カノンのピアノ難易度は?初級〜上級の楽譜比較・練習期間と結婚式で弾くコツ

カノンのピアノ難易度は、ひとことで言うと「どの楽譜を選ぶかで、入門から上級まで変わる曲」です。全音ピアノピースのパッヘルベル「カノン」(PP-448)は6段階評価でC(中級)ですが、黒鍵を使わないハ長調の入門アレンジもあれば、ジョージ・ウィンストンの変奏のように上級者向けの演奏もあります。

「友人の結婚式で弾いてほしいと頼まれた」「自分の式で、ゲストに向けて一度だけ弾いてみたい」「大人になってピアノを始めたので、まずはあの有名な曲を1曲仕上げたい」——カノンを調べている方の多くは、決まった日までに、最後まで止まらずに弾き切りたいという目標を持っているのではないでしょうか。だからこそ、最初に選ぶ楽譜を間違えると、本番までの時間が足りなくなってしまいます。

  • パッヘルベルのカノンはピアノで弾くとどのくらい難しい?エリーゼのためにと比べると?
  • ピアノ初心者でも弾ける楽譜はある?何か月くらいで弾けるようになる?
  • 結婚式で弾くなら、いつから・どんな準備をすればいい?

この記事は、カノンをピアノで弾きたい初心者〜中級者の方、とくに結婚式や発表会などの「本番の日」が決まっている方に向けて書いています。出版されている楽譜の情報と、実際にカノンに挑戦した学習者の声をもとに、編曲版ごとの難易度の違い・練習期間の目安・楽譜の選び方・本番から逆算した練習の進め方まで、順番にお答えします。

目次

カノンのピアノ難易度は「編曲版で入門〜上級」まで変わる

パッヘルベルのカノンのピアノ楽譜を入門・初級・中級・上級の4段階に分け、教本の進度の目安と並べた難易度の階段図

カノンのピアノ難易度は、編曲版によって入門から上級まで大きく幅があります。理由はシンプルで、パッヘルベルのカノンはもともとピアノ曲ではないからです。原曲は3本のヴァイオリンと通奏低音(チェロや鍵盤楽器などが受け持つ低音パート)のための合奏曲なので、ピアノで弾くための楽譜はすべて「誰かが編曲したもの」になります。

本来は4人で演奏するパートを、1人・2本の手でどこまで再現するか。何調にするか。後半の華やかな部分を残すか、カットするか。これらはすべて編曲者次第です。その結果、同じ「カノン」という曲名でも、難易度がまったく違う楽譜が書店や楽譜配信サイトに並ぶことになります。

全音ピアノピース「パッヘルベルのカノン」(PP-448)はC(中級)

難易度の基準としてよく使われるのが、全音楽譜出版社の「全音ピアノピース」です。全音ピアノピースでは、難易度をA(初級)・B(初級上)・C(中級)・D(中級上)・E(上級)・F(上級上)の6段階で表示しています。

パッヘルベルのカノンはPP-448「パッヘルベルのカノン」(後藤丹 編)として出版されており、難易度はC(中級)です。原曲と同じニ長調で、後半の細かい動きまで省略せずに書かれた、いわば「ピアノで弾く標準的なカノン」といえます。

ただし、表示上の「中級」をそのまま信じると痛い目を見るかもしれません。ピアノ初心者の方がこのPP-448を先生と練習し、発表会で演奏したときの記録を公開しているブログでは、6月中旬から10月下旬まで約4か月半かけて練習したうえで、「C評価とは思えないほど難しかった」「中間部の音の多さに譜読みと指使いで苦労した」と振り返っています(参考:pf-kaoruさんのブログ)。

楽譜の解説記事を書いているピアノ経験者のなかにも、「全音ピースは中級表記だが、実際には上級の技術が要る」と指摘する声があります。編集部としても、PP-448は「中級の入り口」ではなく「中級をしっかり終えた人の曲」と考えて選ぶのが安全だと考えています。

難易度別・カノンのピアノ楽譜比較表

カノンのピアノ楽譜を難易度別に整理すると、次のようになります。表紙の「初級」「中級」という表示は出版社ごとに基準が違うため、右端の「向いている人」の列を基準に選ぶのがおすすめです。

楽譜の種類 難易度 調 特徴 向いている人
ドレミ・指番号つきの入門アレンジ 入門 ハ長調が多い 右手はメロディ1本、左手はベース音の単音。後半の16分音符はカットか8分音符に簡略化 楽譜を読むのがまだ苦手な人・ピアノを始めて数か月の人
初級アレンジ(大人向け曲集・名曲集など) 初級 ハ長調/ニ長調 左手はベース音の繰り返し中心。右手は変奏を重ね、後半に16分音符やトリルが入る版もある バイエル後半〜ブルグミュラー程度の人
全音ピアノピース PP-448(後藤丹 編) C(中級) ニ長調 6ページ。右手で2つのメロディを弾き分け、後半は16分音符が続く。ピアノで弾く標準的なカノン ソナチネ程度まで進んだ人・本番でしっかり聴かせたい人
リー・ギャロウェイ編曲版 初中級〜中級 ニ長調 左手のアルペジオに乗せて右手が変奏する、ピアノらしい響きの編曲。中盤の16分音符のパッセージが山場 ブルグミュラー後半〜ソナチネに入った人
上級アレンジ(楽譜配信サイトの上級版・上級グレード曲集など) 上級 編曲による 音域が広く、内声の動き・オクターブ・アルペジオが多い。演奏時間5分以上のものも ソナタやバッハのシンフォニアを弾いている人
ジョージ・ウィンストン「Variations on the Kanon by Johann Pachelbel」 中上級〜上級 ニ長調 1982年のピアノソロアルバム『December』収録。原曲を素材にした変奏曲で、左手の10度の和音やスタッカートの中間部が難所 ニューエイジ系のサウンドが好きな中上級者

楽譜配信サイト(ヤマハの「ぷりんと楽譜」など)では、1曲単位で「初級」「初〜中級」「上級」といったグレード表示つきの編曲版を選べます。紙の曲集を1冊買う前に、試し読みで自分に合うレベルを確かめられるのは大きなメリットです。

教本の進み具合で見るカノンの難易度の目安

「自分はどのカノンなら弾けるのか」を判断するいちばん簡単な方法は、今弾いている教本と照らし合わせることです。参考URLや楽譜の解説で示されている目安をまとめると、おおよそ次のようになります。

  • 入門〜初級版(ハ長調・短縮版):バイエルの中盤〜後半程度。Yahoo!知恵袋の回答には「ハ長調の簡単な編曲ならバイエル中期の子どもでも弾ける」という声もあります
  • 初中級〜中級版(ニ長調・リー・ギャロウェイ版など):ブルグミュラー25の練習曲を終えて、ソナチネアルバムに入ったあたり(ソナチネアルバムの弾く順番はこちら)
  • 全音ピース(PP-448)・ウィンストン版:ソナチネ〜ツェルニー30番程度。右手の2声の弾き分けがあるので、バッハのインヴェンションに取り組んだ経験があると楽になります
  • 上級アレンジ:ツェルニー40番以上、バッハのシンフォニアや平均律が弾けるレベル

ここで覚えておきたいのは、カノンの難しさは「指の速さ」よりも「パートの弾き分け」で決まるということです。教本の番号は目安にすぎないので、楽譜を開いて「右手が1本のメロディか、2本のメロディか」を確かめるのが確実です(詳しくは後半の「楽譜の選び方」で解説します)。

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「どの楽譜を選べばいいか分からない」「本番の日が決まっていて独学だと不安」という方は、プロの講師に自分のレベルと本番までの期間を伝えて、楽譜選びから一緒に考えてもらうのが近道です。

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カノンは他の名曲と比べて難しい?エリーゼのためにとの比較

カノンのピアノ難易度を、エリーゼのために・乙女の祈り・トルコ行進曲・ノクターン第2番と横並びで比べた難易度スケール図

カノンとほかの名曲のピアノ難易度を比べると、全音ピースなど標準的な中級版のカノンは「エリーゼのためにより少し難しく、トルコ行進曲やショパンのノクターン第2番より易しい」くらいの位置づけです。ただし、カノンは編曲の幅が大きいため、入門版ならエリーゼより簡単になります。

カノンとエリーゼのためにはどちらが難しい?

「カノンとエリーゼのためには、どちらが難しいですか?」は、昔から多くの人が気になってきた質問です。Yahoo!知恵袋にも同じ質問が投稿されていて、回答者の意見は分かれています(参考:Yahoo!知恵袋)。

  • カノンのほうが難しいという意見:「原曲に近いカノンはツェルニー30番程度、エリーゼはバイエル修了程度」と感じる
  • エリーゼのほうが難しいという意見:エリーゼは音域や強弱の幅が大きく、左手の連打や半音階もある。カノンは繰り返しが多く転調もないので、練習すれば弾けるようになる
  • 共通している結論:カノンは編曲によって難易度が大きく変わる

編集部の見方をまとめると、「入門〜初級版のカノン < エリーゼのために ≦ 中級版のカノン」です。エリーゼのためにはベートーヴェンが書いたピアノ曲なので楽譜が1種類に定まっていますが、カノンはそうではありません。つまり、比べる前に「どのカノンか」を決める必要があるのです。エリーゼのためにの難易度や練習期間は、エリーゼのためにの難易度をレベル別に解説した記事で詳しく紹介しています。

乙女の祈り・トルコ行進曲・ノクターンとの比較

発表会や結婚式で候補にあがりやすい名曲と、中級版のカノンを比べた目安は次のとおりです。

比べる曲 中級版カノンと比べると 難しさの種類の違い
ベートーヴェン「エリーゼのために」 カノンのほうがやや難しい〜同程度 エリーゼは中間部の速いパッセージと強弱、カノンは右手の2声の弾き分け
バダジェフスカ「乙女の祈り」 ほぼ同程度 乙女の祈りはオクターブと跳躍、カノンは同じ低音の上で変化するメロディの管理
モーツァルト「トルコ行進曲」 カノンのほうが易しい トルコ行進曲は速いテンポと粒のそろった16分音符が続く
ショパン「ノクターン第2番 Op.9-2」 カノンのほうが易しい ノクターンは装飾音・テンポの揺らし方(ルバート)・ペダルの繊細さが求められる

カノンの良いところは、テンポがゆったりしていて、和音の流れ(コード進行)がずっと同じという点です。速さでごまかせない曲ではありますが、裏を返せば「ゆっくりでも美しく聴こえる曲」でもあります。人前で弾く1曲目としては、とても選びやすい名曲だといえるでしょう。トルコ行進曲の難易度はトルコ行進曲は何年目で弾けるかを解説した記事、ショパンの曲の難易度はショパンのピアノ曲を難易度順にランキングした記事も参考にしてください。

原曲は弦楽合奏——ピアノのカノンが難しくなる理由

パッヘルベルのカノンの構造図。2小節の低音を繰り返すグラウンド・バスの上で、3本のヴァイオリンが2小節ずつ遅れて同じ旋律を追いかける様子

パッヘルベルのカノンがピアノで難しく感じられるのは、4つのパートを2本の手でまとめて弾くからです。原曲の正式な名前は「3つのヴァイオリンと通奏低音のためのカノンとジーグ ニ長調」。ドイツの作曲家ヨハン・パッヘルベルの作品で、作曲年ははっきりわかっていません。

カノンとは「同じメロディを追いかけっこする」書き方

カノンとは、ひとつのメロディを複数のパートが少しずつ遅れて追いかける作曲技法のことです。「かえるの合唱」の輪唱をイメージするとわかりやすいでしょう。パッヘルベルのカノンでは、3本のヴァイオリンが同じ旋律を2小節ずつずらして演奏し、その下で低音パートが2小節の同じ音型(グラウンド・バス)を最初から最後まで繰り返します。

カノン部分は全56小節で、2小節の低音が何度も繰り返される構造です。低音の上に乗る和音の流れは、ニ長調で表すとD→A→Bm→F#m→G→D→G→A。いわゆる「カノン進行」と呼ばれるコード進行で、J-POPのヒット曲にもたくさん使われています。ハ長調に移すとC→G→Am→Em→F→C→F→Gになり、入門アレンジの多くはこちらの調で書かれています。

右手の中で「歌う指」と「伴奏する指」を分ける必要がある

ピアノ版のカノンでは、左手がグラウンド・バス(低音)を、右手が最初に出てくるヴァイオリンのメロディを受け持つのが基本です。ところが中級以上の編曲では、追いかけてくる2本目のメロディや和音の内声(真ん中の音)まで右手に入ってくるため、右手の中で「メロディを歌わせる指」と「伴奏を小さく弾く指」を分ける必要が出てきます。これが、カノンが見た目以上に難しい一番の理由です。

さらに曲の後半では、ヴァイオリンの旋律が8分音符から16分音符へと、どんどん細かくなっていきます。前半は「ゆっくりで弾けそう」と感じても、後半で指が追いつかなくなるのはこのためです。中級版では3度(ドとミのように1つ飛ばしの2音)が連続する箇所も出てくるので、指の独立が求められます。

ソラ
カノンってゆったりした曲だから、ピアノでもすぐ弾けると思ってた…。後半ってそんなに忙しくなるの?
カイ
そうなんだ。原曲だとヴァイオリン3人が分担している細かい動きを、ピアノでは1人で引き受けることになるからね。だから楽譜選びでは「後半がどう書かれているか」を必ず見ておこう。

結婚式の定番になったのは20世紀後半から

意外かもしれませんが、パッヘルベルのカノンが広く知られるようになったのは20世紀に入ってからです。楽譜が出版されたのは1919年で、1968年にジャン=フランソワ・パイヤール室内管弦楽団が、ゆったりとロマンティックなテンポで録音したことで一気に人気が広がりました。その後、ジョージ・ウィンストンが1982年のアルバム『December』でピアノ変奏版を発表し、ピアノで弾くカノンのイメージが定着していきます。欧米では結婚式でよく使われる曲としても定番になりました。

つまり、私たちが「カノン」と聞いて思い浮かべるゆったりした、しっとりした響きは、原曲そのものというより20世紀の演奏スタイルから生まれたものです。ピアノで弾くときも、急がずにたっぷり歌わせるテンポを選んで問題ありません。

カノンは何か月で弾ける?ピアノ歴別の練習期間の目安

ピアノ歴と選ぶカノンの楽譜の組み合わせごとに、弾けるようになるまでの練習期間の目安を示したマトリックス図

カノンをピアノで弾けるようになるまでの練習期間は、ピアノ歴に合った楽譜を選べば2〜4か月がひとつの目安です。逆に言えば、実力より上の楽譜を選ぶと、半年かけても通せないということが起こります。

ピアノ歴×楽譜のレベル早見表

経験年数と教本の進み具合から、どの楽譜を選び、どのくらいの期間を見込めばよいかを整理しました。練習期間は「毎日20〜30分練習できる」場合の目安です。

今のレベル(教本の目安) おすすめのカノン 通して弾けるまでの目安
ピアノ未経験〜始めて半年(楽譜がまだ読みにくい) ドレミ・指番号つきの入門アレンジ(ハ長調) 1〜3か月
始めて半年〜1年(バイエル後半・ブルグミュラー前) ハ長調の初級アレンジ・短縮版 2〜3か月
1〜3年(ブルグミュラー25の練習曲・ソナチネ) リー・ギャロウェイ版、全音ピアノピース PP-448(C) 3〜4か月
3年以上(ソナタ・ショパンのワルツなど) 上級アレンジ・ウィンストン版 1〜4か月(編曲による)

先ほど紹介したブログの学習者さんがPP-448に約4か月半かけたことを考えると、初心者が中級版に挑む場合は「4か月以上+先生のサポート」を見込んでおくのが現実的です。結婚式など日程が決まっている場合は、この期間に人前で弾く練習の時間を1か月ほど上乗せして考えると安心です。

ピアノ未経験からカノンは弾ける?

海外のピアノ掲示板(Reddit)でも「ピアノの知識ゼロの人がカノンを弾けるようになるまで、どれくらいかかる?」という質問が立てられているほど、カノンは「ピアノを始めるきっかけの1曲」として世界中で選ばれています。

結論から言うと、未経験からでも入門〜初級アレンジなら十分に弾けます。左手が同じ低音の繰り返しなので、一度覚えてしまえば左手の負担は小さく、右手のメロディに集中できるからです。一方で、全音ピースのような中級版をいきなり目標にすると、譜読みだけで挫折しやすくなります。

おすすめは、まず入門版で「最後まで弾けた」という経験をつくり、そのあと中級版に進むという2段階の計画です。同じ曲を2回練習することになりますが、和音の流れや曲の構成がすでに頭に入っているので、2回目は驚くほど早く進みます。大人のピアノ学習全般のコツは大人がピアノを始めるときのポイントをまとめた記事も参考にしてください。

大人の初心者がつまずきやすいポイント

大人の初心者がカノンでつまずきやすいのは、次の3点です。

  • 左手の繰り返しで、今どこを弾いているか見失う:同じ低音が何度も出てくるので、楽譜の上で迷子になりやすい
  • 右手のメロディが伴奏に埋もれる:左手の和音を強く弾きすぎると、カノンのきれいな旋律が聞こえなくなる
  • ペダルで音が濁る:和音が2拍ごとに次々に変わるので、踏みかえが遅れると響きが混ざる

どれも「難しい指の動き」ではなく、聴き方と段取りの問題です。だからこそ、大人になってから始めた方でも練習の順番を工夫すれば乗り越えられます。

カノンのピアノ楽譜の選び方|難易度を左右する3つのポイント

カノンのピアノ楽譜を選ぶときに確認する3つのポイント(調・長さ・右手の声部の数)をまとめたチェックリスト図

カノンのピアノ楽譜は「調」「長さ」「右手の声部の数」の3つを見れば、自分に合う難易度かどうかを判断できます。表紙の「初級」「中級」という表示だけで選ぶと、実際に弾いてみて「思っていたのと違う」となりがちです。購入前に、配信サイトの試し読みや楽器店の見本で次の3点をチェックしてみてください。

①調:ハ長調の初級版か、原曲と同じニ長調か

原曲のカノンはニ長調(シャープ2つ)です。初級アレンジでは、黒鍵をほとんど使わないハ長調に移していることがよくあります。ハ長調版は読譜も指使いもぐっと楽になる一方、原曲の録音と一緒に聴くと音の高さが違って聞こえます。

結婚式で弦楽器と合わせる、原曲の音源とつなげて流すといった予定がある場合は、調を必ず確認しましょう。逆に、ピアノ1台で弾くだけならハ長調でもまったく問題ありません。聴いているゲストのほとんどは、調の違いに気づかないはずです。

②長さ:最後まで書かれた版か、短縮版か

カノンは、2小節の低音を繰り返しながらメロディが変化していく曲です。そのため編曲によっては、前半のゆったりした部分を中心に短くまとめた短縮版もあります。初心者が弾くなら、後半の細かい動きが入っていない短縮版を選ぶだけで、難易度は大きく下がります。

ただし、入門アレンジのなかには盛り上がる部分(いわゆるサビ)を丸ごとカットしているものもあり、「弾きたかったカノンのイメージと違う」と感じることがあります。買う前に、自分が好きな部分が入っているかを確かめましょう。逆に、全音ピアノピースのように6ページある版は、後半の盛り上がりまで含めて聴かせられる分、練習量も必要です。

③右手の声部:メロディ1本か、追いかけるメロディも入っているか

カノンらしさは、メロディが追いかけっこする部分にあります。初級版では右手はメロディ1本に整理されていることが多く、中級以上では右手に2つのメロディや和音が重なってきます。

楽譜を開いたときに、右手の音符に「棒が上向きと下向きの2種類」書かれているかを見てください。2種類あれば、右手で2つのパートを弾き分ける中級以上の楽譜です。初めてカノンに挑戦する方は、右手の棒が1種類の楽譜から始めると安心です。

無料楽譜と有料楽譜はどちらを選ぶ?

カノンは人気曲なので、無料でダウンロードできる楽譜もたくさんあります。たとえば「ピアノ塾」では、ハ長調・ドレミ表記と指番号つきの入門版から、ブルグミュラー程度を想定した初級版、ニ長調の中級版まで、レベル別の無料楽譜が公開されています(参考:ピアノ塾)。

無料楽譜を使うときは、次の2点に気をつけましょう。

  • 指番号・ペダル記号が書かれていないことが多い:IMSLPなどで公開されている楽譜は原曲譜やスキャン画像が中心で、ピアノ初心者が独学で使うには情報が足りない場合があります
  • 利用条件を確認する:無料で公開されている編曲楽譜のなかには、パブリックドメインではなく「楽譜下のクレジットを消さずに使う」などの条件つきのものがあります

一方、「ぷりんと楽譜」や「Piascore」などの有料楽譜は、1曲数百円程度で指番号やペダル記号まで丁寧に書き込まれた版が手に入ります。本番の日が決まっているなら、迷わず有料の楽譜を選ぶのが編集部のおすすめです。指使いを自分で考える時間を、練習時間に回せるからです。

結婚式でカノンをピアノで弾くときの準備と注意点

結婚式でカノンをピアノで弾くための、本番4か月前から当日までの練習スケジュールを示したタイムライン図

結婚式でカノンをピアノで弾くなら、「難易度は一段下げて、確実に弾ける版を選ぶ」のが鉄則です。本番は会場のピアノ、慣れない空気、ゲストの視線と、ふだんの練習とはまったく違う条件がそろいます。人前で弾くと、体感の難しさはふだんより1〜2段階上がると考えておきましょう。

目安は「自分の実力の7割くらいで弾ける楽譜」です。家で9割弾ける楽譜より、家で10割弾ける楽譜を選んだほうが、当日の満足度はずっと高くなります。結婚式で人気のクラシック曲やシーンごとの選び方は、結婚式で人気のクラシック音楽をシーン別に紹介した記事で詳しく解説しています。

演奏する場面と長さを決めてから楽譜を選ぶ

カノンは、新婦入場・キャンドルサービス・歓談中のBGM・ゲストからの余興など、結婚式のさまざまな場面で使われます。場面によって必要な長さが違うので、まず「何分くらい弾くのか」を式場や新郎新婦と決めてから楽譜を選びましょう。

ここで役に立つのが、カノンの「2小節の低音が繰り返される」という構造です。キリのよい繰り返しの切れ目で終われば、途中で止めても不自然になりにくく、入場の歩く時間に合わせて長さを調整しやすい曲なのです。終わり方を決めておきたい場合は、最後の和音をゆっくり伸ばして終える形を、あらかじめ先生に相談しておくと安心です。

会場のピアノと「人前で弾く練習」

式場のピアノは、グランドピアノの場合もあれば電子ピアノの場合もあります。鍵盤の重さやペダルの効き方が自宅と違うことも多いので、可能であれば事前に会場で試し弾きをさせてもらえるか確認しておきましょう。

また、本番1か月前からは「通しで1回だけ弾く」練習を毎日入れてください。途中で間違えても止まらずに最後まで弾き切る練習です。家族や友人の前で弾く、スマートフォンで録画するだけでも、本番の緊張にかなり近い状態をつくれます。暗譜して弾くつもりでも、楽譜は必ず譜面台に置いておくのが安全です。ページをめくる箇所は、コピーを並べて貼るなどして譜めくりを減らしておきましょう。

ソラ
本番で間違えたらどうしよう…って考えるだけで緊張してきた。
カイ
カノンは左手の低音がずっと同じだから、右手が迷子になっても左手さえ続いていれば音楽は止まらないんだ。左手だけで最後まで弾ける状態にしておくのが、いちばんのお守りになるよ。

ひとりで不安なら「連弾」という選択肢も

カノンは連弾用の楽譜も出版されています。2人で弾けば1人あたりの音数が減り、プレッシャーも分け合えます。もともと複数のパートが追いかけっこする曲なので、連弾にすると原曲のカノンらしい響きがむしろ感じやすくなるのも魅力です。新郎新婦のきょうだいや友人どうしで弾く余興にも向いています。

本番から逆算した練習スケジュール

  1. 本番4か月前:楽譜を決める(調・長さ・声部の3点チェック)。演奏する場面と長さも確定させる
  2. 3か月前:左手のグラウンド・バスとコードを覚え、片手ずつ通せるようにする
  3. 2か月前:両手でゆっくり通す。後半の細かい部分は部分練習を重点的に
  4. 1か月前:本番のテンポで通す。毎日1回「止まらない通し練習」と録画
  5. 1〜2週間前:会場での試し弾き、終わり方・ペダルの最終確認

\本番の日から逆算してレッスンを組みたい方に/

結婚式まで時間が限られているなら、「この日までにこの曲を仕上げたい」と伝えて、1曲集中で見てもらえるレッスンを選ぶと効率的です。楽譜選び・指使い・本番の終わり方まで、自分に合わせて相談できます。

▶結婚式のカノンを先生と仕上げるならオトノミチシルベ

カノンをピアノで弾けるようになる練習ステップ

カノンをピアノで弾けるようになるための4つの練習ステップ(左手の低音、楽譜への番号書き込み、右手のメロディ、後半のリズム練習)を示したステップ図

カノンのピアノ練習は「左手から、繰り返しのまとまりごとに」進めるのが近道です。どの難易度の楽譜でも、骨組みは2小節の低音とその上の和音。骨組みが体に入っていれば、右手のメロディが変化しても迷いにくくなります。

ステップ1:左手の低音とコードを体に入れる

まず左手だけで、2小節の低音を何度も繰り返して弾きます。目をつぶっても弾けるくらいになったら、余裕があれば右手でコード(和音)を同時に押さえ、D→A→Bm→F#m→G→D→G→A(ハ長調版ならC→G→Am→Em→F→C→F→G)の流れを耳で覚えましょう。

同じ動きを何度も繰り返すので、長く弾いていると手首や腕が固まりやすいのもカノンの特徴です。毎日5分だけ「左手だけの時間」をつくり、メトロノームをやや遅めにして、肩や手首の力を抜いて弾く感覚を身につけておくと、本番で左手が崩れにくくなります。

ステップ2:楽譜に「何周目か」を書き込む

同じ低音が繰り返される曲なので、楽譜に2小節ごとに「1」「2」「3」…と番号を振っておくと、今どこを弾いているかを見失いません。右手のメロディのパターンが変わる場所に印をつけておくのも効果的です。

練習も2小節(または4小節)ごとに区切って進めましょう。カノンは「2小節で1つの和音の流れが完結する」曲なので、区切りやすく、少しずつ完成させていく達成感も得やすい曲です。

ステップ3:右手はメロディだけを先に歌わせる

中級以上の版で右手に2つのパートがある場合は、まずメロディの音だけを抜き出して弾き、歌うように弾けるようにします。そのあとで伴奏の音を小さく足していくと、メロディが埋もれません。

2つのパートの弾き分けがどうしてもうまくいかない場合は、パートごとに別々に練習してから合わせるのが確実です。3度の連続が続く箇所が苦手な方は、ツェルニーなどの教本にある3度の練習曲で指を慣らしておくのも効果があります。

ステップ4:後半の細かい部分は「ゆっくり・リズム変え」で

16分音符が続く後半は、テンポを半分に落とし、付点のリズム(タッカ・タッカ)や逆付点(タカッ・タカッ)に変えて練習すると指がそろいやすくなります。メトロノームを使って、少しずつ元のテンポに近づけましょう。基礎的な指の練習についてはピアノの基礎練習を紹介した記事でも解説しています。

【一次情報を追加:カノンの練習で執筆者が効果を感じた練習法・楽譜への書き込みの工夫を1〜3文(写真があれば添付)】

カノンの次に弾きたい曲

カノンの初級版が弾けたら、次は同じように「ゆったりしたテンポで響きを楽しむ曲」に進むのがおすすめです。初心者向けの曲選びはピアノ初心者におすすめの簡単な曲を紹介した記事でまとめています。

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「教本を順番に進めるより、まずはカノンを1曲弾けるようになりたい」という方には、弾きたい曲を目標にしてレッスンを組めるオンラインのピアノ教室が向いています。自宅のピアノや電子ピアノで、空いた時間に練習を見てもらえます。

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カノンのピアノ演奏でよくある質問

最後に、カノンをピアノで弾こうとしている方からよく聞かれる疑問にお答えします。

Q. 楽譜がまったく読めなくてもカノンは弾けますか?

弾けます。カノンにはドレミの音名と指番号がすべて書かれた入門楽譜があり、楽譜が読めない方でも取り組めます。ただ、ドレミ表記に頼りすぎると、次の曲に進むときにまた同じ苦労をすることになります。カノンを練習しながら、ト音記号・ヘ音記号の読み方も少しずつ覚えていくのがおすすめです。

Q. ジョージ・ウィンストン版で左手が届かないときは?

ジョージ・ウィンストン版には、左手で10度(ドから1オクターブ上のミまで)の和音をつかむ箇所があり、手の小さい方には物理的に届かないことがあります。その場合は、和音を下から順にばらして弾く(アルペジオにする)、いちばん上の音を省略する、右手で取れる音は右手に回す、といった工夫で対応できます。どの音を省くかは、先生に相談しながら決めると響きが崩れません。

Q. カノンは独学でも弾けますか?

入門〜初級版なら独学でも十分に弾けます。左手のパターンが決まっていて、YouTubeなどで演奏例も探しやすいからです。独学の進め方は大人のピアノ独学の始め方をまとめた記事が参考になります。一方、全音ピース(PP-448)のような中級版や、本番の日が決まっている場合は、指使いの確認やペダルのチェックだけでも先生に見てもらうと、仕上がりと安心感がまったく違います。学習者のブログでも、PP-448は先生の指導のもとで4か月半かけて仕上げていました。

Q. 電子ピアノでもカノンは練習できますか?

できます。カノンは音域が極端に広い曲ではないので、88鍵の電子ピアノであれば練習に困ることはほとんどありません。ペダルの踏みかえが大切な曲なので、サステインペダル(右ペダル)がついている環境で練習しましょう。本番が会場のグランドピアノの場合は、鍵盤の重さの違いに慣れるために、事前の試し弾きをおすすめします。

まとめ|カノンのピアノ難易度は楽譜選びで決まる

この記事では、パッヘルベルのカノンをピアノで弾くときの難易度と、練習期間の目安、楽譜の選び方、結婚式に向けた準備についてお伝えしました。

  • カノンのピアノでの難易度は?:編曲版によって入門〜上級。全音ピアノピース PP-448(後藤丹 編)はC(中級)ですが、実際には「中級をしっかり終えた人向け」と考えるのが安全です。エリーゼのためにと比べると、中級版のカノンのほうがやや難しいか同程度です
  • ピアノ初心者でも弾ける?何か月かかる?:ハ長調・短縮版・右手メロディ1本の入門〜初級アレンジなら、未経験からでも1〜3か月が目安。中級版は3〜4か月以上を見込みましょう
  • 結婚式で弾くなら?:実力の7割で弾ける確実な版を選び、本番の4か月前から逆算して準備。左手だけで最後まで弾ける状態がお守りになります

カノンは、原曲が弦楽合奏だからこそ、ピアノでは自分のレベルに合わせて「ちょうどいい1曲」を選べる曲です。カノンのピアノ難易度を正しく見極めて楽譜を選べば、大切な日に最後まで気持ちよく弾き切ることは十分にできます。この記事で紹介した早見表とスケジュールを参考に、まずは左手の2小節から始めてみてください。

【一次情報を追加:カノンに挑戦する読者への執筆者からのひとこと(励まし・自分の経験からのアドバイス)を1〜2文】

\大切な日のカノンを、確実に弾き切るために/

▶ こちらの記事もあわせてどうぞ:結婚式で人気のクラシック音楽|シーン別おすすめ名曲と選び方ガイド