ノクターン第1番 Op.9-1の難易度|2番との比較と連符の練習法

ノクターン第1番の難易度は、全音ピアノピースでE(上級)、ヘンレ社の9段階で6、PTNAピアノステップで発展4・発展5です。到達の目安はツェルニー30番の後半で、第2番より一歩難しい曲です。鍵になるのは指の速さではなく、22連符のような長い連符を左手に合わせる力です。

有名な第2番の隣にある、変ロ短調のノクターン。静かな哀しみから始まるこの曲に惹かれて楽譜を開いたものの、小節いっぱいに細かな音符が流れているのを見て、そっと閉じた方もいるのではないでしょうか。「1か月毎日練習すれば弾けますか」という質問がQ&Aサイトに投稿されているほど、自分に届く曲なのかを見極めにくい1曲です。

  • ノクターン第1番は第2番より難しい? 自分のレベルで届く?
  • ピアノ何年目で弾ける? 1か月で仕上がる?
  • 11連符や22連符は、どうやって左手と合わせる?

この記事は、第2番か遺作を弾いたことがある方、これから挑戦する曲を選んでいる方に向けて書きました。評価の横断比較、第2番との違い、進度チェック、小節ごとの難所、連符の割り振り方、練習ステップの順に解説します。全曲の比較はショパン ノクターン 難易度一覧、第2番はノクターン第2番の難易度をご覧ください。

※本記事は一部PRを含みます

目次

ノクターン第1番の難易度は全音E|7つの評価を横断比較

ノクターン第1番と第2番の難易度をヘンレ社、chopinist、chopin-shopping、ソマリカのピアノ練習記、edy musicの5つの評価で比較した図

ノクターン第1番の難易度は、出版社の等級では中級の上から上級、体感の評価では中級にまとまります。編集部で公開されている評価を集めて並べると、次のようになりました。

評価の出どころ 第1番 第2番 物差し
全音ピアノピース E(上級) D〜E(資料で割れる) A〜Fの6段階
ヘンレ社 6 6 1〜9の9段階
PTNAピアノステップ 発展4・発展5 発展1〜4 ステップの課題曲
chopinist 5 4 10段階の体感
chopin-shopping 6(21曲中14位) 5(21曲中20位) 10段階
ソマリカのピアノ練習記 5 5 10段階の体感
edy music ★2 ★1 5段階

第2番と同じ評価はあっても、第2番より易しいとする評価はありません。「第2番と同じか、一歩上」と考えると、どの評価とも矛盾しません。

なお、全音の第1番はピアノピース120番で、難易度Eに分類されています(島村楽器の全音ピアノピース一覧)。ヘンレとPTNA以外は個人や運営者による評価なので、目安として読んでください。

全音Eと星2つに割れる理由

ノクターン第1番の評価が「上級」と「やさしい部類」に割れるのは、見ている場所が違うからです。全音のEには幻想即興曲や月光も入っているので、第1番が同じくらい速く指を動かす曲に思えるかもしれません。しかし第1番は全体がゆっくりで、指が追いつかないという種類の難しさはほとんどありません。

一方で、ゆっくりだからこそ長い連符の粗が目立ちます。PTNAピアノ曲事典の演奏のヒントでも、音楽的にとても難しい曲とされています。「音を並べるだけならノクターンの中で易しい部類、聴かせるなら上級の入口」。これが編集部の読み解きです。

難しさは3種類に分けて考える

ノクターン第1番で求められる力は、次の3つです。自分がどれで止まりそうかを考えると、挑戦の時期が判断しやすくなります。

難しさの種類 中身 編集部の評価
指の技術 左手の広い分散和音、右手のオクターブ 中級
時間の感覚 右手の長い連符と左手の8分音符を合わせる 中級の上
音楽の組み立て 静かな曲を約5分半、飽きさせずに聴かせる 上級の入口

ノクターン第1番の基本情報

項目 内容
正式名称 ノクターン第1番 変ロ短調 作品9-1
拍子 4分の6拍子
速度記号 Larghetto(ラルゲット:ややゆっくり)
演奏時間 約5分30秒(PTNA)
小節数 85小節
形式 拡大された中間部を持つ三部形式
調 変ロ短調、中間部は変ニ長調
作曲 1830〜32年頃(資料により幅あり)
出版 1832年
献呈 マリー・プレイエル夫人

作品9は、ショパンのノクターンとして最初に出版された曲集です。つまり第1番は、世に出たショパンのノクターンの1曲目にあたります。出版された頃のショパンは20代に入ったばかりでした。

ノクターン第1番と第2番の比較|どちらが難しい?

ノクターン第1番と第2番の大変なところを、連符、長さ、調号、左手、装飾音、暗譜の6項目で比べた図

ノクターン第1番と第2番を比べると、総合では第1番のほうが一歩難しく、暗譜だけは第1番のほうが楽という結果になります。同じ作品9でも、難しさの種類が違います。

比較項目 第1番 Op.9-1 第2番 Op.9-2
調 変ロ短調(♭5つ) 変ホ長調(♭3つ)
拍子 4分の6拍子 8分の12拍子
演奏時間の目安 約5〜6分 約4〜5分
PTNAステップ 発展4・発展5 発展1〜4
主な難所 長い連符、中間部のバランス 左手の跳躍、装飾音
左手 音域の広い分散和音 低音から和音へ跳ぶ伴奏
暗譜 三部形式で整理しやすい 少しずつ変わる反復が落とし穴

実際に両方を弾いた人の記録も、この傾向と一致します。ある練習ブログでは、第2番はフレーズの繰り返しが多く、使う技術も多くないので第1番のほうが難しいと書かれています。別のピアノ再開ブログでは、難しさの差はほとんどないとしながら、暗譜まで含めると第1番のほうが弾きやすいと評価しています。

ソラ
ヘンレは同じ6なのに、第1番のほうが難しいの?
カイ
6は中級の幅の中の数字だから、同じ6でも性格はかなり違うよ。第1番は長くて連符が多いから、通して弾いたときの大変さが表に出にくいんだ。

編集部のおすすめは第2番の次

編集部としては、初めてのノクターンなら遺作か第2番、第1番はその次をおすすめします。第2番で左手の伴奏の上に旋律を乗せる感覚を身につけておくと、第1番では連符に集中できるからです。

第1番から弾いてもよい人

ただし、順番を守ることより好きな曲を弾くことのほうが大切な場合もあります。次の3つに当てはまる方は、第1番から始めても問題ありません。

  • 第2番の左手の跳躍より、第1番の分散和音のほうが手に合う
  • 短調の曲が好きで、第1番の冒頭に強く惹かれている
  • 第2番の繰り返しを覚えるのが苦手

ショパン研究サイトのchopinistでも、第1番は第2番、第20番と並んで、初めてノクターンを手がける人に向く曲として紹介されています。

ノクターン第1番は何年目で弾ける?進度チェック

ノクターン第1番に挑戦できる目安は、ツェルニー30番の後半まで進んだ頃です。第2番の目安がピアノ歴3〜5年とされているので、第1番はその少し先、大人の再開組ならブランクより「最近どの曲を弾いたか」で判断するのが確実です。次の表で確かめてみましょう。

チェック項目 できる?
ノクターン第2番か遺作を最後まで通した □
♭5つの楽譜を、指番号なしで読める □
左手の広い分散和音を、音をはずさずに弾ける □
3対2のような、左右で音の数が違うリズムが弾ける □
右手でオクターブの旋律を続けて弾いても手が痛くならない □
5分以上、集中を切らさず弾ける □

4つ以上にチェックが入れば挑戦の時期です。3つ以下でも、弾きたい気持ちが強いなら、第1部だけを目標にする方法があります。チェックに入れた3対2のように、左右で音の数が違うリズムをクロスリズムといいます。クロスリズムの経験がないまま始めると、冒頭の連符で止まってしまいがちです。

ノクターン第1番は1か月で弾ける?

ツェルニー30番の段階からだと、1か月で仕上げるのは難しいと考えましょう。ソマリカのピアノ練習記の10段階では、4が1か月、6が3か月である程度完成する目安で、第1番はその間の5です。ただしこの基準は、難曲にも取り組んでいる書き手の感覚です。編集部では、第2番を弾いた経験があり1日30分練習する場合で、約3〜4か月を見込んでいます。1か月で届くのは、全曲の譜読みまでと考えておくと焦らずに済みます。

手が小さい人の注意点

手の小さい方が気をつけたいのは、中間部の右手オクターブと冒頭からの左手の分散和音です。練習記録では、36〜37小節のオクターブの連続を難所に挙げている方もいますが、続けるうちに手が慣れたとも書かれています。痛みが出るまで広げるのは避け、指使いや音の省略は先生に相談しましょう。左手は、指だけで届かせようとせず、肘を左右に動かすと音がそろいやすくなります。

チェックが足りないときに先に弾く曲

ノクターン第1番の前後に弾くと良い曲を、ノクターン遺作、第2番、第1番、幻想即興曲の順に全音の等級で並べた図

チェックが足りない場合は、ヘンレ5のノクターン遺作か第2番を先に弾きましょう。遺作にも終盤に細かい連符があるので、第1番の良い準備になります。Q&Aサイトには、クロスリズムの練習としてショパンの遺作のエチュードをすすめる回答もありました。

第1番が弾けたら、同じ全音Eの幻想即興曲も視野に入ります。ただし幻想即興曲は速いクロスリズムが続くので、第1番より難しいという記録が多くあります。ショパンの他の曲と比べたい方はショパン難易度一覧もご覧ください。

▶憧れのノクターンを1曲ずつ仕上げるならマナビーノ

ノクターン第1番の難所マップ|小節ごとの課題

ノクターン第1番全85小節の構成と、連符、オクターブ、跳躍などの難所の位置を示した地図

ノクターン第1番の難所は、第1部と再現部の連符、中間部のオクターブ、終盤の和音に集まっています。全85小節を、課題と対策に分けて整理しました。小節番号は版によって前後することがあるので、楽譜と照らし合わせてください。

小節 課題 対策
冒頭の6音 弾き出しの歌い方 同じ音量、同じ長さに並べない
2〜3小節 11連符、22連符 左手の組に分けて合わせる
10〜11小節 連符、legatissimo 指のつながりを優先する
13小節 トリル 回数を決め、後ろをもたつかせない
14小節 7連符 骨組みの旋律を先に覚える
15〜16小節 フィンガー・ペダル 左手のFを押さえて響きをつなぐ
16〜17小節 跳躍 手の移動を先に練習する
19〜50小節 右手オクターブの旋律 力まず、音量を抑える
36〜37小節 オクターブの連続 黒鍵から白鍵への移動を確かめる
51〜66小節 5度の響きの上の和音 右手の和音の音をそろえる
72〜73小節 20連符 急がず、左手に収める
78〜79小節 跳躍 第1部と同じ手の形で準備する
83小節付近 accelerando、不協和音 急に弾かず、響きを聴く

練習記録の中には、72〜73小節の連符を「この曲の連符の中で最難関」と書いたものがありました。冒頭の22連符より後半のほうが、手も気持ちも疲れてきます。通し練習の最初に難所を弾くのではなく、後半から練習を始める日を作ると、この場所で崩れにくくなります。

ノクターン第1番の連符の練習法|22連符の合わせ方

ノクターン第1番の22連符の割り振り例。左手の8分音符12個を3つずつ4組に分け、右手22音を5・6・6・5で合わせる図

ノクターン第1番の連符は、計算して均等に割るのではなく、左手の拍に右手を収めるのが基本です。22連符は左手の8分音符12個に対して弾くので、1つあたりの音数は割り切れません。電卓で割り算をしたものの、不毛だったと笑って振り返っている解説記事もあるほどです。

ソラ
22連符なんて、どうやって数えればいいの?
カイ
数えなくていいんだ。左手を小さな組に分けて、組の頭で右手と待ち合わせをする。待ち合わせ場所が4つあれば、22個は急に怖くなくなるよ。

22連符を「5・6・6・5」に分ける

上の図は、左手12個を3つずつ4組に分け、右手22音を5・6・6・5音に割り振った例です。手順は次のとおりです。

  1. 左手だけを弾いて、3つずつの組を体に入れる
  2. 楽譜を見て、右手のどの音を各組の頭に合わせるかを決め、丸をつける
  3. 丸をつけた音だけを、左手の組の頭と同時に弾く
  4. 組ごとに、丸の間の音をゆっくり埋めていく
  5. 組の切れ目が聞こえなくなるまで、少しずつ流す

この割り振りは編集部の一例です。実際の音の並びを見て、4・6・6・6のように変えてかまいません。11連符でも考え方は同じで、左手の組を先に決めてから右手を入れます。完成したら丸の意識は消します。組の切れ目がリズムとして聞こえると、ショパンの連符らしい流れが失われてしまうからです。

連符は急がないが、止まらない

連符でよくある失敗は、速いパッセージだと思って弾き切ろうとしてしまうことです。PTNAの演奏のヒントでも、たっぷり時間を取って急がないこと、ただし止まらないことが挙げられています。最初をゆったり、中ほどを軽く、終わりをやや丁寧に弾くと、歌うような連符になります。

また3小節目では、速いパッセージの中でもスタッカートのある音とない音が書き分けられています。スラーとスタッカートが重なる音は、切りすぎない程度に軽く離しましょう。連符が弾けるようになったら、この細かな指示まで見直すと、演奏の品が一段上がります。

終盤の20連符は「遅くしてもよい」

72〜73小節の20連符は、速く弾くほど上手に聞こえるわけではありません。最後のほうに抑揚をつけ、少しテンポを落としても不自然にならないと解説している記事もあります。冒頭の連符より丁寧に弾くくらいの気持ちで、聴いている人に音を届けましょう。

左手の指使いを先に決める

連符が左右で合わない原因が、実は左手にあることも少なくありません。冒頭の左手は音域が広く、指使いが安定しないと右手の揺れに左手まで引っ張られます。chopinistでは一般的な運指として531213、書き手の手に合う運指として531214が紹介されています。2種類を試して弾きやすいほうを楽譜に書き込み、その後は変えないようにしましょう。

▶連符と歌い方をオンラインで見てもらう(オトノミチシルベ)

冒頭・中間部・コーダの弾き方|旋律を埋もれさせない

ノクターン第1番を「弾ける」から「聴かせられる」に変えるのは、連符以外の部分です。特に大切な3か所を順に見ていきます。

冒頭の6音で曲の印象が決まる

ノクターン第1番の冒頭、右手だけで弾く6つの8分音符は、この曲でいちばん短くて、いちばん大切な場所です。PTNAの演奏のヒントでは、6音を同じ音量、同じタイミングで並べないこと、次の小節の旋律の音へ弱めながらたどり着くことが述べられています。片手だから簡単と思わず、最初に声に出して歌ってから弾いてみてください。

中間部はオクターブの音量を抑える

19小節から始まる変ニ長調の中間部では、右手がオクターブで旋律を弾き続けます。PTNAの解説では、pppやsotto voce(声をひそめて)といった静かな指示と、オクターブの扱いにくさが同居しているため、高度なコントロールが必要だとされています。

オクターブの旋律は硬くなりやすいので、単音で歌うときの半分くらいの音量を基準にします。親指には力を入れず、4の指か5の指に重みをかけると上の音が響きます。ただし小さくしすぎるのも失敗のもとです。練習記録には、pp を意識しすぎて右手の出だしが左手に負けたという反省もありました。録音して、旋律が左手より前に聞こえるかを確かめましょう。

中間部のテンポは同じままにしない

中間部で眠くなる演奏になるか、夢のように聞こえるかの差は、テンポの動きにあります。冒頭のLarghettoのまま進むと単調になりやすく、PTNAの演奏のヒントでは、気持ちが落ち着く場所と高ぶる場所でテンポを動かす案が示されています。たとえば19〜20小節は落ち着き、36〜37小節は高ぶる場所です。

51小節からは伴奏が5度の響きに変わり、PTNAの解説ではバグパイプやフルート、ホルンを思わせる田園風の場面とされています。暗い部屋の窓を開けたように音色を変えると、曲の中に景色が生まれます。

最後はピカルディの3度で閉じる

曲の終わりでは、強い不協和音の下降を経て、変ロ長調の和音で静かに終わります。短調の曲を長調の和音で閉じるこの手法を「ピカルディの3度」といいます。最後の和音は急がず、響きが消えるまで聴きましょう。長い哀しみの最後に一瞬だけ光が差す場面で、この曲の余韻はここで決まります。

ノクターン第1番の練習ステップ|3〜4か月の計画

ノクターン第1番の練習5ステップ。左手だけ、右手の骨組み、連符の割り振り、中間部、通して録音の順に進める図

ノクターン第1番の練習は、左手から始めて、連符にいちばん長い時間を割くのがおすすめです。1日30分を想定した編集部の目安で、第2番か遺作を弾いた経験がある方に向けた計画です。

ステップ 期間 やること 次へ進む合図
1 1〜3週目 左手だけで全曲を読む 楽譜を見ながら止まらず弾ける
2 3〜5週目 連符を抜いた右手の旋律を歌う 声に出して歌える
3 5〜9週目 連符を割り振り、左手と合わせる 2〜3小節が遅いテンポで止まらない
4 9〜12週目 中間部のバランスとテンポを整える 録音で旋律が前に聞こえる
5 13週目〜 全曲を通し、録音で確かめる 通しても後半が崩れない

ステップ3で止まる方が多いはずですが、それは順調な証拠です。この曲でいちばん時間がかかる場所なので、2週間で流れなくても焦らないでください。

ペダルは濁りを耳で確かめる

ペダルは和音が変わるところで踏み替えるのが基本です。15〜16小節では左手の4〜6拍目のFを指で押さえたままにして、踏み替えても響きがつながるように書かれています。ペダルだけに頼らず、指で音を残す練習もしましょう。楽譜の指示どおりでも濁って聞こえる場所は、踏む深さや長さを耳で調整します。

録音を聴き比べて理想を決める

ノクターン第1番は、演奏によって時間の使い方が大きく変わる曲です。PTNAピアノ曲事典に掲載された動画だけでも、4分43秒から6分19秒まで幅があります。1分半以上の差があるので、速い演奏と遅い演奏を聴き比べると、自分が目指す連符の流れが見えてきます。

ピアニストではルービンシュタインのほか、chopinistでは山本貴志、ティボーデ、清塚信也、ビレットの音源が紹介されています。ノクターン全集の定番としてはアシュケナージ、ピリスの録音も挙げられています。

独学で直せること、見てもらいたいこと

ノクターン第1番は、連符の揺れ方のように言葉で説明しにくい課題が多い曲です。独学の限界を感じやすい場所を整理しました。

課題 独学で進めやすい 先生に見てもらいたい
譜読み、指使い ○
左手の音をそろえる ○
連符が左手と合わない ○(組分けで改善)
連符の揺れが機械的に聞こえる ○
オクターブの力み、手の痛み ○
中間部が単調に聞こえる ○

録音を聴いて「何か違う」と感じながら原因がわからないときは、一度だけでも先生に聴いてもらうと近道です。独学で続けるか迷ったらピアノ独学の限界はどこ?も参考にしてください。

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ノクターン第1番のよくある質問

ノクターン第1番について、検索や質問サイトでよく見かける疑問に答えます。

初心者でも弾ける?

ノクターン第1番の原曲は、ピアノを始めたばかりの方には難しい曲です。全音ピアノピースの難易度はE(上級)で、目安はツェルニー30番の後半です。♭5つの譜読み、左手の広い分散和音、右手の長い連符が重なるので、最初の1曲にはおすすめしません。

原曲を目指すなら、ヘンレ5の第20番や第21番、次に第2番、そのあとに第1番という順番が無理のない道筋です。今すぐ第1番の雰囲気を味わいたい方には編曲版もあります。PTNAピアノ曲事典の楽譜一覧には「ピアノ クラシック カフェ4 ピアノの詩人ショパン名曲集」(初級)や「黒鍵が少ない!ピアノはじめました ショパン」が載っています。編曲の難しさは楽譜によって違うので、購入前に中身を確かめましょう。

全21曲の中では、どのくらいの難しさ?

ノクターン第1番は、全21曲の中では真ん中あたりの難しさです。第2番と同じか少し上で、第3番や第13番ほどの難曲ではない、という位置づけになります。区分の分け方が異なる3つの評価を並べると、次のようになりました。

評価の出どころ 第1番 第2番 区分の分け方
ヘンレ社 6 6 全21曲は5〜7に分布
ピアノクエスト 中級 初級 初級〜最難関の4区分
Q&Aサイトの全曲経験者の回答 中庸(上から2番目) 比較的易しい(上から3番目) 個人の見解による4区分

どの評価でも、第1番が第2番より易しいとはされていません。全曲の難易度を見比べたい方はショパン ノクターン 難易度一覧をご覧ください。

第8番とどちらが難しい?

第8番のほうが難しいとする評価が多いものの、差の大きさは評価によって異なります。ヘンレはどちらも6ですが、chopinistは第1番が5で第8番が8、ピアノクエストは第1番が中級で第8番が上級です。一方、Q&Aサイトの全曲経験者の回答では、2曲は同じ区分に入っていました。

難しさの種類も違います。第1番の壁は、長い連符を左手に合わせる時間の感覚です。第8番では、内声の動きを響かせながらペダルで音色を変えていく繊細さが問われます。詳しくはノクターン第8番の難易度をご覧ください。

♭が多いけれど、譜読みは難しい?

ノクターン第1番の譜読みは、見た目ほど難しくありません。変ロ短調の主部と変ニ長調の中間部は同じ♭5つの調号なので、中間部に入っても調号を読み替える必要がないからです。

時間がかかるのは、連符の臨時記号と、24小節目で一瞬ニ長調に転じる場所です。最初に楽譜全体を見渡して、弾けそうにないと感じた場所に印をつけておきましょう。難しい場所が見えていれば、練習の順番を決めやすくなります。

22連符は音を減らしてもいい?

ノクターン第1番の22連符は、音を減らさずに弾くのが基本です。連符の音の並びそのものが旋律なので、音を抜くと線の形が変わってしまいます。先に試したいのは、テンポを落とし、左手を組に分けて右手と合わせる方法です。この連符はもともと急いで弾く場所ではないので、ゆっくり弾いても不自然にはなりません。

それでも手が回らないときは、自己判断で削らず、先生に相談しましょう。組の作り方は、この記事の「22連符を『5・6・6・5』に分ける」で解説しています。

左手がうるさく聞こえるときは?

左手がうるさく聞こえるときは、分散和音の全部の音を同じ強さで鳴らしていないか確かめましょう。各分散和音の最初の音をわずかに深く弾き、残りを軽く流すと、響きがすっきりします。

左手は基本的に控えめに弾きますが、右手と同時に鳴る音を少しだけ意識すると、旋律の表情が変わります。反対に、中間部後半のように左手が目立つ場所では、音の粒をそろえることを優先してください。

中間部は楽譜どおりのゆっくりしたテンポで弾くべき?

ノクターン第1番の中間部は、冒頭と同じテンポのまま弾かなくてもかまいません。PTNAの演奏のヒントでは、中間部にcon moto(動きをつけて)の指示があってもよいという考えが示されています。遅く弾きすぎると、単調に聞こえやすいためです。

目安は、主部より少し流れを感じる速さです。19〜20小節のように落ち着く場所は緩め、36〜37小節のように高ぶる場所は前へ進めると、中間部に起伏が生まれます。テンポの動かし方は解釈の問題なので、録音を聴き比べながら決めましょう。

最後の和音が濁って聞こえるのは間違い?

楽譜どおりに弾いて濁って聞こえるなら、弾き間違いではありません。ノクターン第1番の最後の4小節には、シ♭・ド♭・ラがぶつかる強い不協和音が書かれています。PTNAの解説でも、感情が突然あふれ出すような場面として説明されています。

編集部としては、濁りを隠そうとして音を弱めすぎるより、はっきり響かせることをおすすめします。そのほうが最後の変ロ長調の和音が際立つからです。その和音の直前にもソ♭の音があり、最後まで完全には晴れません。この揺らぎを味わいながら、静かに閉じましょう。

強弱やペダルの指示はすべて守るべき?

譜読みの段階では、楽譜の指示を守って弾きましょう。ノクターン第1番は強弱や表情の指示が細かく、ショパンの意図を知る手がかりになるからです。その上で、曲全体が弾けるようになったら、響きを聴いて調整してかまいません。

たとえばPTNAの演奏のヒントでは、11小節目の2オクターブ上のFは大きくしすぎず、そこから下りる音階に音量を与える案が紹介されています。ペダルも、指示どおりに踏んで濁るなら、踏み方を変えてよい場所です。ただし15〜16小節のように指で音を残す指示もあるので、指示の意味を確かめてから変えましょう。

発表会に向いている?

ノクターン第1番は、静かな曲をじっくり聴かせたい発表会に向いています。PTNAピアノステップの課題曲にもなっており、人前で弾く曲としての実績もあります。華やかに盛り上げて終わる曲ではなく、弱い和音の余韻で閉じる曲を選びたい方に合うでしょう。選ぶ前に、次の3点を確かめてください。

  • 持ち時間:演奏時間の目安は約5分半です。PTNAの動画でも4分43秒から6分19秒まで幅があるので、自分のテンポで計っておきましょう。
  • 準備期間:練習計画の3〜4か月に、暗譜と人前で通す時間を足して逆算します。
  • 崩れやすい場所:緊張すると連符が走りやすく、終盤は気が緩むと和音が乱れがちです。録音で確かめましょう。

楽譜はどれを選べばいい?

ノクターン第1番の楽譜は、目的で選ぶのが近道です。1曲だけなら全音ピアノピース120番がもっとも手軽です。主な選択肢は次のとおりです。

楽譜 向いている人
全音ピアノピース120番 第1番だけを弾きたい
全音 ショパン ノクターン集 第2番など他のノクターンも弾きたい
エキエル版(ナショナル・エディション) ショパンの資料に基づく原典版で読みたい
ウィーン原典版 ノクターン集 原典版を国内の出版社で探したい
IMSLP 購入前に無料で楽譜を確かめたい

エキエル版は生前出版作と遺作で分かれているので、第1番を弾くなら生前出版作の巻を選びます。IMSLPにはパブリックドメインの古い版が掲載されています。

まとめ|ノクターン第1番の難易度は連符の処理で決まる

最初の疑問に答えます。

  • 第2番より難しい? 全音E、ヘンレ6、PTNA発展4・5で、第2番と同じか一歩上です。ただし暗譜は第1番のほうが楽という声もあります。
  • 何年目で弾ける? ツェルニー30番の後半が目安です。第2番の経験があり1日30分練習するなら、3〜4か月を見込みましょう。
  • 連符はどう合わせる? 計算せず、左手を組に分けて、組の頭で右手と合わせます。

ノクターン第1番の難易度は、数字よりも「連符をどう歌うか」にあります。まず今日は、左手だけで冒頭の2小節を弾き、3つずつの組を体に入れてみてください。次に挑戦する曲を比べたい方はショパン ノクターン 難易度一覧、自分のレベルを確かめたい方はピアノは何年で弾ける?もご覧ください。