曲

ベートーヴェンのソナタで最初の1曲に編集部がすすめるのは第20番op.49-2です。ピティナ・ピアノステップの課題曲レベルは、第1楽章が応用6〜発展3、第2楽章が応用5〜発展1(ピティナ・ピアノ曲事典、確認日 2026年10月)。応用5は23段階のうち下から13番目で、ソナチネアルバムを弾き始めた頃にあたります。第2楽章のメヌエット風の主題は、ベートーヴェン自身が七重奏曲op.20でも使った親しみやすい旋律です。ト長調で臨時記号が少なく、左手はアルベルティ・バス(和音を分散させた伴奏形)が中心なので譜読みが軽く、第1楽章の難しさは速さより、主題を両手で受け渡すときのバランスにあります。

第19番 op.49-1|短調の表現を学ぶ2曲目

第19番op.49-1は第20番と同じレベル3ですが、ト短調で始まるため表現の難しさが一段上がります。ピティナのステップレベルは第1楽章が応用6〜発展3、第2楽章が応用7〜発展4で、第2楽章が第20番より半歩難しい設定です。第2楽章のロンドには16分音符の走句があり、速さの壁を初めて体験する曲になります。編集部は「第20番の第2楽章→第1楽章→第19番の第1楽章→第2楽章」の順を提案します。

第25番・第9番・第10番・第1番|レベル6の「次の一歩」と、第5番でつまずく理由

op.49を終えた次の一歩には、ヘンレ版レベル6の第25番op.79、第9番op.14-1、第10番op.14-2、第1番op.2-1が候補になります。第25番op.79はヘンレ版が「ソナチネ」と表記する小さなソナタで、第1楽章のかっこうの鳴き声のような音型から「かっこう」と呼ばれ、ピティナのステップレベルは第1・第2楽章とも応用5からです。編集部総合スコアでも3.1と、op.49の次に易しい曲として5つの基準が一致しました。第9番op.14-1はホ長調の穏やかな第1楽章から入れます。第1番op.2-1はヘ短調で、終楽章のPrestissimoが速さの壁になるため、4曲の中では最後に回すのが無難です。

ここで、実際の学習者の例を1つ紹介します。Yahoo!知恵袋には、幼少期にピアノを習い20代から独学を再開したアラフォーの方が、「ベートーヴェンの第19・20番を終え、第25番を3か月かけて弾けるようになったが、次に選んだ第5番op.10-1で苦戦している」と相談した投稿があります(2025年5月)。回答者の1人は第5番を「中級上」に位置づけ、別の回答者は「第19・20・25番の後は第1番か第6番を挟むのがよい」と助言していました。第5番はヘンレ版7で、第25番(レベル6)から見ると1段上です。しかも第1楽章は冒頭から分散和音の跳躍とフォルテ・ピアノの急激な対比が続く「速さ+表現」の曲で、かっこうの穏やかさとは質が違います。第25番の次に第5番へ行くより、第9番や第6番op.10-2(全体が明るいヘ長調で、10段階Aの著者も「明るい曲が好きな人向き」と勧める曲)を挟むほうが、階段の段差が小さくなります。この相談例は、前の見出しで「評価が割れる曲」とした第5番の難しさを、学習者の実感として裏づけています。

三大ソナタの楽章別難易度|月光・悲愴・熱情はどの楽章なら弾ける?

ベートーヴェンの三大ソナタ悲愴・月光・熱情の各楽章をピティナ・ステップの課題曲レベルで3×3のマス目に示した図。月光第1楽章と悲愴第2楽章が入口

三大ソナタ(悲愴・月光・熱情)の難易度は、楽章単位で見ると「入れる楽章」と「入れない楽章」がはっきり分かれます。結論は、月光第1楽章と悲愴第2楽章はソナチネ修了前後(ピティナ発展1〜4)から挑戦でき、月光第3楽章と悲愴第1楽章は展開3まで伸びる上級、熱情は3楽章すべてが展開2〜3の最上級です。全曲を仕上げる前提で三大ソナタを「上級曲」と一括りにすると、手の届く楽章を見逃してしまいます。

曲(ヘンレ/全音) 第1楽章 第2楽章 第3楽章
悲愴 op.13(7/D) 発展4〜展開3 発展4〜展開1 発展4〜展開1
月光 op.27-2(7/E) 発展1〜5 発展1〜5 発展4〜展開3
熱情 op.57(9/F) 展開2〜3 展開2〜3 展開2〜3

※ピティナ・ピアノステップの課題曲レベル(ピティナ・ピアノ曲事典、確認日 2026年10月)。

月光ソナタ|第1楽章は発展1、第3楽章は展開3の「4段差」

月光ソナタの難易度は、第1楽章が発展1〜5、第3楽章が発展4〜展開3と、同じ曲の中で最大4段階の差があります。第1楽章は三連符(1拍を3つに分けるリズム)が最後まで続く静かな楽章で、速さも和音も負担が軽く、「表現・構成」だけが問われます。第3楽章のPresto agitatoは16分音符のアルペジオ(和音を1音ずつ順に弾く奏法)と連打が続き、速さと持久力の両方が壁になります。5つの基準で月光の評価が最も割れた理由も、この4段差にあります。第1楽章の弾き方と練習手順は月光ソナタの難易度と第1楽章の弾き方で詳しく解説しています。

悲愴ソナタ|第2楽章から入り、第1楽章は左手トレモロとの持久戦

悲愴ソナタの難易度は、ピティナのステップレベルでは3楽章とも発展4から始まり、第1楽章だけが展開3まで伸びています。第2楽章のAdagio cantabileは音数が少なく、ロンド形式(主題が何度も戻ってくる形式)を知れば譜読みは速いのですが、冒頭3音のバランスと歌わせ方で差がつく楽章です。音楽之友社の投票で「特に第二楽章が大好き」という声が寄せられたのも、この楽章の旋律の力でしょう。第1楽章はGrave(重々しく)の序奏のあと、左手のオクターブ・トレモロが延々と続くため、「和音・跳躍」と「持久力」の二重の壁があります。第2楽章→第3楽章→第1楽章の順で進める理由と目安期間はベートーヴェン「悲愴」の難易度と楽章別の練習ステップにまとめています。

熱情ソナタ|3楽章すべてが展開レベルの最上級

熱情ソナタの難易度は、ヘンレ版9・全音F・ピティナ展開2〜3と、どの基準でも最上位です。5つの基準の平均でもワルトシュタインと並ぶ9.1でした。第1楽章は約9分、第3楽章は約7分(ピティナ・ピアノ曲事典)で、どちらも速さ・和音・持久力の3つが◎。第2楽章の変奏曲は易しく見えますが、ピティナのレベルは他の楽章と同じ展開2〜3で、熱情は「楽章単位で弾く」発想が通用しない唯一の三大ソナタだと編集部は考えています。挑戦前の進度チェックと小節番号ごとの難所はベートーヴェン「熱情」の難易度と第3楽章の難所マップをご覧ください。

ソラ
悲愴と月光、どっちを先にやるべき?ヘンレだと同じ7だよね。
カイ
楽章単位なら月光第1楽章が先。全曲を仕上げるなら悲愴が先。月光は第3楽章が別次元だから、全音ではEになっているんだ。

\月光第1楽章・悲愴第2楽章を「1曲」として仕上げたい方へ/

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最難関のベートーヴェン ソナタ|ハンマークラヴィーアと後期ソナタの難しさ

ベートーヴェンのソナタで最難関とされるのは、第29番「ハンマークラヴィーア」op.106です。ヘンレ版9・全音F・28段階スケールで最大の28・10段階ブログ2誌でともに10と、5つの基準すべてで満点でした。同じレベル9にはワルトシュタイン・熱情・第28番op.101・第32番op.111が並びますが、演奏時間約40分という規模と終楽章のフーガの密度で、ハンマークラヴィーアは別格です。

ハンマークラヴィーア op.106|約40分の持久力と3声フーガ

ハンマークラヴィーアの難しさは、第4楽章「3声のフーガ」と題された巨大なフーガ(主題を複数の声部で追いかける形式)で、主題に10度の跳躍とトリルが含まれます。1817年から18年にかけて作曲され、ルドルフ大公に献呈されました(ピティナ・ピアノ曲事典)。ピティナのステップレベルは第1・第2楽章が展開2〜3で、第3・第4楽章には課題曲レベルの設定自体がありません。「課題曲にならない楽章がある」という事実が、難しさを雄弁に物語っています。全32曲を演奏したピアニストのヘザー・テイヴスは自身の連載で、リストがop.106を最難、op.111を2番目に挙げたと紹介しつつ、「その順を逆にする人もいる」と述べています。弾いた人の間でも最難曲が割れる、というのが実態です。

ワルトシュタイン・第28番・第32番|レベル9の残り3曲

ワルトシュタインop.53は、第1楽章冒頭の連打和音と、第3楽章のオクターブ・グリッサンド(鍵盤を滑らせてオクターブを弾く技法)や長いトリルが壁で、熱情と並ぶ中期の2大難曲です。第32番op.111は2楽章しかありませんが、第1楽章のフーガ風の展開と、第2楽章アリエッタの変奏で細かく分割されるリズムが、表現と速さの両面で最上級。前述のテイヴスは、op.111の本当の難しさを「技術」ではなく「演奏者に求められる精神的な開かれ方」にあると書いています。第28番op.101も終楽章にフーガを含みます。

後期の難しさは「指」より「頭」|op.109・op.110の変奏曲とフーガ

後期ソナタの難しさは、指の速さよりも構成の理解にあります。第30番op.109はヘンレ版8で、第3楽章が主題と6つの変奏からなる変奏曲。第31番op.110も8で、終楽章にフーガと、主題を上下逆さにした反行フーガが登場します。音数だけなら熱情より少ない箇所も多いのですが、「この変奏は主題のどこを変えたのか」を理解していないと、音が並ぶだけで音楽にならない難しさがあります。5つの基準の比較で、PianoQuestの技術★だけが後期3曲を7点にとどめ、他の4基準が8〜9点だったのは、この「技術の数字に出ない難しさ」が理由です。編集部は後期ソナタを「技術の最終試験」ではなく「楽譜を読む力の最終試験」と位置づけています。後期に至るまでの人生と作品の流れはベートーヴェンとは|生涯と名曲解説で紹介しています。

初期・中期・後期で変わる難しさの質|ベートーヴェン ソナタの時代別比較

ベートーヴェンのピアノソナタを初期・中期・後期の3つの時代に分け、壁になる難しさの種類と代表曲を比較した図

ベートーヴェンのソナタは、初期(第1〜第15番ごろ)・中期(第16〜第27番ごろ)・後期(第28〜第32番)で難しさの質が変わります。初期は「速さと構成」、中期は「和音と持久力」、後期は「表現と読譜」が中心です。数字のレベルだけでなく、この質の違いを知っておくと、自分に合う時代の曲を選べます。

初期(op.2〜op.28)|ハイドン譲りの形式と、意外に速い終楽章

初期のソナタは、ハイドンやモーツァルトから受け継いだソナタ形式がはっきりしていて、構成が読みやすいのが利点です。10段階Aの著者が「ベートーヴェン初心者はまず前期から」と勧めるのもこの理由からです。一方で、第1番op.2-1の終楽章Prestissimoや第5番op.10-1の第1楽章のように、終楽章・第1楽章に速いパッセージが置かれている曲が多く、「古典的=易しい」とは限りません。第6番op.10-2や第9番op.14-1のような長調の穏やかな曲から入ると、初期の良さを味わいながら速さの壁を避けられます。

中期(op.31〜op.90)|オーケストラのような響きと体力勝負

中期のソナタは、テンペスト・ワルトシュタイン・熱情・告別に代表されるように、ピアノ1台でオーケストラのような響きを求める曲が並びます。10段階Aの著者はこの4曲のうちワルトシュタイン・テンペスト・告別を「中期の三大ソナタ」と呼び、「作品面では最高傑作だが、テクニックの難易度も最高」と評しています。8〜10分の楽章を崩さずに弾き切る持久力と、厚い和音を鳴らし切る腕の使い方が、中期の壁です。手の大きさで弾き方を変える必要がある曲も多く、独学で判断しにくい時代でもあります。

後期(op.101〜op.111)|声部を聴き分ける力が前提

後期の5曲は前の見出しで触れた通り、声部(同時に進む複数の旋律の線)を聴き分けて弾く力が必須です。10段階Aの著者が「若い頃は理解しにくかったが、今は強く惹かれる」と述べているように、人生経験と結びついて魅力が増す曲でもあります。編集部の見解として、後期ソナタに挑む前にバッハのインベンションで2声を弾き分ける訓練を済ませておくことをおすすめします。

ベートーヴェン ソナタの練習順おすすめルート|大人から弾くには

大人の学習者向けにベートーヴェンのピアノソナタを弾く順番をop.49から熱情まで5段階で示したルート図。各段階に次へ進む判断基準つき

ベートーヴェンのソナタを大人から弾くなら、編集部がおすすめする練習順は「第20番→第19番→第25番か第9番→月光第1楽章・悲愴第2楽章→悲愴全曲→テンペスト→ワルトシュタインか熱情」です。ヘンレ版のレベルが3→6→7(楽章単位)→7(全曲)→8→9と、1段㑚つ上がるように組んでいます。

5段階のルート表と、各段階で「次に進んでよい」判断基準

  1. 第1段階:第20番・第19番 op.49(ヘンレ3)。判断基準:暗譜でテンポを落とさず通せる。
  2. 第2段階:第25番 op.79か第9番 op.14-1(ヘンレ6)。判断基準:提示部・展開部・再現部を自分で楽譜に書き込める。第5番は飛ばし、必要なら第6番を挟む。
  3. 第3段階:月光第1楽章と悲愴第2楽章(楽章単位でヘンレ7相当)。判断基準:録音で旋律と伴奏の音量差が聴き取れる。
  4. 第4段階:悲愴全曲(ヘンレ7・全音D)。判断基準:第1楽章の左手トレモロを力まずに弾き切れる。
  5. 第5段階:テンペスト(ヘンレ8・全音E)、その先にワルトシュタイン・熱情(ヘンレ9・全音F)。判断基準:1曲3〜6か月を前提に、「難しさの種類」で自分に合うほうを選ぶ。

途中でショパンのノクターン(ヘンレ版でレベル6の例に挙げられている曲)を挟むと、第3段階で必要な「歌わせる力」を別の角度から鍛えられます。ショパン ノクターンの難易度一覧と組み合わせて、息切れしないルートを作ってみてください。

大人からベートーヴェン ソナタを弾くときの3つの現実

大人からベートーヴェンのソナタに挑むときに知っておいてほしい現実は3つです。1つ目は、1曲に3〜6か月かかるのが普通だということ。先ほどの知恵袋の相談者も、レベル6の第25番に3か月かけています。月光第1楽章でも、週3〜4回・1日30分の練習なら2〜3か月は見ておくと安心です。2つ目は、楽章単位の達成を「完成」と認めてよいということ。ヘンレ版自身が楽章ごとに難易度を付けているのですから、第1楽章だけを発表会で弾くのは正当な選択です。3つ目は、悲愴第1楽章やワルトシュタインの和音は手の大きさで弾き方を変える必要があり、独学では判断しにくいということです。知恵袋の回答者の1人も「ベートーヴェンは9度が届くかどうかで難度が変わる」と指摘していました。大人がピアノを難しいと感じる理由と対処法は大人がピアノを「難しい」と感じる本当の理由6つで整理しています。

楽譜はどれを選ぶ?|全音・ヘンレ・ウィーン原典版の使い分け

ベートーヴェンのソナタの楽譜は、全音版・ヘンレ版・ウィーン原典版(音楽之友社)の3つが定番です。この記事で難易度の土台にしたヘンレ版は、自筆譜や初版を研究した原典版で、運指は最小限。入門期は日本語の解説と運指が豊富な全音版、ソナタ数曲を経験してからはヘンレ版かウィーン原典版、という使い分けが現実的です。先ほど比較した10段階Bの著者も「主にヘンレ版を使い、先生にすすめられた版の購入を検討中」と書いており、学習が進むと複数の版を見比べるようになるのが自然な流れです。1曲ずつ買うならヘンレ版の単曲(op.49、op.13、op.27-2などは単曲で出ています)が無駄がありません。

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※「悲愴第1楽章の左手が力む」「ワルトシュタインの和音が届かない」など、曲を決めて相談すると具体的な答えが返ってきます。

ベートーヴェン ソナタの難易度についてよくある質問

ベートーヴェンのソナタの難易度について、検索や相談で繰り返し見かける質問に短く答えます。詳しい根拠は、それぞれ本文の該当する見出しをご覧ください。

月光の第1楽章だけを発表会で弾いてもいいですか?

問題ありません。ヘンレ版が「曲の単位は楽章ごと」と明記して難易度を付けているように、楽章単位は正当な1曲です。ピティナのステップでも月光第1楽章は発展1から課題曲に指定されています。第1楽章を仕上げたら、次は悲愴第2楽章に進むのが同じレベル帯での自然な流れです。

ベートーヴェンのソナタで一番簡単な曲はどれですか?

第20番op.49-2です。ヘンレ版3・28段階スケール12・10段階ブログ2誌で1・PianoQuest★2と、この記事で比較した5つの基準すべてで最下位でした。次が第19番op.49-1、その次が第25番op.79「かっこう」です。ソナチネアルバムの進度で言えば応用5〜6から手が届きます。

一番難しいのはハンマークラヴィーアですか?熱情ですか?

5つの基準すべてで満点だったのはハンマークラヴィーアop.106だけで、熱情とワルトシュタインが9.1で続きます。ただし全32曲を弾いたピアニストの間でも、op.106とop.111のどちらが最難かは意見が分かれます。技術で選ぶならop.106、精神的な難しさまで含めるならop.111、というのが一般的な見方です。

手が小さくても弾けるベートーヴェンのソナタはありますか?

「和音・跳躍」の列に◎がない曲を選んでください。第20番・第25番・第9番・田園は和音の負担が軽く、月光第1楽章も三連符の分散和音が中心なので手の大きさの影響が小さい楽章です。逆に悲愴第1楽章の左手トレモロとワルトシュタインの和音は、9度が届くかどうかで弾き方が変わります。

全音の難易度記号で言うとどのくらいですか?

編集部が確認した範囲では、悲愴がD(中級上)、月光とテンペストがE(上級)、熱情とワルトシュタインがF(上級上)です。全音は曲全体の難しさを1文字で示すため、月光のように楽章差が大きい曲は上の文字に寄ります。楽章単位で選ぶときはヘンレ版とピティナを併用してください。

独学でもベートーヴェンのソナタは弾けますか?

op.49・第25番・第9番・月光第1楽章・悲愴第2楽章までは、楽譜に運指のある全音版と録音があれば独学でも十分に仕上がります。悲愴第1楽章以降は、手の大きさに応じた和音の取り方や腕の使い方を独学で判断しにくくなるため、曲を決めて一度レッスンで見てもらうのが近道です。

まとめ|ベートーヴェン ソナタの難易度は「楽章単位」と「難しさの種類」で見れば怖くない

冒頭の3つの疑問に答えます。

  • 簡単な順は?基準で変わる?:op.49の2曲(ヘンレ3)→第25番・第9番・第10番・第1番(ヘンレ6)→悲愴・月光・田園など(7)→テンペストなど(8)→ワルトシュタイン・熱情・ハンマークラヴィーアなど(9)。5つの基準を重ねても両端は動かず、動くのは真ん中のレベル7の中だけ。月光・悲愴・告別・第5番は「自分の苦手」で難易度が変わる曲。
  • 三大ソナタは楽章単位でどこまで?:月光第1楽章と悲愴第2楽章はピティナ発展1〜4から挑戦可能。月光第3楽章・悲愴第1楽章は展開3まで伸びる上級。熱情は3楽章すべて展開2〜3で、楽章単位の発想が通用しない。人気投票3位の悲愴と8位の月光は、憧れと現実の距離が最も近い2曲。
  • 大人からの順番と楽譜は?:op.49→レベル6の小さなソナタ(第5番は飛ばす)→月光第1楽章・悲愴第2楽章→悲愴全曲→テンペスト→ワルトシュタインか熱情。入門期は全音版、ソナタ数曲の経験後はヘンレ版かウィーン原典版。1曲3〜6か月を前提に、難しさの種類で自分に合う曲を選ぶ。

ベートーヴェンのソナタの難易度は、全曲で見れば32曲中26曲が上級ですが、楽章単位で見ればソナチネ修了前後から手が届く楽章がいくつもあります。一覧表と2つのマトリクス、人気×難易度の図を参考に、まずは「弾ける楽章」から1つ選んでみてください。この記事で紹介した表と図は、あなたの進度が変わるたびに見返せるよう、ブックマークしておくことをおすすめします。

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