【弾けたらかっこいいピアノ曲】難易度別・ジャンル別に33曲を厳選紹介!

「ピアノで弾けたらかっこいい曲」を探しているとき、頭の中にあるのは楽譜ではなく、たぶん人の顔ではないでしょうか。家族の集まりで1曲弾いたときの「えっ、弾けるの?」という表情、発表会のあとに声をかけてくれる友人、スマホで撮った動画を見返したときの自分自身。「かっこいい曲を弾きたい」という気持ちの正体は、「誰かに聴かせて、ちゃんと伝わる1曲を持ちたい」という気持ちだと思います。

ところが検索すると、超絶技巧のクラシックばかりの記事と、J-POPの曲名を並べただけの記事に分かれていて、「自分のレベルで、人前で映える曲はどれ?」という一番知りたいことがわかりにくいのが実情です。

  • ピアノを始めて1年前後でも「かっこいい」と言ってもらえる曲はある?
  • J-POP・ジブリ・アニメ・ボカロ・クラシック、ジャンル別のおすすめは?
  • 中級・上級で「次に挑む1曲」を選ぶなら、どれが一番聴き映えする?

この記事では、弾けたらかっこいいピアノ曲を難易度別・ジャンル別に33曲厳選し、1曲ずつ「なぜかっこよく聴こえるのか」「どこでつまずくのか」「どんな楽譜を選べばいいか」まで解説します。前提として、難易度の★は「原曲どおりの楽譜」ではなく「人前で聴かせられる仕上がりにするまでの大変さ」で付けています。これからピアノを始める方から、次の発表会の曲を探している中級者の方まで、自分のレベルの章から読んでみてください。


目次

弾けたらかっこいいピアノ曲の選び方|難易度より「聴き映え」で選ぶ3つの条件

弾けたらかっこいいピアノ曲33曲を難易度と聴き映えの2軸で配置したマトリックス図

弾けたらかっこいいピアノ曲を選ぶときの結論は、難しい曲ではなく「聴き映えする曲」を、自分のレベルの少し上から選ぶことです。難しい曲を途中で止まりながら弾くより、簡単な曲を最後まで堂々と弾き切った方が、聴いている人には何倍もかっこよく届きます。この章では、33曲を選んだ基準と、レベルの見きわめ方をまとめます。

「かっこいい」と感じる曲の3つの共通点

聴いている人が「かっこいい」と感じるピアノ曲には、共通点が3つあります。この記事の33曲は、すべて次の3つのうち2つ以上を満たす曲から選びました。

  1. 冒頭の数秒で曲がわかる:「エリーゼのために」や「千本桜」のように、最初のフレーズで聴き手の心をつかめる曲です。知っている曲は、聴き手が勝手に盛り上がってくれます。
  2. 聴かせどころがはっきりしている:速いパッセージ(細かい音の連なり)、低音の迫力、静寂からの盛り上がりなど、「ここが山場」と伝わる瞬間がある曲です。
  3. 手の動きが派手に見える:「ラ・カンパネラ」の跳躍や「革命のエチュード」の左手のように、見ているだけで難しそうに感じる曲は、音以上にかっこよく映ります。

逆に、難しくてもかっこよく聴こえにくい曲もあります。たとえばバッハのインベンションは練習曲として最高ですが、人前で弾いて「かっこいい!」と言われることは少ないでしょう。難しさと聴き映えは別のものだと知っておくだけで、選曲の失敗はかなり減ります。

難易度★の見方と「自分のレベル」のざっくり判定

この記事では難易度を★1〜★5で表しています。目安は次の表のとおりです。上の図(難易度×聴き映えのマトリックス)とあわせて、「自分は今どの列にいるか」を確認してから曲を選んでください。

難易度 目安となる経験 目安の教本・グレード この記事の該当章
★1〜★2 始めて3ヶ月〜1年半。両手で簡単な曲が弾ける バイエル後半〜ブルグミュラー25/全音A〜C 初心者・簡単編、ジブリ編の一部
★3 経験2〜5年、または子どもの頃に数年習った再開組 ソナチネ〜ソナタ入門/全音C〜D J-POP編、アニメ編、ボカロ編、クラシック中級編
★4 経験5〜10年。ショパンのワルツやノクターンを弾いたことがある ソナタアルバム〜ショパン入門/全音D〜E クラシック上級編の前半、ボカロ編の一部
★5 経験10年以上、音大受験レベル ショパンのエチュード・リストの練習曲/全音E〜F クラシック上級編の後半

※J-POPやアニメ曲は、同じ曲でも「初級アレンジ」「中級アレンジ」「上級アレンジ」と複数の楽譜が出ています。この記事の★は、原曲の雰囲気が伝わる中級アレンジ以上の楽譜を想定しています。初級アレンジを選べば、ほとんどの曲が★2以下まで下がります。

ソラ
自分のレベルより少し上の曲を選べって言うけど、「少し上」ってどのくらい?
カイ
「楽譜を見て、ゆっくりなら今日中に最初の8小節が両手で弾ける」くらいが目安だよ。それができない曲は、まず一段やさしいアレンジから入った方が、結果的に早く人前で弾けるようになるんだ。


弾けたらかっこいいピアノ曲【初心者・簡単編】5選|始めて1年以内でも人前で弾ける

初心者でも弾けたらかっこいいピアノ曲5選(エリーゼのために・カノン・ジムノペディ・戦場のメリークリスマス・ノクターン第2番)の難易度一覧

ピアノ初心者でも弾けたらかっこいいピアノ曲は、「音数が少なくても雰囲気で勝てる曲」を選ぶのがポイントです。ここでは、ピアノを始めて3ヶ月〜1年半ほどの方が、原曲に近い楽譜で人前に出せる5曲を選びました。どの曲も「ゆっくり・丁寧に・最後まで止まらずに」弾くだけで、聴いている人には十分かっこよく届きます。

エリーゼのために|ベートーヴェン(★2・約3分)

ベートーヴェンの「エリーゼのために」は、世界で一番「弾けたら一目置かれる入門曲」です。1810年頃に書かれた小品で、冒頭の「ミ・レ♯・ミ・レ♯・ミ」を聴けば誰でもこの曲だとわかります。知名度がそのまま聴き映えになる、初心者にとって一番お得な曲といえるでしょう。

♪ ピアノ演奏を聴いてみよう(YouTube:CANACANA family)

技術的には、冒頭の有名な部分は右手の単音と左手の分散和音(和音の音を1つずつ順番に弾く弾き方)だけで、始めて半年ほどでも手が届きます。難しいのは中間部の2つのエピソードで、特に後半の左手の連打と右手の半音階(隣り合う鍵盤を順番に弾く音階)はテンポが乱れやすい箇所です。最初は冒頭部分だけを完璧に仕上げて人前で弾き、中間部はあとから足すという2段構えが、挫折しない進め方です。

「エリーゼのために」をどのくらいの期間で仕上げられるか、レベル別の練習法はエリーゼのためにの難易度と練習法の記事で詳しく解説しています。

カノン(ピアノアレンジ)|パッヘルベル(★2・約4分)

パッヘルベルの「カノン」は、初心者でも「華やかに聴こえる」数少ない曲です。17世紀のバロック時代に書かれた曲で、原曲は3本のヴァイオリンと通奏低音のための合奏曲ですが、ピアノ独奏用のアレンジ譜が数多く出版されています。結婚式の定番として誰もが知っているため、冒頭の低音の8つの音「レ・ラ・シ・ファ♯・ソ・レ・ソ・ラ」だけで聴き手の空気が変わります。

♪ ピアノ演奏を聴いてみよう(YouTube:CANACANA family)

カノンの魅力は、同じ8つの低音(コード進行)が最初から最後まで繰り返される構造にあります。左手は一度覚えれば終わりなので、右手の変奏が少しずつ細かくなっていく部分に集中できます。初級アレンジなら右手が4分音符や8分音符中心で★1に近く、原曲に近いアレンジになると16分音符の変奏が続いて★3まで上がります。自分の手が追いつくところまでの変奏で終わる「短縮版」を作るのも、人前で弾くときの立派な作戦です。

結婚式やお祝いの席で弾くなら、結婚式で人気のクラシック音楽をシーン別にまとめた記事も参考にしてください。

ジムノペディ第1番|サティ(★2・約3分)

エリック・サティの「ジムノペディ第1番」は、音数が少ないのに「大人っぽい」と言われる曲です。1888年に作曲され、ゆったりとした3拍子の上に、ぼんやりと浮かぶようなメロディが流れます。カフェのBGMや映画、CMで耳にした方も多いのではないでしょうか。

♪ ピアノ演奏を聴いてみよう(YouTube:ピティナ ピアノチャンネル(演奏:中川京子))

譜面はとてもシンプルで、左手は「低音1つ+和音1つ」の繰り返し、右手はほぼ単音のメロディです。ただし、簡単な分だけ「音の美しさ」がそのまま出てしまうのがジムノペディの怖いところです。鍵盤をたたくように弾くと一気に安っぽくなるので、指をゆっくり沈めるように弾くこと、ペダルを1拍目で踏み替えて響きをにごらせないことを意識してみてください。この2つができると、始めて半年の方の演奏でも「雰囲気がある」と言われる曲です。

戦場のメリークリスマス|坂本龍一(★2〜★3・約4分半)

坂本龍一の「戦場のメリークリスマス(Merry Christmas Mr. Lawrence)」は、J-POPでもクラシックでもない「大人のかっこよさ」を出せる1曲です。1983年の同名映画のテーマ曲として書かれ、冬が近づくと街のあちこちで流れる、日本でもっとも有名なピアノ曲の1つといえるでしょう。

♪ ピアノ演奏を聴いてみよう(YouTube:Ryuichi Sakamoto 公式)

左手は4つの音を繰り返す伴奏が中心で、音の数だけ見れば初心者向けの曲です。ところが、音数が少ないからこそ、1音ごとのタッチと「間(ま)」の取り方で印象が決まるという難しさがあります。右手のメロディをよく歌わせ、左手の伴奏を小さく保ち、フレーズの終わりで急がずに呼吸をすること。この3つを意識して弾くと、冬の集まりで一番空気を変えられる曲になります。

初心者向けのアレンジから坂本龍一公式の楽譜まで、どの楽譜を選べばいいかは戦場のメリークリスマスのピアノ難易度と楽譜比較の記事にまとめています。

ノクターン第2番 Op.9-2|ショパン(★3・約4分半)

ショパンの「ノクターン第2番 変ホ長調」は、「初心者が最初に弾くショパン」の定番にして、聴き映えの最高峰です。1830〜31年、ショパンが20歳前後で書いた夜想曲(夜の雰囲気を描いた小品)で、ゆったりした左手の伴奏の上に、歌うようなメロディが流れます。

♪ ピアノ演奏を聴いてみよう(YouTube:辻井伸行 公式)

技術的には、左手の伴奏が「低音+和音」の形で動き続けるため、始めて1年ほどの方には少し早いかもしれません。ただし、テンポがゆっくりで、同じメロディが装飾を変えながら3回繰り返される構成なので、1回目のメロディを覚えれば曲の半分は覚えたことになります。装飾音(メロディを飾る細かい音)は最初は省いて弾き、仕上がってきたら1つずつ足していく進め方がおすすめです。初心者編の中では一番時間がかかりますが、弾けたときの達成感は、この章の中でもっとも大きい曲です。

ノクターン全21曲のなかで初心者が弾けるのはどれかは、ショパンのノクターン難易度一覧の記事で比較しています。


弾けたらかっこいいピアノ曲【J-POP・ポップス編】6選|弾けるだけで盛り上がる人気曲

弾けたらかっこいいJ-POPのピアノ曲6選(ライラック・夜に駆ける・アイドル・唱・Bling-Bang-Bang-Born・情熱大陸)の難易度一覧

J-POPで弾けたらかっこいいピアノ曲は、「速いリズムをどこまで正確に刻めるか」がかっこよさの分かれ目です。クラシックと違って、聴き手の多くが原曲を歌えるくらい知っているので、少しでもテンポがもたつくと伝わってしまいます。逆に、サビをノリよく弾き切れたときの盛り上がりは、クラシックの名曲にも負けません。ここでは2020年代のヒット曲を中心に6曲を選びました。

ライラック|Mrs. GREEN APPLE(★3)

Mrs. GREEN APPLEの「ライラック」は、2024年にアニメ「忘却バッテリー」のオープニングとして発表され、同年の音楽チャートを席巻した1曲です。疾走感のあるバンドサウンドと、前向きなメロディが特徴で、ピアノソロにしてもその爽やかさがそのまま残ります。

♪ ピアノ演奏を聴いてみよう(YouTube:まらしぃ(marasy8))

ピアノで弾く場合は、イントロの軽快なリフ(繰り返されるフレーズ)と、サビの「ラ〜イラック」の部分で左手がしっかり動けるかがポイントです。中級アレンジでは左手がベース+和音の形で跳ねるため、左手だけでメトロノームに合わせて弾けるようになってから両手を合わせると、仕上がりが早くなります。学校や職場など、若い聴き手が多い場面で一番ウケる曲です。

夜に駆ける|YOASOBI(★3〜★4)

YOASOBIの「夜に駆ける」は、2019年に発表されたデビュー曲で、ピアノの印象的なイントロから始まるため「弾いてみた」動画でもっとも多く演奏されてきた曲の1つです。原曲そのものがピアノ主体で作られているので、ピアノソロにしてもほとんど違和感がありません。

♪ ピアノ演奏を聴いてみよう(YouTube:まらしぃ(marasy8))

難しさの正体はテンポです。BPM(1分間の拍数)130前後の速さで、右手に16分音符のメロディ、左手にシンコペーション(拍をずらしたリズム)の伴奏が入るため、中級アレンジでも★3〜★4に相当します。ただ、イントロのピアノリフは比較的やさしいので、「イントロだけなら弾ける」という状態を最初に作ると、練習のモチベーションが続きます。弾けたときの爽快感は、J-POP編のなかで一番でしょう。

アイドル|YOASOBI(★4)

YOASOBIの「アイドル」は、2023年にアニメ「【推しの子】」のオープニングとして発表され、Billboard Global Excl. U.S.チャートで日本語の曲として初めて1位を獲得した曲です。転調(曲の途中で調が変わること)とテンポチェンジが多く、ピアノで弾くと「見せ場」の連続になります。

♪ ピアノ演奏を聴いてみよう(YouTube:Animenz Piano Sheets)

ピアノアレンジでは、ラップ調のパートをどう表現するかが分かれ目です。多くの中級アレンジでは、ラップ部分を左手のリズムで刻みながら右手で和音を入れる形になっており、ここが一番の難所です。サビの明るいメロディは比較的弾きやすいので、「サビから練習して、ラップ部分はあとから追加する」順番がおすすめです。曲の二面性(明るさと影)を音量の差で表現できると、聴き手に「上手い」と言われる演奏になります。

唱(Show)|Ado(★4)

Adoの「唱」は、2023年にユニバーサル・スタジオ・ジャパンのハロウィーン・イベントのテーマソングとして発表され、ダンス動画とともに世界的に広がった曲です。低音の重いビートと、サビで一気に開けるメロディが特徴で、ピアノで弾くと「迫力系」のかっこよさが出せます。

♪ ピアノ演奏を聴いてみよう(YouTube:よみぃ Piano Yomii)

ピアノで弾く難しさは、音域の広さとリズムの複雑さにあります。低音でビートを刻みながら高音でメロディを弾くため、左手の跳躍が多くなり、上級アレンジでは★4〜★5まで上がります。サビの前の「静かになる部分」でしっかり音量を落とすと、サビの爆発力が何倍にも感じられます。ノリの良さが勝負の曲なので、録音して自分のリズムの「もたり」を確認しながら練習するのが近道です。

Bling-Bang-Bang-Born|Creepy Nuts(★3〜★4)

Creepy Nutsの「Bling-Bang-Bang-Born」は、2024年にアニメ「マッシュル-MASHLE-」第2期のオープニングとして発表され、「BBBBダンス」とともに世界中で流行した曲です。ヒップホップのビートをピアノで表現するという、クラシック育ちの方にとっては新鮮な挑戦になります。

♪ ピアノ演奏を聴いてみよう(YouTube:よみぃ Piano Yomii)

ピアノアレンジのポイントは、左手で刻むベースラインの「ノリ」です。音の数は多くありませんが、裏拍(1拍の後半)にアクセントを置くリズムに慣れていないと、どうしてもクラシック風の四角いリズムになってしまいます。メトロノームを鳴らしながら、左手だけで体を揺らして弾けるようになるまで練習すると、聴き手が思わず体を動かす演奏になります。「ピアノでこの曲?」という驚きが、そのままかっこよさになる1曲です。

情熱大陸|葉加瀬太郎(★3〜★4)

葉加瀬太郎の「情熱大陸」は、1998年に始まった同名のドキュメンタリー番組のテーマ曲で、ラテンのリズムに乗った情熱的なメロディが特徴です。原曲はヴァイオリンですが、ピアノソロのアレンジも多く出版されており、発表会やイベントでの人気曲として定着しています。

♪ ピアノ演奏を聴いてみよう(YouTube:CANACANA family)

ピアノで弾くと、左手の「ンタ・タンタ」というラテン系のリズムパターンがかっこよさの中心になります。右手のメロディは覚えやすいのですが、左手がリズムを刻み続けながら右手が16分音符で動く部分で手が追いつかなくなりがちです。初級アレンジなら★2程度に収まる一方、原曲の速さで弾くアレンジは★4に届きます。「ピアノ簡単な曲」の記事でも紹介した曲ですが、こちらの記事では原曲のテンポで弾き切る中級アレンジ以上を目標にしています。


弾けたらかっこいいピアノ曲【ジブリ・映画音楽編】5選|久石譲の名曲は世代を超えて伝わる

弾けたらかっこいいジブリ・映画音楽のピアノ曲5選(人生のメリーゴーランド・Summer・もののけ姫・君をのせて・いつも何度でも)の難易度一覧

ジブリ・映画音楽で弾けたらかっこいいピアノ曲は、聴き手の年齢を問わず伝わるのが最大の強みです。J-POPは聴き手の世代で反応が変わりますが、久石譲のジブリ音楽は、子どもから祖父母の世代まで同じように知っています。家族の集まりで弾くなら、この章の5曲がもっとも「外さない」選曲です。

人生のメリーゴーランド|久石譲(ハウルの動く城・★3〜★4)

久石譲の「人生のメリーゴーランド」は、2004年公開の「ハウルの動く城」のメインテーマで、ゆったりとした3拍子のワルツです。切なさと華やかさが同時にある曲で、ジブリ曲のなかでも「大人が弾いてかっこいい曲」の代表格といえるでしょう。

♪ ピアノ演奏を聴いてみよう(YouTube:久石譲 公式(Piano Solo Version))

ピアノで弾くときの魅力は、同じメロディが調(キー)を変えながら何度も繰り返され、少しずつ盛り上がっていく構成にあります。最初はやさしく、最後は堂々とという音量の設計ができると、聴き手を物語に引き込めます。難しいのは中間部の転調と、クライマックスで左手が大きく跳躍する部分です。久石譲自身によるピアノソロの公式楽譜は★4に相当しますが、中級アレンジなら★3で原曲の雰囲気を十分に出せます。

Summer|久石譲(菊次郎の夏・★3)

久石譲の「Summer」は、1999年公開の北野武監督作品「菊次郎の夏」のテーマ曲で、ピアノの弾むようなイントロが夏の空気そのものです。ジブリ作品の曲ではありませんが、久石譲のピアノ曲としては「人生のメリーゴーランド」と並ぶ人気があります。CMやテレビ番組でも使われ続けているので、聴き手の反応は保証されています。

♪ ピアノ演奏を聴いてみよう(YouTube:CANACANA family)

弾くときのポイントは、イントロの右手のスタッカート(音を短く切る弾き方)を、硬くならずに軽やかに弾くことです。音を「置く」のではなく「はじく」イメージで弾くと、曲の明るさが出ます。中間部は左手の伴奏が細かくなり、ここで速度を落とさずに弾けるかどうかが★3の壁です。暗い曲が多い「かっこいい曲」のなかで、明るい雰囲気で勝負できる貴重な1曲です。

もののけ姫|久石譲(★3)

久石譲の「もののけ姫」は、1997年公開の同名作品のテーマ曲で、米良美一さんの歌声で知られています。静かで神秘的なメロディが、ピアノソロにすると一段と荘厳に響く曲で、クラシックが好きな聴き手にも刺さります。

♪ ピアノ演奏を聴いてみよう(YouTube:Dさん【ピアノ楽譜】)

歌の曲なので、メロディ自体はゆったりしていて覚えやすいです。難しいのは、音数が少ない分、1音ずつの響きが丸裸になる点にあります。ジムノペディと同じく、鍵盤を深くゆっくり沈める弾き方と、ペダルで響きをつなぐ技術が求められます。サビの「はりつめた弓の」の部分で、左手のオクターブ(同じ音名の8度離れた2音)をしっかり鳴らせると、曲が一気に大きく聴こえます。

君をのせて|久石譲(天空の城ラピュタ・★2〜★3)

久石譲の「君をのせて」は、1986年公開の「天空の城ラピュタ」のエンディングテーマで、ジブリ曲のなかでもっとも多くの人が歌える曲の1つです。合唱曲としても親しまれているため、聴き手が一緒に口ずさんでくれることもあります。

♪ ピアノ演奏を聴いてみよう(YouTube:ピアノの本棚(中級アレンジ))

ピアノで弾く場合、初級アレンジなら始めて半年ほどの方でも手が届く、この章で一番やさしい曲です。ただし、サビの「さあ出かけよう」の部分で、左手の伴奏をアルペジオ(和音の音を1つずつ順番に弾く弾き方)に広げられるかで、聴き映えが大きく変わります。簡単なアレンジで始めて、慣れてきたら左手を豪華にしていく「育てられる曲」として、ピアノ再開組の方にもおすすめです。

いつも何度でも|木村弓(千と千尋の神隠し・★2〜★3)

木村弓さんの「いつも何度でも」は、2001年公開の「千と千尋の神隠し」のエンディングテーマで、ライアー(竪琴)の伴奏に乗せた素朴な歌が原曲です。久石譲の曲ではありませんが、ジブリの曲として誰もが知っているので、この章に入れました。

♪ ピアノ演奏を聴いてみよう(YouTube:CANACANA family)

ピアノで弾くときは、原曲の竪琴の響きをイメージして、左手のアルペジオをなるべく均一な音量で、ふわっと弾くことが大切です。メロディは音域が狭く覚えやすいので、始めて1年以内の方でも原曲に近いアレンジで弾けます。派手さはありませんが、「静かな曲を最後まで丁寧に弾き切る」ことができると、聴き手の記憶に一番残るタイプの曲です。


弾けたらかっこいいピアノ曲【ディズニー・アニメ編】4選|イントロで会場をつかむ曲

弾けたらかっこいいディズニー・アニメのピアノ曲4選(Let It Go・美女と野獣・残酷な天使のテーゼ・紅蓮華)の難易度一覧

ディズニー・アニメの弾けたらかっこいいピアノ曲は、イントロの数秒で「あの曲だ!」と伝わるのが強みです。アニメの曲は特に、イントロが短くてインパクトのあるものが多いため、人前で弾いたときの反応がはっきり出ます。ここでは、ピアノソロにしても原曲の迫力が残る4曲を選びました。

Let It Go|アナと雪の女王(★3)

「Let It Go」は、2013年公開の「アナと雪の女王」でエルサが歌う劇中歌で、日本語版「レット・イット・ゴー〜ありのままで〜」とともに世代を超えて知られています。静かなピアノのイントロから、サビで一気に解放される構成は、まさに「ピアノで弾くために作られた」ようなドラマ性です。

♪ ピアノ演奏を聴いてみよう(YouTube:Leiki Ueda)

ピアノで弾くと、イントロの右手の分散和音はやさしく、サビは左手がオクターブで動くため少し難しくなります。Aメロはできるだけ小さく、サビの「Let it go」で初めて大きく弾くという音量の落差を作れると、聴き手が鳥肌を立てる演奏になります。子どもがいる集まりでは、一緒に歌が始まる曲でもあります。

美女と野獣|Beauty and the Beast(★3)

「美女と野獣(Beauty and the Beast)」は、1991年公開のディズニー作品の主題歌で、アラン・メンケンの作曲によるバラードです。ゆったりとした3拍子と、少しずつ音域が広がっていくメロディが特徴で、ピアノソロにすると結婚式でも使える上品さがあります。

♪ ピアノ演奏を聴いてみよう(YouTube:Yui Morishita)

技術的には、左手のアルペジオがなめらかにつながるかどうかがポイントです。難しい跳躍はほとんどないので、★3のなかでは取り組みやすい曲といえます。ただし、曲の後半で調が上がる(転調する)部分で、音量と気持ちを一段上げられるかが、「ただ弾いた」と「かっこよく弾いた」の違いになります。大人の聴き手が多い場面で、一番安心して弾ける1曲です。

残酷な天使のテーゼ|高橋洋子(新世紀エヴァンゲリオン・★3〜★4)

高橋洋子さんの「残酷な天使のテーゼ」は、1995年に放送が始まった「新世紀エヴァンゲリオン」のオープニング曲で、カラオケの定番として30年近く歌われ続けているアニメソングの代表曲です。イントロの「ざんこくな〜」の前のフレーズだけで、会場の空気が変わります。

♪ ピアノ演奏を聴いてみよう(YouTube:Cateen かてぃん)

ピアノで弾くときは、サビの疾走感をどう出すかが勝負です。中級アレンジでは、左手が8分音符でビートを刻みながら右手が和音でメロディを弾く形が多く、両手で同時に動き続ける持久力が求められます。イントロは比較的やさしいので、まずイントロだけ仕上げてから本編に入ると、練習のテンションが保てます。30代〜40代の聴き手がいる場面では、一番盛り上がる曲かもしれません。

紅蓮華|LiSA(鬼滅の刃・★3〜★4)

LiSAさんの「紅蓮華」は、2019年に放送が始まった「鬼滅の刃」のオープニング曲で、2019年のNHK紅白歌合戦でも歌われ、アニメソングとして社会現象級の知名度を持つ曲です。小学生から大人まで誰もが知っているので、親子で聴ける場面に特に向いています。

♪ ピアノ演奏を聴いてみよう(YouTube:まらしぃ(marasy8))

ピアノで弾くと、イントロの印象的なリフと、サビの力強いメロディがかっこよさの中心になります。難しさは、ロック調の曲らしく左手で低音を刻み続けながら、右手で跳ねるようなメロディを弾くところです。音量を落とさず最後まで弾き切る体力が必要ですが、サビで聴き手が「紅蓮華だ!」と気づいたときの反応は、この章のなかで一番わかりやすいです。


弾けたらかっこいいピアノ曲【ボカロ編】3選|速さと手数で「弾けたら尊敬」される曲

弾けたらかっこいいボカロのピアノ曲3選(千本桜・カゲロウデイズ・ロストワンの号哭)の難易度一覧

ボカロ曲で弾けたらかっこいいピアノ曲は、「人間が歌うことを前提にしていない速さ」がそのまま難しさとかっこよさになります。初音ミクなどの歌声合成ソフトで作られた曲は、テンポも音域も人間の限界を超えているものが多く、ピアノで弾き切れたときの「尊敬」の度合いは、他のジャンルより一段高いです。ここでは、ピアノアレンジの定番として長く弾かれている3曲を選びました。

千本桜|黒うさP(★4)

黒うさPの「千本桜」は、2011年に発表された初音ミクの代表曲で、和風のメロディとロックのビートが合わさった、ボカロ曲でもっとも知られた1曲です。ピアノアレンジも数多く、発表会で小学生が弾くことも珍しくなくなりました。

♪ ピアノ演奏を聴いてみよう(YouTube:よみぃ Piano Yomii)

ピアノで弾く難しさは、BPM150を超える速さで、右手が16分音符のメロディを弾き続ける点にあります。イントロの和風のフレーズは比較的ゆっくりで、ここだけなら★2〜★3で弾けます。サビに入ると左手のベースも激しく動くので、「イントロ+1回目のサビまで」を最初の目標にすると、達成感を味わいながら先に進めます。中級アレンジで★3、原曲のテンポと手数を再現するアレンジで★4〜★5の、幅の広い曲です。

カゲロウデイズ|じん(自然の敵P)(★4)

じん(自然の敵P)の「カゲロウデイズ」は、2011年に発表され、小説・漫画・アニメへと広がった「カゲロウプロジェクト」の中心となる曲です。8月15日の同じ1日を繰り返すという物語性と、疾走するギターリフが特徴で、ピアノで弾くと「ロックのかっこよさ」をそのまま出せます。

♪ ピアノ演奏を聴いてみよう(YouTube:まらしぃ(marasy8))

ピアノアレンジでは、イントロのギターリフを右手で再現する部分と、サビで左手がオクターブを連打する部分が難所です。同じフレーズが何度も繰り返される曲なので、1つのパターンを覚えれば曲全体の多くが弾けるのは救いです。暗く激しい曲調なので、学生の文化祭や、ボカロ好きが集まる場で弾くと一番反応がある曲です。

ロストワンの号哭|Neru(★4〜★5)

Neruの「ロストワンの号哭」は、2013年に発表された鏡音リンの曲で、学校生活への叫びをテーマにした歌詞と、たたきつけるようなロックサウンドで、10代を中心に強い支持を得てきた曲です。ピアノで弾くと、その激しさが和音の連打となって表れます。

♪ ピアノ演奏を聴いてみよう(YouTube:よみぃ Piano Yomii)

難しさの中心は、サビで両手の和音を速いテンポで連打し続ける部分と、間奏の速いパッセージです。手首の力を抜いて和音を「落とす」ように弾けないと、すぐに腕が疲れて最後まで持ちません。ボカロ編のなかでは一番体力を使う曲ですが、最後まで弾き切ったときの「やりきった感」は格別です。


弾けたらかっこいいピアノ曲【クラシック中級編】5選|「ちゃんと習った人」に聴こえる曲

弾けたらかっこいいクラシックピアノ曲 中級編5選(子犬のワルツ・トルコ行進曲・月の光・悲愴第2楽章・アラベスク第1番)の難易度一覧

クラシックで弾けたらかっこいいピアノ曲のうち、中級者向けの5曲は「上級曲ほど難しくないのに、本格的に聴こえる」ことを基準に選びました。経験2〜5年、または子どもの頃に数年習っていた再開組の方が、半年ほどで人前に出せる曲です。クラシックの聴き手は耳が厳しいぶん、きちんと弾ければ「ちゃんと習った人だ」と伝わります。

子犬のワルツ Op.64-1|ショパン(★3・約2分)

ショパンの「子犬のワルツ」は、1847年に作曲された、2分という短さに軽快さと華やかさが詰まったワルツです。ショパンの恋人ジョルジュ・サンドが飼っていた子犬が、自分の尻尾を追いかけて回る姿から生まれたという逸話で知られています。「1分間のワルツ」とも呼ばれますが、実際には2分前後かかる曲です。

♪ ピアノ演奏を聴いてみよう(YouTube:Cateen かてぃん)

ピアノで弾く魅力は、右手が転がるように動く速いパッセージと、中間部でゆったりと歌う対比にあります。難しいのは、右手の細かい動きを「力を入れず、指先だけで転がす」ことです。力が入るとテンポが乱れ、音が重くなります。短い曲なので練習期間も比較的短く済み、「発表会でいちばん拍手がもらえる中級曲」として長く愛されてきました。

全19曲あるショパンのワルツのなかで、子犬のワルツがどの位置にいるかはショパンのワルツ難易度一覧の記事で確認できます。

トルコ行進曲|モーツァルト(★3・約3分半)

モーツァルトの「トルコ行進曲」は、ピアノソナタ第11番 K.331の第3楽章で、軍楽隊の太鼓をまねた左手の伴奏に、軽快なメロディが乗る曲です。1783年頃の作品とされ、クラシックの入門曲として世界中で弾かれてきました。冒頭のフレーズを知らない人は、ほとんどいないでしょう。

♪ ピアノ演奏を聴いてみよう(YouTube:藤田真央 公式)

技術的なポイントは、左手の規則正しいリズムを最初から最後まで崩さないことです。右手のメロディに気を取られると、左手が走ったり遅れたりして、行進曲らしさが消えてしまいます。後半の左手オクターブの連打は、中級者にとって一番の難所で、ここをテンポどおりに弾けると演奏の印象がぐっと引き締まります。明るく元気な曲なので、暗い曲が続く発表会のプログラムに1曲入れると、場の空気が変わります。

モーツァルトの他の名曲とあわせて知りたい方は、モーツァルトの有名な曲・名曲15選の記事も参考にしてください。

月の光|ドビュッシー(★3〜★4・約5分)

ドビュッシーの「月の光」は、「ベルガマスク組曲」の第3曲で、1890年頃に書かれ1905年に出版された、フランス印象派ピアノ曲の代表作です。静かな夜の光を描いたような和音の響きは、クラシックを聴かない人にも「おしゃれ」「きれい」と伝わります。

♪ ピアノ演奏を聴いてみよう(YouTube:清塚信也 公式)

ピアノで弾くときは、速さではなく「響きの美しさ」が勝負です。和音の各音の音量をそろえ、ペダルで響きをにごらせずにつなぐという、中級者が初めて本格的に向き合う技術が求められます。中間部のアルペジオは速く動くため、ここで★4に上がります。「月の光」と、ベートーヴェンの「月光ソナタ」は混同されやすいですが、まったく違う曲です。

弾き方のコツや月光ソナタとの違いは、ドビュッシー「月の光」の難易度と弾き方の記事で詳しく解説しています。

悲愴ソナタ 第2楽章|ベートーヴェン(★3・約5分)

ベートーヴェンのピアノソナタ第8番「悲愴」第2楽章は、1798〜99年に書かれた初期の傑作で、ゆったりとした旋律が「大人の落ち着き」を感じさせる曲です。映画やCM、ポップスのサンプリング元としても使われ、クラシックを聴かない方にもメロディが浸透しています。

♪ ピアノ演奏を聴いてみよう(YouTube:ナクソス・ジャパン)

テンポが遅いので、音を追うだけなら中級者でも早い段階で弾けます。難しいのは、右手のメロディを歌わせながら、内声(メロディと低音の間の音)と左手の伴奏を控えめに保つというバランスです。音の数は3層あるのに、聴き手にはメロディだけが浮かび上がる状態を作れると、「本格的な演奏」に聴こえます。激しさではなく深さでかっこよさを出せる、貴重な中級曲です。

第1楽章・第3楽章を含めた「悲愴」全体の難易度は、ベートーヴェン「悲愴」の難易度を楽章別に解説した記事にまとめています。

アラベスク第1番|ドビュッシー(★3・約4分)

ドビュッシーの「アラベスク第1番」は、1888〜91年に書かれた初期の作品で、流れるような分散和音と、少し東洋的なメロディが特徴です。「月の光」よりも知名度は低いですが、聴いた瞬間に「おしゃれな曲」と伝わる、隠れた聴き映え曲といえるでしょう。

♪ ピアノ演奏を聴いてみよう(YouTube:Kei-music77)

ピアノで弾く魅力は、左右の手が交互に動きながら、1本のなめらかな線を作る部分にあります。右手の3連符と左手の8分音符が重なる「2対3」のリズムが中間部に出てきますが、ゆっくり練習すれば中級者でも乗り越えられます。他の人があまり弾かない曲を選びたい方、ショパンやベートーヴェンとは違う色を見せたい方に、特におすすめです。

ドビュッシーがなぜ「印象派」と呼ばれるのを嫌ったのかなど、作曲家の背景はドビュッシーの生涯と代表曲12選の記事で紹介しています。


弾けたらかっこいいピアノ曲【クラシック上級編】5選|誰もが憧れる「本物」の難曲

弾けたらかっこいいクラシックピアノ曲 上級編5選(幻想即興曲・月光第3楽章・革命・英雄ポロネーズ・ラ・カンパネラ)の難易度一覧

クラシック上級の弾けたらかっこいいピアノ曲は、「弾けたらかっこいい」の原点ともいえる5曲です。どの曲も全音ピアノピースの難易度でE(上級)〜F(上級上)にあたり、経験10年前後の方でも数ヶ月から1年の練習が必要になります。ただ、憧れの曲があることは、練習を続ける一番の理由にもなります。ここでは、難しい順に並べるのではなく、「挑戦しやすい順」に紹介します。

幻想即興曲 Op.66|ショパン(★4・全音E・約5分)

ショパンの「幻想即興曲」は、1834年に作曲され、ショパンの死後に出版された即興曲で、「かっこいいピアノ曲」と聞いて多くの人が最初に思い浮かべる曲です。冒頭、右手が細かく駆け下りるフレーズは、テレビやアニメで「ピアノが上手い人」を表す場面に何度も使われてきました。

♪ ピアノ演奏を聴いてみよう(YouTube:CANACANA family)

難しさの正体は、右手が1拍に4つ、左手が1拍に3つの音を弾く「4対3」のポリリズムにあります。両手を別々に弾けても、合わせた瞬間にかみ合わなくなるのが、この曲で挫折する人のほとんどのパターンです。コツは、最初は両手をそろえようとせず、「左手を体に染み込ませてから、右手を乗せる」こと。中間部のゆったりした有名なメロディ(ポップス「I’m Always Chasing Rainbows」の元になった旋律です)は比較的やさしいので、ここから練習を始めると気持ちが続きます。

全音Eランクの意味と、初心者がこの曲を目指すための最短ルートは、幻想即興曲の難易度を解説した記事で詳しく書いています。

月光ソナタ 第3楽章|ベートーヴェン(★4〜★5・約7分)

ベートーヴェンのピアノソナタ第14番「月光」第3楽章は、1801年に書かれた、静かな第1楽章とは正反対の「嵐」のような終楽章です。第1楽章だけを知っている聴き手の前でこの楽章を弾くと、「月光ってこんな曲だったの?」と驚かれる、ギャップのかっこよさがあります。

♪ ピアノ演奏を聴いてみよう(YouTube:辻井伸行 公式)

難しさは、右手の速い分散和音が最初から最後まで続く持久力と、各フレーズの終わりで鋭く入る和音のアクセントです。速さだけを追うと音が濁り、かっこよさが消えます。本番の7割のテンポで、1音ずつ粒がそろった状態を作ってから速くしていくのが王道です。約7分という長さもあるので、中間の歌う部分で体力を回復させる「配分」も、この曲ならではの学びになります。

第1楽章をきれいに弾くコツや、楽章ごとの難易度の違いは、月光ソナタの難易度と弾き方の記事にまとめています。

革命のエチュード Op.10-12|ショパン(★5・全音F・約3分)

ショパンの「革命のエチュード」は、1831年、祖国ポーランドのワルシャワ蜂起が失敗したという知らせを聞いたショパンが、その激情を込めて書いたとされる練習曲です。左手が嵐のように駆け回り続け、右手が力強く叫ぶという構図は、3分という短さのなかに「かっこいい」のすべてが詰まっています。

♪ ピアノ演奏を聴いてみよう(YouTube:Kassia)

難しさは、ほぼすべて左手にあります。16分音符のパッセージを、最初から最後まで均一な速さと音量で転がし続けるという、左手の持久力と独立性が求められます。右手の和音のメロディは比較的単純なので、「左手の練習曲」と割り切って、左手だけをゆっくり毎日弾くことが最短ルートです。短い曲なので、上級曲のなかでは「最初に挑戦する1曲」としても人気があります。

ショパンのエチュード全24曲の中で「革命」「別れの曲」「黒鍵」がどの難易度にあるかは、ショパン エチュード難易度ランキングの記事で比較しています。

英雄ポロネーズ Op.53|ショパン(★5・全音F・約7分)

ショパンの「英雄ポロネーズ」は、1842年に作曲されたポロネーズ(ポーランドの民族舞曲)で、冒頭の堂々とした和音から中間部のオクターブ連打まで、「ピアノの威厳」そのもののような大曲です。クラシックを弾く人なら誰もが一度は憧れ、発表会やコンサートの締めくくりに選ばれ続けてきました。

♪ ピアノ演奏を聴いてみよう(YouTube:ショパン研究所(演奏:反田恭平))

難しさの中心は、中間部で左手がオクターブを高速で連打し続ける部分です。手首の柔らかさと腕の重さの使い方ができていないと、1分も持たずに腕が固まります。手が小さい方にはとくに厳しい曲ですが、冒頭の主題部分だけなら★4程度で弾けるので、「まず冒頭を人前で弾けるようにする」という目標設定もおすすめです。約7分の曲を弾き切ったときの達成感は、この記事の33曲のなかでも最大級でしょう。

ラ・カンパネラ|リスト(★5・全音F・約4分半)

リストの「ラ・カンパネラ」は、「パガニーニによる大練習曲」の第3番として1851年に完成した、「鐘(カンパネラ)」の響きを高音の跳躍で描いた超絶技巧曲です。右手が1オクターブ以上を飛び回りながら鐘の音を鳴らし続ける姿は、「ピアノの魔術師」と呼ばれたリストの名にふさわしいかっこよさです。

♪ ピアノ演奏を聴いてみよう(YouTube:亀井聖矢 公式)

難しさは、右手の大きな跳躍を外さずに決め続けること、そして後半で出てくる速いトリル(2つの音を素早く交互に弾く奏法)と連打です。跳躍は、次の音へ「手を先に動かしておく」予測の動きが身につくかどうかがすべてで、鏡や動画で自分の手を見ながら練習する方法が有効です。何年かかるのか、素人には無理なのかという疑問は、ラ・カンパネラの難易度と攻略ポイントの記事で正面から答えています。

リストという作曲家がなぜ「魔術師」と呼ばれたかは、フランツ・リストの生涯と名曲の記事もあわせてどうぞ。


弾けたらかっこいいピアノ曲33曲を一覧で比較|難易度・ジャンル・おすすめの場面

ここまで紹介した弾けたらかっこいいピアノ曲33曲を、難易度・ジャンル・おすすめの場面で一覧にまとめました。「自分のレベル」の列と「弾く場面」の列を見比べて、候補を2〜3曲に絞ってから、各章の解説に戻って読んでみてください。

曲名 作曲者/アーティスト ジャンル 難易度 おすすめの場面
エリーゼのために ベートーヴェン クラシック ★2 初めての人前演奏
カノン(ピアノアレンジ) パッヘルベル クラシック ★2 結婚式・お祝い
ジムノペディ第1番 サティ クラシック ★2 静かな場・カフェ風
戦場のメリークリスマス 坂本龍一 映画音楽 ★2〜★3 冬の集まり
ノクターン第2番 ショパン クラシック ★3 初めてのショパン
ライラック Mrs. GREEN APPLE J-POP ★3 学校・職場
夜に駆ける YOASOBI J-POP ★3〜★4 弾いてみた動画
アイドル YOASOBI J-POP ★4 文化祭・イベント
唱 Ado J-POP ★4 盛り上げたい場
Bling-Bang-Bang-Born Creepy Nuts J-POP ★3〜★4 意外性で驚かせたい場
情熱大陸 葉加瀬太郎 インスト ★3〜★4 発表会・幅広い世代
人生のメリーゴーランド 久石譲 ジブリ ★3〜★4 大人向けの集まり
Summer 久石譲 映画音楽 ★3 夏・明るい場
もののけ姫 久石譲 ジブリ ★3 静かに聴かせたい場
君をのせて 久石譲 ジブリ ★2〜★3 家族の集まり
いつも何度でも 木村弓 ジブリ ★2〜★3 家族・子どもの前
Let It Go アナと雪の女王 ディズニー ★3 子どもがいる場
美女と野獣 アラン・メンケン ディズニー ★3 結婚式・大人の場
残酷な天使のテーゼ 高橋洋子 アニメ ★3〜★4 30〜40代の集まり
紅蓮華 LiSA アニメ ★3〜★4 親子で聴ける場
千本桜 黒うさP ボカロ ★4 発表会・文化祭
カゲロウデイズ じん ボカロ ★4 ボカロ好きの集まり
ロストワンの号哭 Neru ボカロ ★4〜★5 弾いてみた動画
子犬のワルツ ショパン クラシック ★3 発表会
トルコ行進曲 モーツァルト クラシック ★3 発表会・明るい場
月の光 ドビュッシー クラシック ★3〜★4 静かな場・大人の場
悲愴ソナタ 第2楽章 ベートーヴェン クラシック ★3 落ち着いた場
アラベスク第1番 ドビュッシー クラシック ★3 人と違う曲を弾きたいとき
幻想即興曲 ショパン クラシック ★4(全音E) 「上手い」と言われたい場
月光ソナタ 第3楽章 ベートーヴェン クラシック ★4〜★5 発表会のメイン
革命のエチュード ショパン クラシック ★5(全音F) 短時間で圧倒したい場
英雄ポロネーズ ショパン クラシック ★5(全音F) 発表会・コンサートの締め
ラ・カンパネラ リスト クラシック ★5(全音F) 一生の目標曲
ソラ
ジャズとかラテンの曲は入ってないの?「リベルタンゴ」とか、かっこいいイメージがあるんだけど。
カイ
ピアソラの「リベルタンゴ」やチック・コリアの「Spain」、ガーシュウィンの「ラプソディ・イン・ブルー」もすごくかっこいいよ。ただ、楽譜どおりに弾くより「ノリ」や「アドリブ」の比重が大きくて、この記事の★では測りにくいから、今回は外したんだ。興味があればジャズピアノの名曲の記事から入ってみて。

ジャズ系の曲でかっこよく弾きたい方は、ジャズピアノの名曲・有名な曲15選の記事で、定番のスタンダード曲から紹介しています。


かっこいいピアノ曲を「かっこよく」弾くための練習法4ステップ|難しい曲ほど近道がある

かっこいいピアノ曲をかっこよく弾くための練習法4ステップの図解

かっこいいピアノ曲を選んだあと、本当にかっこよく聴かせるためには、「速く弾く」より「止まらずに弾く」練習が近道です。難しい曲を途中で止まりながら弾くのと、少しゆっくりでも最後まで流れを切らずに弾くのとでは、聴き手の印象はまったく違います。この章では、33曲のどれにも共通して使える4つのステップを紹介します。

ステップ1:「聴かせどころ」を先に決めて、そこから練習する

1曲を最初から順番に練習する必要はありません。「ここが決まればかっこいい」という山場を先に決めて、そこから練習を始める方が、挫折しにくくなります。たとえば「幻想即興曲」なら中間部の美しいメロディ、「Let It Go」ならサビ、「千本桜」ならイントロの和風のフレーズです。

山場が弾けるようになると、「この曲、自分でも弾けるかもしれない」という実感が生まれます。その実感が、残りの部分を練習するエネルギーになります。逆に、冒頭でつまずいたまま何週間も進めないと、曲そのものが嫌いになってしまいます。

ステップ2:本番テンポの半分で、1音も外さずに弾けるようにする

かっこいい曲ほど速い曲が多いですが、速さは最後に足すものです。まずは本番テンポの半分くらいの速さで、1音も外さず、強弱もつけて弾ける状態を作ります。この段階で正しい指使いが固まれば、テンポを上げるのは意外と早く進みます。

逆に、最初から速く弾こうとすると、間違った指使いやごまかしの弾き方が体に染み込んでしまい、あとから直すのに何倍も時間がかかります。メトロノームを使って、2〜4小節ずつ区切り、「3回連続で止まらずに弾けたら次へ」というルールで進めると、着実に積み上がります。

ステップ3:録音して、自分の演奏を「聴き手」として聴く

弾いているときの自分と、聴いている人の耳はまったく違います。スマホで録音して聴き返すと、テンポのもたり、音量の偏り、不自然な間が一発でわかります。特にJ-POPやボカロのようなリズム重視の曲は、録音で「ノリが出ていない箇所」を確かめるのが一番の近道です。

録音を聴くときは、間違った音を探すのではなく、「聴き手として退屈した瞬間はどこか」を探してみてください。その瞬間が、音量や間(ま)で工夫すべき場所です。

ステップ4:人前で弾く前に「身近な1人」に聴いてもらう

最後のステップは、本番の前に家族や友人など、身近な1人に聴いてもらうことです。1人の前で弾くだけでも、本番に近い緊張感が出て、「緊張すると速くなる」「左手が小さくなる」といった自分のクセがわかります。

もし周りに聴いてくれる人がいなければ、ピアノ教室の体験レッスンで先生に聴いてもらうという方法もあります。「この曲をかっこよく弾きたいんですが、どこを直せばいいですか」と1曲持ち込むだけで、独学では何ヶ月も気づけなかった改善点を、30分で指摘してもらえることが少なくありません。独学の限界を感じたときのサインは、ピアノ独学の限界と教室に切り替える目安の記事でも整理しています。

\「この曲をかっこよく弾きたい」を1曲持ち込める/

▶弾きたい曲を体験レッスンで先生に聴いてもらう


まとめ|弾けたらかっこいいピアノ曲は、自分のレベルの「少し上」から選ぶ

この記事では、弾けたらかっこいいピアノ曲を難易度別・ジャンル別に33曲紹介しました。冒頭の3つの疑問には、次のように答えられます。

  • 始めて1年前後でも「かっこいい」と言われる曲はある? → あります。「エリーゼのために」「カノン」「ジムノペディ」「戦場のメリークリスマス」のように、音数が少なくても雰囲気で勝てる曲を、止まらずに弾き切ることが一番の近道です。
  • ジャンル別のおすすめは? → 若い聴き手には「ライラック」「夜に駆ける」、世代を問わないなら久石譲のジブリ曲、イントロで会場をつかむなら「残酷な天使のテーゼ」「紅蓮華」、「弾けたら尊敬」されたいなら「千本桜」が定番です。
  • 中級・上級で次に挑む1曲は? → 中級なら「子犬のワルツ」「月の光」、上級なら「幻想即興曲」から始めて、「革命」「英雄ポロネーズ」「ラ・カンパネラ」へ。短い曲から順に挑戦すると、達成感を積み重ねられます。

どの曲を選ぶにしても、大切なのは「難しい曲」ではなく「自分のレベルの少し上で、聴き映えする曲」を選ぶことです。難しい曲を途中で止まりながら弾くより、簡単な曲を堂々と最後まで弾き切る方が、聴いている人の心には何倍も強く届きます。

まだピアノを始めたばかりの方は、初心者でも挫折せず弾けるピアノの簡単な曲28選の記事で「最初の1曲」を見つけてから、この記事の初心者編に戻ってくるのもおすすめです。子どもの頃に習っていて再開を考えている方は、大人のピアノ再開はブランク別に何から始めるかを解説した記事も参考にしてください。

この記事で紹介した弾けたらかっこいいピアノ曲33曲のなかから、「これなら頑張れそう」と思える1曲を選んで、まずは聴かせどころの8小節から練習を始めてみませんか。半年後、あなたの演奏を聴いた誰かが「えっ、弾けるの?」と驚く顔を思い浮かべながら。

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